当番ノート 第38期
私の絵が初めて価値を生み出した時の話。 絵の修行で、成長する方法の1つとして私は(似顔絵)を描く事を指示されていた。 先生の考えた(ecoart)でダンボールにその人の雰囲気を描く絵だ。 先生の元で修行をして間もなくして、このecoartの練習を始めた。これはとても難しかった。今まで絵を誰にも習ったことのない者からしたら、未知の世界で何をどう描けば良いのか分からず、ただ真似をして吸収するしかなかっ…
当番ノート 第38期
私は2011年より2年間ポルトガルのマデイラ島でバレエ教師をしていました。 マデイラ島は一年中温暖で暖かく、色々な花が咲き乱れる、美しい島。花の島とも呼ばれ、一年に一度の花祭りでのパレード、道に飾られる花がとても美しいです。 とても呑気な雰囲気の島でどこからも海がみえます。仕事の終わりには海で果物ジュースを飲んだり、海を見ながらビールを飲んだり。。。ゆっくりとした時間の流れでした。 昼寝をしている…
当番ノート 第38期
数年前の朝、コピー機の前で会った先輩の前髪が、ふにゃん、と前に倒れていた。いつもはワックスで髪を固め、おでこが見えてキリリとしている先輩。朝だからなのか、それとも疲れているからなのか、髪の毛と一緒になって目もとろん、としている。 「今日は髪型違いますね」と声をかけると、「セットできなかったからね~」と、口元だけ笑って答えてくれた。 その先輩から仕事を引き継いで数カ月後、私はマスカラも、ファンデーシ…
当番ノート 第38期
なぁ、どうして、こんな異国の地で、夜中の三時に森の中を歩いているんだ。僕に明確な答えがあるかと言えば、そんなものは無かった。しかし歩き続けるのが僕の精神ならば、それに、ただ柔順に従おうではないか。答えを手にするのは、すべてを終えた後なのだろうから。 二日前、ある不思議な宿に僕は泊まっていた。そこの主人というのは、鉱石をすり潰してできた粉末で絵を描くのだという大それた芸術家であり、いくら飯を食お…
当番ノート 第38期
2016年の6月に、ペルーへ行って先住民の儀式に参加しました。その経緯を書いてみます。 刺繍をするようになって思うのは、どんな大作も、ちいさな1ステッチの集合だということだ。布の裏から針を刺す、表からまた針を刺す。その繰り返し。 ステッチの種類はいろいろあるけれど、複雑に見える図案も、ひとつひとつ分解していくと単純作業の繰り返しによって成立している。 この世界はなんだってそうだ、だから根気さえあれ…
当番ノート 第38期
今回は12星座のひとつで、穂を抱えた農業の神、おとめ座のお話から ** 農業の女神デーメーテールと神々の王ゼウスの間には、ペルセフォネーという一人娘がいました。ある日彼女が仲の良い友達と野原で花を摘んでいると、少し離れたところにとても美しい花が1本咲いているのが見えました。誰もその花に気付いていないようで、ペルセフォネーが近づくととてもいい香りがしました。その花を摘もうとした瞬間、大地がぱっくりと…
当番ノート 第38期
絵描きとして学びたいと思い、翌月には仕事を辞めた。住んでいるマンションも解約する手続きもした。無職になった。でも気持ちに不安等少しもなかった。 これからのワクワクする事を想像して軽トラを借りて必要な荷物だけ積み、その人のところへ向かった。それからは、その人の事を(先生)と呼んだ。先生は私の荷物を置けるスペースを3階に作ってくれていた。それから私の厳しい修行時代が始まる。 簡単にまとめると師と弟子関…
当番ノート 第38期
劇場はそのものに命があるようで、それぞれ性格があるように感じる。 今まで踊った中で印象的だった劇場 Le Palais de Beaulieu ローザンヌボーリュ劇場。 例えるなら60代の美しいマダム 若手ダンサーの登竜門と呼ばれるローザンヌコンクール行われる劇場。 みんなが10代の頃に通った場所に30代になってから私はやってきました。 安心して踊れる場所だった。とても暖かい雰囲気の劇場。包み込ん…
当番ノート 第38期
結構まじめに生きてきたほうだ。規則はあったら守るし、一般的によしとされていることを良いと思って生きてきた。なるべくなら周りの人に嫌な思いをさせないように、でもしっかりと、芯はブラさずにしていきたい。 そんなふうに過ごしてきた私は、社会人2年目の夏休みにカンボジアのトレンサップ村というところに滞在した。今まで海外の人にたくさんお世話になったんだもの、何か恩返しがしたいなぁと思って、小学校の英語と日本…
当番ノート 第38期
小麦畑に囲まる偉大な広野。それこそが、スペイン巡礼。またの名をカミーノ・デ・コンポステーラ。熱射の昼下がり。かくも陽気な日差しを浴びて、風は体を透き抜けて、あぁ、どこまでも、吹いてゆく。ピュアな青空に、丸い雲が浮かんで。おや、涼しくなったな、と思えば、見上げてみる。そこに日除け代わりの雲が。雲に感謝するなんて、生まれて初めてじゃあないだろうか。 世界はこんなにも自由だったのか、思わずにはい…
当番ノート 第38期
2016年の6月に、ペルーへ行って先住民の儀式に参加しました。その経緯を書いてみます。 ・アヤワスカ あのライブの夜が明け、私はペルーの儀式について調べてみることにした。 アヤワスカというのは、やはりアマゾンの原住民たちの間で行われる儀式の時に用いられる薬草と、それを使って作られた飲み物を指す言葉だった。 (上:生えている状態の若木のアヤワスカ 下:成長したアヤワスカの木が切られたもの) アヤワス…
当番ノート 第38期
第2回は春の星座の代表格、北斗七星と北極星でも有名な母子熊の星座から。 ** 狩りの女神アルテミスには、森のニンフ(精霊)でカリストという侍女がいました。アルテミスは処女神でもあるため、侍女のカリストも男性には見向きもせずにいました。しかし、そのカリストはとても美しかったため、神々の王であるゼウスが恋をしました。ゼウスはなんとかしてカリストを手に入れようと、アルテミスに姿を変えて彼女に近づきました…