当番ノート 第2期
何を書こうかと悩みながら、定位置である二段積みの箱の上に座っている煙を眺めているうちに三十分過ぎ一時間過ぎいつの間にか二時間が過ぎて、その間に頭に浮かんだことといえば、四足を揃えて尾をその足にくるりと巻き静かに座っている姿が猫の体勢の中で最も美しく感じるなあというくらいなもので、じっと見られるのが居心地悪いのかそのうち煙は寝てしまいました。煙が谷底にやって来てそろそろ3ヶ月、ためつすがめつ眺めて…
当番ノート 第2期
正月七日、京都の方へ新春舞初会というものに出掛けた。 縁あって日本舞踊家の西川千麗氏が主宰する「千麗の会」にご招待いただいたのだ。 これは消えゆきつつある日本のお正月の趣を味わってもらいたいという催し。 上演場所はいつも稽古をされている稽古所で。出演もするお弟子さんたちが、自ら着物姿でお屠蘇や和菓子をふるまっていた。 当日の番組は、白粉を塗って艶やかに舞うお弟子さんたちの演目が先に二つ。 ひとつ目…
当番ノート 第2期
私の名前はあろうことか母がかつての同級生男子の名前を そのまんまつけたものだ、とごく最近知った。 母は勝手にその人リスペクトだったらしいが、 それにしてもアバウト過ぎる。 その上おとめチック女学生の母、しばらくキリスト教にハマってたらしく 新生児の私に洗礼受けさせようとした、というトンでも話も判明。 信仰らしい痕跡皆無のその後を思うと まったくシャレになってない。 香港で働く商社マンだったという鬼…
当番ノート 第2期
お正月からサッカーの天皇杯、本日は高校サッカーと バスケのAll Japanなど年始はスポーツが目白押し、 というわけで2012年の最初のコラムは 「スポーツと関わる時の顔」を書いてみます。 ご存知かもしれませんが、 元日本代表の監督のオシムさんは ユーゴスラビアとしての最後の監督として、 W杯のイタリア大会でアルゼンチンに挑みました。 しかし、結果は敗退。 しばらくして、ユーゴスラビアという国は…
当番ノート 第2期
朝 起きたら居間のテーブルの上に小宇宙が広がっていた。 その日、お餅をつくのは知っていたし、手伝おうと気持ちはあったのだけれど、まちがえて前日にしっかりと飲んでしまい 宿酔いでなかなか起きることができず、部屋で苦しんでいる頃 家族は早朝からゴゴゴとなる機械でお餅を作っていた。 甥がいたずらしたお餅は、ぐにゃぐにゃにいじられたままのかたち。 ごめん、と思いつつ特にすることも(もはや)ないようだったの…
当番ノート 第2期
煙はしっとり重たいのです。体重は5キロを超えます。店で売っている小さめの米袋が5キロ入りですからやはりとても重たいのです。そんな大きな猫がワンルームの中をうろうろ歩き走り跳ね、かがんでいるとすかさず背中に乗ってくるのだからこちらはたまったものではありません。それでもあのうろついている物体が米袋だと思って観察しているとだんだん可笑しくなっています。動く米袋。 さて、煙ではなくコメという名前でもよかっ…
当番ノート 第2期
舞台は前回ロンドンから、日本へと移る。 今度は2007年の話。ロンドンでタラフを目撃してから四年後のこと。 また偶然あるニュースに刮目することになった。今や日本を代表するロックバンドに成長した“くるり”が、地元京都で「京都音楽博覧会」という野外フェスを主催するとのこと。正直くるりにそれほど興味があったわけではないのだが、彼らが海外から呼んだゲストになんとタラフの名前があったのだ。日本であのタラフを…
当番ノート 第2期
新年2日。 墓参りに行こう、と思い立った。 tina*tinaでの雑貨ディスプレイを早めに切り上げ、 それでも夕方になってしまった。 だれもいない夕暮れの墓地、 あちこちのお墓にぽっぽっと新しい花の 赤や黄色や白が灯っている。 久しぶりのお墓は、親戚がすでに来たのか、 燃え残った線香と疲れのまじった花があり、 葉や茎をととのえ自分の花と束ねなおして活けて水をかけ、 ろうそくをともし、あたらしい線香…
当番ノート 第2期
朝弘佳央理さま 日替わりコラムno3に掲載いただくはずだった 動画の件、ご連絡遅くなりました。 レコロくんコーナーのように、 直接 you tube の動画リンクを貼っていただくということで 製作者のchroneくんに了承いただきました。 彼はwhiteroomのオリジナルPVを手がけた映像作家さんで 「something is missing」は楽曲も映像も 私の大好きな作品です。 コラム書い…
当番ノート 第2期
今年の夏は我が家の庭でスイカを作りました。 土作りから本を見ながらやった割には、 なかなかの出来だったので、 2人の息子も呼んでみんなで食べました。 ムシャムシャとスイカを食べる息子たちを見てると ふと、スイカもこいつらも自分が育てたんだから、 ある意味、共食いだなと笑けてきました。 ボクには「父親と呼ばれる時の顔」があります。 今の父親は昭和のように大黒柱と呼ばれ、 関白宣言を歌っているだけでは…
当番ノート 第2期
今年も、もうすぐおわり。 このコラムを書いている今、googleによると、そろそろサンタクロースは赤鼻のルドルフと仕事に出ている頃だそうだ。 世界じゅうの子どもたちが、鼻の頭と頬を真っ赤にしながら1人と1頭を待つ。 プレゼントはそれぞれ。 たとえそれが石ころひとつでも、その子のこころに火が灯れば、それは素敵なプレゼントになるのだろう。 嬉しいことや楽しいこと。 可笑しみや、ほほえみ。 かなしみやさ…
当番ノート 第2期
煙が谷底に来てからというもの、帰宅するとまず部屋の中に変化はないかチェックするくせがつきました。明かりをつけ、恐る恐る首を回し隅々見渡します。倒れているものはないか、壊れているものはないか、引き出しはあいてないか、目を光らせます。それでは数ある煙のいたずらの中からいくつかご紹介しましょう。 まず、鏡が割れていました。大きな姿見です。煙に問いただしたところ、大運動会をしたときに水泳のクイックター…