考えすぎるきらいがある。
ブログやラジオやフリーペーパーで発信し続けているわりに、心の中では「こんなことわたしがやらなくてもいい」「他にもっと上手な人がいる」「この言葉や考え方は一般的じゃないのかもしれない」と怯えている。気が狂ったときに「ええい!そんなの気にしてられるか!」と作って発信し、数日経つと「なんであんなことを」と落ち込む。そのサイクルを繰り返して生きてきた。
作っても怒られにくく、落ち込みが少ないメディアの一つがフリーペーパーだと思っていて、なんだかんだ10年以上作り続けている。とはいえ、最初は「フリーペーパー作りたい!!!!作る!!」と思って作り始めたわけではない。
ということで、「どうしてフリーペーパーを作り始めたのか、その理由と経緯」などを記していきたいと思う。「こんなの読んで誰が楽しいんだ」とまた落ち込むが、ええい!の勢いで書いていきたい。ええい!!!!
そもそもの始まりは中学生時代。おしゃれにも美容にも流行りにも疎いわたしは、インターネットでひたすらエロ体験談を読み漁り、フラッシュ倉庫を見て、ソリティアで時間を潰していた。
数少ない友人が「コラージュの素材集めに行くけど、来る?」と誘ってくれた。コラージュとは、様々な素材を寄せ集めて貼り合わせた作品のこと。小学校時代に何かの授業で作ったことがあるが、「なんとなく」という理由で素材を配置したら発表の場で先生に「なんとなくという理由はやめようね!」と言われて嫌になり、それからは全く作っていなかった。
友人と共にCDショップに行き、素材になりそうなフリーペーパーを何冊か手に取る。CDの新着案内や、新作映画のフライヤー、アーティストのインタビューが載った小冊子など。わたしもわからないなりに何冊かもらう。ウルトラマンが表紙のフリーペーパーを見て、友人は「これをドーンと配置したら良さそう」とのことだったが、全く想像がつかなかった。
友人は後日、ウルトラマンがドーンと配置されたコラージュ作品を作って来た。どんな作品だったか覚えていないが「こうすればいいのか!」と衝撃を受けた。なんとなくはダメ。でも、かっこよくなるから貼った、という理由なら、いい。今まで固く閉ざしていたコラージュの扉が、少しずつ開き始める。「わたしもやってみようかな」ともらったフリーペーパーを切り刻んで、素材をファイリングしはじめた。
最初は誘ってくれた友人への手紙に貼ってみた。反応はよく覚えていないが、好印象だった気がする。調子を良くしたわたしは、また作って友人に手紙をあげた。毎回「いいね」と言われるのが嬉しくて、何度も作った。それを繰り返していくうちにだんだんコツがわかってきた。隙間はないほうがかっこいい。CDジャケットを色ごとに分けて貼り合わせると統一感が出る。そのためにはたくさん素材が必要。
素材を集めるためにTSUTAYAやタワレコに行き、CDの新着情報が豊富に載っているフリーペーパーを大量に持ち帰った。ひたすら切って、素材にする。ヴィレッジヴァンガードに行けばバンドのフライヤーがいっぱいあるので、良さそうなものをいくつか持って帰り、どーんと配置する用の素材をいくつか手に入れた。
それからはひたすら、家に帰ったら紙を切り、素材が集まったら貼りまくる日々を過ごした。
いつしか、素材になりそうなものだけでなく、映画館のフライヤーやバイト情報誌、タウン誌などありとあらゆる無料の雑誌を持ち帰るようになった。素材になりそうなものは切り刻み、読みたいものは本棚に保管。映画や公演のおしゃれなフライヤー、ショップカードはファイルに保管し、コレクションするようになった。
フリーペーパーの種類が増えてくると徐々に、その内容の面白さを知るようになる。ライブハウスのロフトが発行する「Rooftop」のエロコラムを楽しみにするようになり、東京グーニーズが発行する「東京10:45」で「こんなフリーペーパーあるんだ?!」と衝撃を受け、「FILT」を読んで「これが無料でいいの!?」とフリーペーパーの魅力にハマっていく。素材を集めながら、「もっと面白いフリーペーパーはないのか」と探し始める。わたしが実際にフリーペーパーを作るのは、まだまだ先だ。