暑い。とっても蒸し暑い。これを書いているのは8月末の週末なのだけど、先週末くらいから、まだ夏なのだということをベルギーの空がふと思い出したように暑くなっている。
いくら日照時間の少ない、四季の区別のない、天候が不順だから7月8月になっても上着をしまいこむ事が出来ない、そういう国に住んでいるからといっても、やはり暑すぎるものは暑すぎるので、贅沢な話だとは思いながら愚痴も言いたくなる。
エアコンが一部屋に一台ついている日本とは違い、基本的にはエアコンなんてレストランか大きな店舗にしか設置されていないので、いざ暑くなると逃げ場がない。しかも今週はヨーロッパのくせに湿度が異常に高い。なんだこれは。梅雨か?と言いたくなるほどだ。
今夜は特に蒸し暑く、風がそよとも吹かないので、不快度は更に高い。これでセミの鳴き声が聞こえていたら、もう日本の夏と大差ないといっても過言ではない。そんな天気なので食欲もわかないから、今夜の夕食はスイカで済ませた。こんなことを続けるといわゆる夏バテという状態になるのだろう。が、しかしこんな天気はそんなに続くはずもないので全然オッケーなのである。ベルギーに夏バテというものはない。
が、休暇ボケというのがある。
先々週、夏休みも終わって仕事に復帰した。今年はしっかり休暇を取ったので工房に戻ったら、心機一転、さぞかし作業が捗ることだろうと思っていたのだけど、意に反して最初の一週間は全く役立たず。ある種の疲労感と名残惜しさと特盛りマンデーブルーが混ざった感じ。休暇ボケである。
休暇ボケの解消は、規則正しい生活と朝晩に食べるワッフルと仕事に集中するのが一番だから、まずは滞っていた注文仕事を再開したのだけど、とにかくやる気が出ない。やる気が出なさすぎるので自分に質問してみる。
「なんでそんなにやる気ないのよ?」
「う〜ん、なんか同じ皿ばっかり百枚も二百枚も作る気分じゃない。」
「気分の問題じゃなくて、受けた仕事なんだからこなさなきゃダメじゃん。」
「いや、それはそれでやってますが。やる気が出ないからといって仕事してないわけじゃねえし。」
「無理してるわけだ。」
「はい。」
「無理してると続かないね。」
「はい。」
「じゃあ、注文とかとるのやめたほうがいいね。」
「はい、その通り。やめます。」
という結果が出たので、基本的に注文を受けるのではなくて、好きに作ったものを売っていくというスタイルに戻すことにした。じゃないととにかく注文に追われて、この1年ほどはやりたいことや試したいこともほとんど手付かずで終わってしまったし。まあ、少量の注文なら受けるとは思うけど、それでもまずはやりたいこと優先することにする。
そういえば、6月に胆石の激痛で入院したのも、注文の締め切りに追われまくった果てのことだったので、あれもある意味ストレスだったのかもしれないと思うと、やっぱり基本好きなことをしなければ病気になるぞということだろう。
まあ、やきものを始めた最初から、自分が作りたいものをただひたすらに作りたい衝動で始めたような気もするから、それを売らんがためのものばっかりを作るようになったら、自分の核のようなものが違和感を持つに決まっている。それはあかん方向やね。マーケティングのリサーチで得られた結果に自分を合わせたら売れるものはできるかもしれないけど、楽しくはないかもしれない。
あくまでもシンプルに自分がかっちょいいと思えるところをギュギュッと掘り進める感じ。気が付いたらアリの巣のような深入りの迷宮みたいなことになっているのが良さげだ。
深入りするためにはまず何かを絞り込むことが必要な気がしてきた。選択肢を減らしていくこと。持ち物を減らす、道具を減らす、可能性を減らす。
うん、なるほど。まずは部屋の掃除と整理をした方がいいってことだな。
今月はそういう月にしよう。