当番ノート 第29期
////////////////////////////////////////////// 2010年6月25日からの手紙 ////////////////////////////////////////////// 笹舟を2つせっせと作る。 川面に放たれた小舟は岸からぐんぐん離れて 寄り添って、追いかけて、ぶつかってやがて見えなくなる。 心が口からあふれだしてしまうような感情も、 一度熱を失え…
当番ノート 第29期
すきじゃないものにさわらないから すきなものにさわれるようにしてください。 よくばらないから ほしいものをください。 きらいなもののことかんがえるために こころをさかないから すきなものでこころをうめつくしてください。 ひていすることで てにいれられるあんしんにすがらないから ゆるしてください。 みとめなくていいから ゆるしてください。 ————…
当番ノート 第29期
その日は雨が降っていた。 荷物を運び出している車の中で、YUIの「東京」が流れた。 正しいことばかり、選べない、それくらい、分かってる。 答えを探すのは、もうやめた。間違いだらけでいい。 福岡から東京に上京してくる彼女の心境を歌ったこの曲を、いままでも好きだったけれど、なんだか今日ほど沁みてくる日もないなと思った。窓ガラスに小さな雨粒がついていくのを、ワイパーが繰り返し、ゆっくりと払っていった…
当番ノート 第29期
女でいることにコンプレックスを感じる時がある。 女でいる自分や女性を見て、女って苦手だなと思う場面に遭う。 もっと女を楽しめたら人生違うと思うが、自分は女を楽しめていない気がたまにする。 オカマちゃんたちが聞いたら、代わってよ!と言われそう。 なぜ女でいることにコンプレックスを感じるのか、女でいる自分に劣等感を抱くのか。 私の働いている職場は男性が多いのもあって、女性を優遇というか大切にしているよ…
当番ノート 第29期
人は身体という入れ物に入っている。 よく聞く表現だが、これは不正確だ。デカルト的心身問題。私の意見としては、人間は身体でしかありえない。生じる際に肉体をもって生じている以上、肉体を離れて存在する何らかのエネルギーがあったとして、それは「私」ではない。別の何かであろう。 人は身体によって人であり生命である。 では、これをどうしても実感できないとき、生きることは出来るのだろうか。 仮面ライダー龍騎(2…
当番ノート 第29期
星空書簡6―大きな月 こんばんは。秋を飛び越えて冬が一気にやってきたような今週です。 北海道の美瑛に住む友人は、まだ、収穫も終わってないのにすっかり雪が積もりの さすがの北海道人もパニックといっておりました。 私のいる山梨は、高い山々に囲まれているので、季節をまたぐとき、何かその 季節の間をいったりきたりできるような時期があります。美しい紅葉と雪の稜線を 一緒に抱きかかえる山々を眺められます。 東…
当番ノート 第29期
////////////////////////////////////////////// 2010年1月10日からの手紙 ////////////////////////////////////////////// 深夜に非通知の着信。 普段ならそういう電話には出ないのに なんだか好奇心にかられて電話をとった。 もしもし、と言うと、 受話器からかすかに歌声が聞こえてきた。 もしもし、とわたしは…
当番ノート 第29期
雪はもう雨になっちゃって あいたいってもういえなくなっちゃったよね。 せっかくつもった雪が雨に溶かされてゆくのをながめて過ぎる時の中で この部屋は、あいも変わらず しんと冷えて澄みとおっています。 気づけば青い朝が来て じゃあきっと今日は晴れなんだろうね。 晴れた空を無視して、あたたかな部屋で珈琲を飲もうか なんて またあたらしい口実を 実らない口実をさがしたりしたけれど 布団をかぶせて、かき消し…
当番ノート 第29期
空のダンボールはまだ5つ程残っている。大体の荷物は詰め終わったものの、細々としたものが残っている。ここからが長いのだ。 長い夜を前に、トムネコゴに挨拶にいった。日常からこの喫茶店がなくなったらどうなってしまうんだろう…と感傷にひたる私に、「メキシコにも『メキシコゴ」があるかもしれませんよ』とマスターは言った。唯一無二のものにしておきたい私の心とは裏腹に、マスターの方がさばさばしている。…
当番ノート 第29期
「もうダメかもしれない・・・」成田空港での私は、そんなことを思っていた。 一緒に石垣島に行く友人(喜屋武くん)が、電車の遅延で空港にギリギリの到着だったのだ。 無理だ。行きたかった石垣も飛行機に乗れず行けなくなるんだと、私はネガティブ全開だった(と思う。) しかし、一緒に喜屋武くんを待つもう1人の友人(高田くん)は余裕顔だった。 高田くんはこの状況をとても楽しんでいるように見えた。 「走ってくる喜…
当番ノート 第29期
ヒーローのコスチュームは、体を覆うものだ。仮面も、服も、マフラーも、その奥にある何かを隠すためそこにある。仮面ライダー本郷猛は、境界線上に生きるため、仮面をかぶる。バッタをモチーフにしたライダーの仮面は、泣いているようにも怒っているようにも見える。仏像をモチーフにしたアルカイックスマイルのウルトラマンとは対照的だ。仮面の下に悲しみや怒りを隠し、ライダーは走り去る。 今日の本題は仮面ライダーの話では…
当番ノート 第29期
こんばんは。 先日、久しぶりに秋らしい夕暮れ時間を堪能しました。100人くらい集まってくれた「冬の宙と星の一生」と いう講座を終えたあと、買い物して急いで帰らなくちゃいけなかったので、「堪能」というには、 ちょっと時間が十分でなかったけれど。でも、その講座のあとに、たくさんの方々が声をかけてくれて、 中には、私の本を読み込んでおられて、なんだか立ち話なのに、人生話しちゃったりしてたので、 そんな…