当番ノート 第22期
Bijou:ビジュー、アクセサリー、身につけるもの. 絵画や彫刻において、伝説上・歴史上・神話上の人物と関連づけられた持ち物を「アトリビュート」と呼ぶ。 額に三日月を乗せていたら狩猟と貞潔の女神アルテミス。 天国の鍵を手にしていたらイエスの弟子、聖ペトロ。 大きな袋を持った太鼓腹のおじさんは、唐時代の仏僧布袋。 アトリビュートは西洋美術の用語だけれども、観賞者が画中の人物を特定するアイテムとして、…
当番ノート 第22期
– – – – – – – – – – – ◆前回までのあらすじ バーの片隅でわたしは作中のわたしの架空の姉に説明する。地震があったことについて、どうして書くのか。書くしかないからか。書くしかなくたって怖かったのだということ。なにが怖かったのか。 – – – – – – – – – – – 止まらなくなってわたしは作中のわたしと架空の姉に話し続ける。どんどんグラスを開けていく。『ロッキー・ホラー…
当番ノート 第22期
たとえあの子が消えても、私がその子の代わりに愛されることはなかったのだろう。 とにかく嫌いなものが多いと非常に生き辛い。 思春期の私といえば今に比べて「嫌い」が多く、また周りも等しくそうだっただろう。いろんなものや人を、容易に許せない。顔が、声が、態度が、話し方が、先生に褒められるあの子の得意顔が、彼の染めた髪が、規則に従順な彼女の長いスカートが、彼の好きな彼女が、みんな「嫌い」塗れである。他者に…
当番ノート 第22期
#7 夢の解釈について(2) 〈 私はある植物について論文を書いた。その著書が私の前にある。私はちょうど、一枚の折込みの色彩図をめくっているところである。植物標本集からとってきたような、乾燥した植物の標本が、一冊ごとにとじこまれている。 〉 これはフロイトが自身の見た夢として報告したものだ。この夢を見た日の朝、彼は「シクラメン科植物」というタイトルの、この夢の論文に関係するらしい書物を見たという。…
当番ノート 第22期
早いもので、この連載も残すところあと1回となりました。 今回はデジタルでイラストレーションを描いていて思ったもどかしい部分を。 前々回ぐらいに記事を書かせていただきましたが、木鳥worksさんからさそっていただき、谷町6丁目の整体院「草枕」さんの店内の壁に絵を埋め込んでいただきました。その時の発注ですが、壁に埋め込むもの、額の中に入れるものと直接壁に絵を描くものそれぞれを発注いただきました。額や壁…
当番ノート 第22期
1975年、愛知との県境にある、岐阜県の山奥で僕は生まれました。 僕が幼い頃住んでいた家は、小さな山の上にある一軒家で、何代も続いた旧家でした。 藁ぶき屋根に五右衛門風呂、火鉢まであるという、江戸時代のような住まいが僕の原風景です。当時はアスファルトの道路もなく、一番近い店まで歩いて30分かかりました。 母親が嫁いできたばかりの頃、深夜人が近づかない裏の林に幼児がいるのを見かけ、幽霊がでたと…
当番ノート 第22期
阿蘇山が噴火したと、言われて、騒がれてますが、 阿蘇を経由して帰りましたが、いつもと代わりない日常が、そこにはありました。 先日、活動をはじめて丸10年が経ちました。 ありがたいことに、東北のお世話になっている方々が、ツアーを組んでくださり、 高千穂、阿蘇、山鹿、由布院と、巡っておりました。 道案内役と、神社での奉納実演。 台風や豪雨の中で、大変な中、お越しくださった皆様をお連れして。 最後は阿蘇…
当番ノート 第22期
Automne:秋。 木々の葉や果物など、様々なものが色づく季節。 山種美術館で開催中の「琳派400年記念 琳派と秋の秋の彩り」展。 季感を大切にしたこの展示には、秋の色が溢れている。 福田平八郎「彩秋」1943年。 福田平八郎のデザイン感覚は、レオ・レオニの絵本に通じるものがある。 都会的で大胆で、色彩豊かなのに過剰さがなくて、とても優しい。 秋の色は、賑やかなのに浮ついていないのが、いい。 み…
当番ノート 第22期
– – – – – – – – – – – ◆前回までのあらすじ 架空の姉に促され、わたしは春の大地震を回想する。すると回想のなかのわたしに「どうすればいい」と訊ねかけられる。そんなのわたしが訊きたい。どうすればいいんだ、よかったんだ! わたしはずっと怒り続けていたのだ、とおもう。なにを書いたって、過去を変えられるわけでもないのに! – – – – – – – – – – – 「それで、どうする」…
当番ノート 第22期
「舞香ちゃんは結婚しないの?」と訊かれても、まず相手がいないんだから仕方ない。 ウェディングドレスに憧れたことが無かった。宇宙飛行士になりたいと思ったことが無いように、お嫁さんになりたいと思ったことが無いのである。それでも、「あの人の特別になりたい」と嗚咽しながら地団駄踏むような想いはたくさん知っている。とはいえ「君は彼女でも奥さんでもない、名前に縛られない特別な人なんだ」と言われた時、それはそれ…
当番ノート 第22期
朝晩は少し寒くなり始めて、季節の変わり目を実感する今日この頃。 この当番ノートももう第7回。 本日は僕の絵本について。 今年の7月より、フランスの出版社『Lirabelle』より僕の初めての絵本「NE PLEURE PAS(英題 : Don’t cry 邦題 : 泣かないで)」が出版されました。 簡単にストーリーをご紹介させていただくと、なぜか自分で檻の中に閉じこもってしまった小鳥を、…
当番ノート 第22期
荒川修作さんの夢は都市をつくることです。 何千人も住める、人間が死ななくなる天命反転都市をつくるのが彼の夢です。 僕は荒川さんの夢を応援したくて、 天命反転都市を実現するために、 素人のセールスマンのようなことをはじめ、 大企業に売り込みに行きました。 「荒川さんの都市を作りませんか?」 「人間が死ななくなる革命的な都市ですよ。」 でも、ずっと家にひきこもっていた素人の言葉は、社会の人々には届きま…