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3F/長期滞在者&more

家日記 2018年12月

長期滞在者

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この家は2011年の12月に生まれた。
震災があった年。
誰もがそう記憶している。

振り返ってみれば、この家は絶望しないために生まれてきたのじゃないかと思う。
便利な場所にあるから、誰かと住む方が経済的だから・・・
この家が必要とされてきた理由はたくさんある。
けれど実は、希望をつなぐ場所として生まれてきたのではないかな。
近頃、そんなふうに思う。

今、この家はどう変わっていけるだろうかと考えている。
大きいことを言うつもりはないのだけれど。
ただ、この世界を穏やかな気持ちで過ごすために、できることがまだまだたくさんある。
そんなことを最近考えている。

12月1日(土)
昴君の弟さんからお歳暮が届く。たくさんのドリップコーヒー!ありがたいことにおすそ分けしてもらった。オフィスに持っていくか。

12月2日(日)
近所で餅つき大会があった。今井くんと純君がいくつか持って帰ってきてくれたのでそれを食べた。なんと美味しいこと・・・。しかしきなこの入ったお皿を盛大にひっくり返してしまい、畳がきなこだらけに。朝から掃除機をかけた。

12月3日(月)
夕食の片付けをしようとしていたら純君が帰宅。片付け終わって居間に戻ると寝落ちしていた。なんというスピード・・・。その後彼は自力で起きて部屋に戻っていった。成長している。

12月4日(火)
12月だというのに最高気温が20℃以上もある。日付が変わる前に昴くん以外の全員が帰宅。昴君は今日、バンドの練習。

12月5日(水)
今井くんに執筆の進捗を聞いたところ、来年の1月には出版される!とのこと。楽しみである。

12月6日(木)
純君が風邪気味。鼻声なうえに背筋がだるいという。大根おろしと生姜で即席の飲み物を作って飲んでもらった。日付が変わった頃に昴君が帰宅。今井くんは近所のロシア料理屋に行ってきたという。羨ましい。

12月7日(金)
近所のベーカリーカフェで飲み会をした。メンバーはさゆりちゃん、さゆりちゃんの夫(パンダ君)、ちょびと私の4人。さゆりちゃんもちょびもシェアハウスを出た後、徒歩圏内に引っ越したのでこうして簡単に会うことができる。

12月8日(土)
うちに初めて、赤ちゃんがやってきた。大学時代の友人が子供を連れてきてくれたのだ。あんまり遊べるものがなくて申し訳ないなと思っていたら、居間の除湿機に心を奪われたらしく触ったりコードを引っ張ったりして遊んでいた。

赤ちゃんの名前はさつきちゃん。さつきちゃんは昴君をきょとんとした目で見たり、居間でラーメンを食べる純君を不思議そうに観察していた。子供がいると、家の空気がガラっと変わるなと思う。エネルギーに満ちていてる。

12月9日(日)
冷えと倦怠感でぼんやりして過ごす。風邪でもひいたか・・・。自室にいても、家に人がいるかいないかなんとなくわかるのだけれど、今日は全くわからず。気をつけないとシェアハウスでパンデミックを起こすわけにはいかない。

12月10日(月)
今井くんに来客。どうやら今井くんにインタビューをしに来たらしいけれど、盛り上がっているのか3時間以上話し続けている。終電は大丈夫なのかしら・・・。

久しぶりに絹江ちゃんを目撃した。

12月11日(火)
風邪である。辛い。私は自分の体の弱さを呪う。

浴槽に柚子を入れて柚子風呂に。みんなに連絡したら、滅多に浴槽に入らない今井君が浴槽で温まったとのこと。よかった。

12月12日(水)
23時過ぎに帰宅すると、風呂上がりの絹江ちゃんと遭遇。昴君は仕事が佳境で昼夜逆転モードに突入したらしく、夕方起床したとのこと。やれやれ。

12月13日(木)
日付が変わっても家には昴君しかいないようだ。そして、寒い家。この家はリフォームしてあるとはいえ、築50年を超えているので冬はとても冷える。

12月14日(金)
忘年会で遅くに帰宅。家に誰がいたのかも思い出せないくらい酔っ払ってしまった。

12月15日(土)
お風呂に入りながら、絶対に来年こそは新しい家を作ってそこで展示や仕事ができるようにしたいと思った。そしてお風呂上がりに居間にいた純君と今井くんにそれを伝えると、「何を言っているんだこいつは?」と不審な目を向けることもなく、「いいね、それ!」と言ってくれるのであった。優しい。

12月16日(日)
居間のこたつに入ったら動けなくなってしまった。私はあまり居間に長居しないタイプなのだけれど、夕食をそこで食べながら純君、今井くん、昴君とシン・ゴジラを観た。みんなでテレビを見るなんて珍しい。

12月17日(月)
絹江ちゃんと台所で遭遇し、寒いねと言い合う。この「寒いね」は心からの「寒いね」で、実際にこの家は外界と気温が変わらないときがあるのだ。古い家は本当に寒い。

12月18日(火)
帰宅すると、なぜか家の中が焼き鳥の匂いで充満していた。絹江ちゃんか、純君だと思う。すごく良い匂いで、ついお腹が空いてくる。

12月19日(水)
タバコの匂いをたくさん吸い込んだら具合が悪くなってしまった。思わず自室にいた今井くんに愚痴を言う。ごめんね。

12月20日(木)
昴君の誕生日。ケーキを切り分けて食べていたら、純くんが「財布が見当たらない・・・」と告白。今井くんは過去の紛失事例から「乗り物の中では?」と推測。これまでの紛失を目の当たりにしてきただけあって説得力がある。

12月21日(金)
純君が財布を見つけた。会社にあったらしい。よかった!

12月22日(土)
大掃除!窓の汚れがすごい。そして台所の掃除ポイントの多いこと。かなりダッシュでやったので2時間半で終了。一番驚きだったのは除湿機のフィルターの汚れだった。今井くんは「食欲が失せるレベル」と評していた。

小学校時代からの幼馴染をシェアハウスに泊めた。

12月23日(日)
夜、幼馴染と近所の友人さえちゃん、純君、今井くんと私の5人で「ワードウルフ」というゲームをやった。大の大人が揃って大盛り上がり。これは5人以上でないとできないゲームなのだという。たくさん人がいてよかった。

12月24日(月)
来年のゴールデンウィークは10連休という話題になり、純君からキューバ旅行について価格や所要時間を聞かれる。キューバは大好きな国だけれど、行くのには結構お金がかかるのだ。飛行機とホテル代で20万は軽く超えてしまう。今井くんはロシアに行きたがっている。私はどこにも行かないような気がしている。連休中はどこに行っても混んでいるから。

12月25日(火)
クリスマスだけれど、うちの住人はいつもどおり忙しく働いている。そういえば去年は近所の美味しいケーキ屋さんでクリスマスケーキを予約したのだけれど、今年は予約しなかったな・・・。

12月26日(水)
私の誕生日。深夜にみんなにお祝いしてもらって、とても嬉しい。来年挑戦してみたいことなど話す。こたつで温まりながらみんなと過ごす時間が心の底から幸福。

12月27日(木)
アパートメントのクラウドファンディングの最終日!居間に廣安ゆきみさんと耳子さんをお招きして生放送配信。
深夜に近所のさえちゃんがやってきた。どうやらセキュリティ上締めてしまった部屋の中に家の鍵を置いてきてしまったらしい。そういうウッカリ、あるよね・・・。

12月28日(金)
仕事納めの人が多いせいか、夕方既に家にいる住人も。私は所用で出かけて、帰ってくると21時過ぎ。純君と居間でいろんなことを話した。大手企業に勤めた後ベンチャーに転職した後のキャリアパスや、中身のある家族関係ってどんなものだろう、とか。

12月29日(土)
純君が購入したふるさと納税の牛肉がやってきた・・・けれど冷凍庫はいっぱい。肝心の純君は届くタイミングを知らずに帰省してしまった。うろうろしていたら昴君が冷凍庫を美しく整理整頓して、お肉も無事にしまうことができた。さすがである。

12月30日(日)
家が静か。今井くんも絹江ちゃんも純君もいない。昴君は個人事業主なので経理処理に追われている。

12月31日(月)
大晦日。めずらしく、家には人が多い。昴君、絹江ちゃん、絹江ちゃんの友人。本当はもっと夜更かしする予定だったのだけれど、疲れがたまったのかすぐに眠ってしまった。

みんな、良いお年を。

浅井 真理子

浅井 真理子

もの書き。
エッセイを書いています。

Reviewed by
黒井 岬

12月は来年のことや未来のことを人と話すことが増えると思う。毎年あれよあれよと言う間に年を越してしまうけど、新年には自然と気分が変わっているから、暦というものは不思議だ。「希望をつなぐ場所」としての家での、静かな年越し。

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