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3F/長期滞在者&more

繋がりたい 繋がらない

長期滞在者

IMG_3295今年の冬の東京は、よく晴れた日が続いています。新しい仕事場の窓から毎日明るい陽射しが入り込んできてとても気持ちがよく、朝早く出勤して午前中の営業時間前に色々仕事を片付けることが多くなりました。窓の外は、最近出来たばかりと思われる高層マンションが数多く立ち並び、日曜日の朝などは、一斉に洗濯物や布団を干す様子が見られます。

3年くらい前から、日本橋界隈は急激に居住人口が増えているのだそうで、ここに来るまでは住民登録上の形式的なものかと思い込んでいましたが、窓の外の景色を見る限りそれは間違いないようです。 オフィス街だから日曜日は誰もこないと進言していただいたこともあります。でも実際にこの地に身を置いて通りの様子を観察してみると、そんなことはありません。日曜日の都心は、町中が心からリラックスして、平日のオフィス街とは全く違う雰囲気を持っています。
残念だなと思うことは、週末には営業している飲食店の数が思ったよりも少ないところ。
平日にサラリーマン相手の商売を何十年も続けているお店に今更土日開けろとは言いにくいですが、早速ギャラリーへ足を運んでくださった近くにお住いのお客様からも、土日の飲食店の選択肢の少なさが不満との声を聞きます。

そんなことを感じながら、僕たちも新しい街で地域に暮らす方々とたくさん出会っていきたいと思うのですが、移転して1ヶ月経ちまだ、具体的にどのようにすべきか、よく分からないでいます。
聞くところによると、小伝馬町界隈は様々なジャンルのギャラリーが30軒ほど集積しているそうです。残念なことに、新宿と違って、この界隈に暮らしている人たちが、あまりそれをご存知でないという事実があります。僕たちの入居にとても理解を示して下さったビルの大家さんは絵画芸術全般に関心をお持ちで、ビルの1階で画材まで扱っているというのに、この界隈に近年ギャラリーが集まってきていることを全く知りません。
小さいながらも表現を発信する場である筈なのに、すぐまわりで暮らすひとびとには全く届いていないのは本当に惜しい。

一般メディアでは芸術や文化的な記事を掲載するスペースはどんどん狭くなり、かといってネットメディアでは、日頃アートに関心のない人たちへの訴求力に乏しい。
ビルの1階にギャラリーがオープンのカードを毎日50枚数えて平置きしておくと、閉館の頃には10枚くらい無くなっています。まだまだ数は少ないけれど、近隣にお住いの方が少しづつビルの4階へ上がって来て下さっている。

考えていても仕方がないので、とにかく時間があれば、周辺を歩き回るしかないと思っています。
繋がりたいのに繋がらない。焦っても仕方がないのですが、丁寧に仕事を重ねてこの街で信用を得ないことには始まらないのだと肝に命じながら、今まで通りコツコツやっていきます。

篠原 俊之

篠原 俊之

1972年東京生まれ 大阪芸術大学写真学科卒業 在学中から写真展を中心とした創作活動を行う。1996年〜2004年まで東京写真文化館の設立に参画しそのままディレクターとなる。2005年より、ルーニィ247フォトグラフィー設立 2011年 クロスロードギャラリー設立。国内外の著名作家から、新進の作家まで幅広く写真展をコーディネートする。

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