当番ノート 第34期
久しぶりにやってしまった。それなりに高い買い物だったから、勢いが大事だと思って確認を怠った。 古着屋で良さげなスラックスを見つけて、試着して気に入って、ろくに値札の確認もせずにレジに直行した。黒か灰色のスラックスをしばらく探していたから、着てみた上で気に入るようなら、議論の余地はないだろうと思った。翌日、早速着て出かけて太陽光の下で見ると、どうも色味がある気がする。 不安になって「これ黒に見える?…
当番ノート 第34期
一点の傑作を作るには他人との摩擦が必要だ(前にも書いたけど)。 自分には想像もつかぬほどのスピードで走り続ける人に伴走、もしくは後塵を拝しながらでも走り、もしくは歩き続けるべきだ。少なくとも私にはそうだ。 前回は、東京の千川に移り棲み秋田の個展に向けて体制を整えたというところまで書いた。 秋田の個展は、またしても失敗であった。制作時間はたっぷりあった、実際たくさん作品ができた。それでも失敗した。原…
当番ノート 第34期
お決まりの胃腸炎で私はだいぶまいっている。 ネガティブな言葉しか出てこないし、まだ今日吐いた大量のパスタが鼻から出てきそうで気持ち悪くてたまらず、何を食べてもだめなので薬をのんで断食している。接種するのはポカリスエット。胃が痛い時は背中もとても痛くてたまらないのでどうにか緩和しようと断食状態でヨガに行ってますますフラフラになってもう私はダメだとのたうち回って、やゔぁい。忘れていたが今日はアパートメ…
当番ノート 第34期
同窓会は、いろいろ辛い。 大人になって集まってみると、よくもまぁこんなにジャンルの違う人たちとやってきたものだと思う。 久々に旧友と会うと、他人との境界線、”カテゴリの違い”を感じる。 (そしていつも飲んでいるメンバーが愛おしくなる。) 社会人になったら嫌いな人とは付き合わなくて良い。 会社勤めもしない私は、尊敬できない上司の言うことを聞いたり、 愚痴の多いお局の相手をするなんて人生の無駄遣いと思…
当番ノート 第34期
適切なお節介は伝染する 私は根っからの“お節介”だと思っています。幼い頃から基本まわりにお節介な人が多く、お節介の良さと危うさが大好きで、DNAにすり込まれているんじゃないかと思う程です。道に迷っていそうな人を見たら目で追い、目が合ったらすぐ声かけちゃうくらいお節介な感じです。聞こえが良く言うと、困った人を見ると放っておけない性格。首突っ込みたがりと思う人もいるかもしれませんが・・・ そんな私…
当番ノート 第34期
海外からのスパムメールかと思ったら、名前が読めない。だいたいスパムってアメリカのインテリみたいな名前で来るもんだけど、と思って開けてみたら、ポーランド人からのメールだった。 「お宅の国の文字読めないから、アルファベットで住所教えてくれる?注文したCD届けたいんだけど」 ああ、あれ?確かにこないだダウンロードしたアルバムは「ハードコピーも郵送」って書いてあったっけ。でもこれまで改めてアルファベットの…
当番ノート 第34期
一点の傑作を作るには、ある諦念の下で黙々と坦々と作業を積み重ねていくことが絶対不可欠だ。少なくとも私にはそうだ。 この自伝も半分が終わった。前回のテレビの大道具になったところで私はようやく30歳になった。 この第6話は申し訳ないけどあまり面白くない。なぜなら坦々としているから。坦々とようやく坦々と自分の作品に向き合えたのだ。 3ヶ月程、六本木のシェアハウスに居た、、と書くとオシャレなところにいたと…
当番ノート 第34期
私はごくたまにライブハウスへ行きます。 特にそこまでの音楽好きと言う訳ではないのですが、大きな音を、そしてソレをひねり出す人達を見るととても愉快であるからです。しかしライブハウスは苦手です。なぜでしょう。さあ、わかりません。ここは自分のいるべき場所ではないと思うのでしょうね。とにかく苦手なのでライブが終わったら一目散で出口へ向かうのが常です。 私の信用する友人がこんなことを言っていました。「ライブ…
当番ノート 第34期
おはようございます、こんな朝早くに会うなんて奇遇ですね。 ええ実は私、朝型なんですよ。 ほら、朝起きると得した気分になるじゃないですか。 だから私のアパートメントからお散歩に来たんです。 うす暗い朝って、冷凍庫を思い出しませんか。 ひんやりしてて、みんな黙りこくって。 それにしても、朝と夕の光って絶対に間違えないですよね。 太陽の角度は一緒で、西か東にいるかの違いなのに なんでこんなに違うんですか…
当番ノート 第34期
自称“元プロの保育児”な私の感覚 わが家は両親共働きなので、私は生後三ヶ月から保育園に通い。小学生も学童保育に通っていた生粋の保育児あがりでした。 今は普通に保育園に通う子どもが多くなってきましたが、どうやら私達兄弟が小さい頃は生後三ヶ月から保育園に入っている子は、そんなに多くはなかったらしいです。とは言え、逆に生後数ヶ月の子を預けられる施設も多いわけではなく、無認可保育園や認可保育園等…
当番ノート 第34期
国立新美術館でやっていたジャコメッティ展で「ヴェネツィアの女」を観た。 ジャコメッティの彫刻はこれまでにも何度か観たけれど、よくわからなかった。鰹節みたいな色の、細長い、寡黙な彫刻。煮詰めたら良い出汁が取れそうなんてぐらいの見方しかできなかった。実存主義がどうとかいう、難解な注釈を読解できなければ正体を知れない。そういう類いの芸術だと思っていた。 「試みること、それが全てだ」 回顧展という形でジャ…
当番ノート 第34期
一点の傑作を作るには、同じ失敗を何度でも繰り返す事が必要だ、性懲りもなく。少なくとも私には。 2008年春、私は六本木で路頭に迷っていた。文字通り路頭にて生き方について悩んでいた、こらからどうしようかと。六本木のあれは確か、よく思い出せないのだけど、オシャレな場所で、近未来な所で、芝生がキレイで車が行き交う道路が近くにあって車道と芝生の間の歩道で、私はこれからどうしようか迷って、一歩も動けず文字通…