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3F/長期滞在者&more

「 箱 」

長期滞在者


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蓋のある箱が好きです。

手に乗せられる大きさなら尚良い。

手の上に乗っているのに、その中身がわからない。

まだ読んでいな本を手にしているのに似て、静かな興奮を誘うものです。





自分にとっての理想的な箱、極端な例は「海底二万海里」のノーチラス号でした。ネモ船長が己の知力と財力を結集して、世界中の美しい絵画、剥製、鉱石、この世の全てをあつめた、海底を進む驚異の部屋。




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ココアの箱に、可憐な少女が描かれている。少女は、同じ少女が描かれたココアの箱を手に持って微笑んでいる。少女の持っている箱に描かれた少女も、同じ箱を持って微笑んでいる。どこまでいっても、消滅することのない少女。それはアキレスが決して亀に追いつくことができないのと同じでした。





蓋を開けて、中の人形を覗く。その背中を、外の世界の誰かが覗いている。

時計の中の宇宙、銀河系と原子。入れ子構造について考えると、いつでも眩暈がしてきます。





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object :「八面体と蛍についての考察」

木材、紙、針金、石粉粘土、蛍石

11.5 × 9 × 3.5 cm

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coca

coca

1988年、長野県生まれ。
coca、または古河郁という作家名で、絵や文章を書いています。
物理、数学、天文学、鉱物、錬金術を主なテーマとして作成しています。


書籍「風景のある図鑑」 https://minne.com/items/1739054

Reviewed by
中村 梨々

目をつむると真っ暗な箱の中。しばらくするとちかちかと明かりが見えてくる。ゆっくりと目をあける。世界は箱の中にあった。そんな不思議が立体になりました。二次元から三次元へ渡っていくcocaさんの手のひら。

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