当番ノート 第22期
#5 夢の解釈について(1) 「夢の検閲官」という筒井康隆の短編小説がある。フロイトの精神分析学を下敷きに、夢の検閲機能を擬人化したものだ。彼らの役目は、眠りを妨げるような直接的な思想や願望を歪曲させたり象徴に置き換えたりすること。ここでは最愛の息子を亡くした母親の夢を検閲し、あらゆる技を駆使して変換していく様子がコミカルに書かれる。通っていた学校は楽しい思い出のある別荘に、いじめを見て見ぬフリを…
当番ノート 第22期
気づけばこの当番ノートも、もう6回目。あと3回で終わると思うとなんだか寂しいですね。 最近観た映画のセリフで「この世で一番恐ろしいことは、夢が叶うことだ」って言葉にゾッとしました。 前回プラネタリウムでのイベントをお知らせさせていただきましたが、今日も1つおすすめのイベントをご紹介できればと思います。 9月19日(土)〜27日(日)に三重県・名張市にあるsensart galleryにて、黒田武志…
当番ノート 第22期
荒川さんの天命反転漫画を描いてからも、 僕は商業誌でプロの漫画家になる道を、模索していました。 僕はいつも、人間と妖怪が出てくる漫画をかいていました。 妖怪の絵は得意だったのですが、人間の絵があまりに下手すぎて、うまく描けず、それが悩みでした。 そのことを、同じように漫画家をめざしている、一週間だけ付き合った女の子に相談すると、 セツモードセミナーにいくといいよと、教えてくれました。 セツは絵の学…
当番ノート 第22期
昨日から熊本へ出張しており、 今日は今から高千穂の神社へ籠もり、作品制作をしてくる。 今までも神社に居候して制作してきたけれど、それは社務所の中で。 今回は、ご神体のある、とても貴重なスペースで制作をさせていただく。 空海や、良寛。 彼らは仏教や密教だけれども、 私の尊敬する文字を書く表現者たちは、 何年もこうした行をおこなっていると聞く。 ただ、私は修行者でもない。 修験者でもない。 私が書を始…
当番ノート 第22期
Gâteau:ガトー。お菓子。男性名詞。 《La princesse Néfertiabet devant son repas》,2590−2565 BC. 焼き菓子に手を伸ばすNéfertiabet王女。 古代エジプトでは、埋葬用の壁画に、死者の食事風景が描かれた。 こんなにも昔から、甘いものは人々の心を掴んでやまない。 この世で最も儚げなお菓子は、六花亭の「六花のつゆ」だと思う。 蓋を開けた瞬…
当番ノート 第22期
– – – – – – – – – – – ◆前回までのあらすじ 嘘のタカダノババ、嘘の映画、嘘の夏を書き、そして雪を軸に嘘の思い出を交えながら一足飛びに大学時代を振り返るわたしに、幻の姉が問いかける。「他には?」「他にって?」「他に、ここにはどんな嘘を書いたん?」わたしはおもう。嘘をつくことと、黙っていることは同じだろうか。 – – – – – – – – – – – ほんとうは、目をつむって…
当番ノート 第22期
車に撥ねられたが「大丈夫です」と言って起き上がり、カゴが凹んだ自転車を引いて帰ったのは10歳の夏だ。一人だった。 そう実は私、人間ではありません。 という話ではない。思うに、そのとき母や友人がそばにいたら大声で泣いたのだ。手を差し伸べられるまで地べたに倒れたまま立ち上がらず「車にぶつかった」という状況に合わせた悲惨さを、体感以上に体現したはずだ。 声に出すと、感情と感覚が増幅する。締め切り前など、…
当番ノート 第22期
#5 音とイメージ(2) 音と言葉を考えるとき、韻は大きな要素の一つだ。けれど昔ながらの詩歌の世界では日本語での押韻は欧米の言葉に比べ影を潜めている。古くは漢詩の頃から韻の文化は知られていて、日本語でもこれまでに多くの人が挑戦してきただろうし、昭和期にはマチネ・ポエティックという定型押韻詩を作ろうという試みもあったが、いずれも定着はしなかった。日本語は一つの子音に一つの母音という単純な音節構造のた…
当番ノート 第22期
去年の夏、うちのアトリエにある坪庭でイラガの幼虫(毛虫)が大量発生しました。今年もやつらはそこにいます。今年もこの季節がやってきましたね。 第5回となる本日は、絵のモチーフに多い星とプラネタリウムのイベントについて。 前回でも書かせていただいたとおり、個人的に描く絵、repairで描く絵もまずストーリーを考えてから絵を描き始めます。自分の中でストーリーを持ち、頭の中の辻褄を整えてから描かないと、や…
当番ノート 第22期
今から考えれば、僕にとって、それは偶然ではなく、必然としか思えない、出会いでした。 荒川修作 彼に出会わなければ、僕はこんな生き方を選ばず、人間らしく生きていたでしょう。 荒川さんに出会ったことで、僕の生きかた、世界に対する考え方は、根源的に変わってしまいました。 荒川さんは世界的な芸術家であり、建築家です。 大学の恩師が「有名な建築家の安藤忠雄だって、荒川修作には、逆立ちしたって、かなわない」と…
当番ノート 第22期
東北から台風直下の九州へ帰ってきました。 外がゴオゴオ、ガタガタとなる音を聞きながら、今日は記事を書いています。 神社での居候の話は、来週ちょうど高千穂の神社にてお篭もりをするので、その際にお話しようかと思います。 そのあたりから、作品への感情や考えの話も一緒に。 今回、東北では山形、福島、宮城とまわっていました。 震災の被害のあった場所もみながら、塩竈に立ち寄り、お寿司屋の若旦那を紹介いただき、…
当番ノート 第22期
Claude Monet 《Saint Lazare》, 1877. (修道院を改装したパリの科学技術博物館。交通手段の棟。) Voyage:旅。距離のある場所への移動。男性名詞。 Louis Antoine de Bougainville(ルイ・アントワーヌ・ドゥ・ブーガンヴィル)は、18世紀フランスの探検家。 1766年、学者達を連れて、世界一周の旅に出る。 マリーアントワネットが”Japon…