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3F/長期滞在者&more

家日記 2020年3月

長期滞在者



日常に少しずつ忍び寄る感染症の恐怖。

何気ない日用品が買えなかったり、たくさんのニュースが流れてきて、とても強い風を毎日全身で受け止めているような気がする。

実家に帰ることもだんだんためらわれてきたし、海外にいる友人たちの様子も気になるけれど、まずはじっと家で耐えて過ごそう。

台風がきちんと過ぎ去るように、この事態もきっと収束していくはずだから。

それにしても・・・今月は寒暖差が激しすぎて、体がくたくただ〜・・・。

3月1日(日)
ウイルス対策のために、念入りに家の一階と二階を換気するのだけれど・・・花粉がひどくて・・・目が焼けそう。今井くんは花粉症ではないのでものすごく羨ましい。

3月2日(月)
脱衣所で笑ってしまう事案が発生。誰も真似できない落書きのセンス。きっと今井くんだ。私にはわかる。

3月3日(火)
雛祭りらしいことは何もなく、近所にトイレットペーパーもティッシュも見当たらなくなったねえ、と住人同士で嘆く。

私はヨガの教室が休止になり、純君のピラティスはどうなることやら・・・と話す。これからどんどん影響が広がっていくのだろうか。それにしても生理用品が品薄なのは本当に・・・もう・・・。

3月4日(水)
もしかしたらコロナの影響で近所の大人気焼肉屋が空いているのでは、と居間で話題になる。こんな時期だからこそ肉だ、という話になり、明日電話してみることに。

3月5日(木)
昨日話していた有名な焼肉屋さんは相変わらずの人気ぶりで電話がつながらない。飲食店も人気なところはちゃんと人がいるみたいだ。自宅焼き肉を考えるか。

3月6日(金)
住人用のSlackにトイレットペーパー見かけた?と聞いてみたけれど、やはり誰も見ていないらしい。このままだと来週半ばにはトイレに行くのを我慢しなければならなくなる気がする。私は昔お腹の病気になったこともあり、再発の可能性が十分にあるので、なんとしても確保したいところ。

3月7日(土)
純君は昨夜から京都へ。昴君は伊豆へ。今井くんは松山へ。私は実家へ。家にひとりお留守番のれいちゃん。
トイレットペーパーのことが気になり、実家から帰ってすぐ買い物へ。SNSでリサーチした結果、オフィス街にある家電量販店で売っていることがわかったので助かった。しっかり1セット購入。これでしばらくは心配なさそうだ・・・。

3月8日(日)
寒い日。みんなが帰ってきた。純君が京都のお土産に買ってきてくれた金平糖は、なかなか良いお値段だそうでさすが京都である。昴君は旅行先で二日酔いになってしまったらしく、グロッキー。この家日記で昴君の二日酔い回数をカウントしたら結構な数値になりそうである。

3月9日(月)
今日はいつまで経っても純君が帰ってこないな、と思っていたらなんと深夜の2時過ぎに帰宅。嗚呼・・・。

3月10日(火)
近所に住む友人たちを招いて、クレープを巻く会を開催。私が「面白そうな材料を持ってきてね!」と呼びかけたところ、なんと参加者のうち2名がしらすを持ってくるというしらす被りが発生。私はクレープを焼くのが下手でしどろもどろしていたら、ちょびちゃんが代わりに焼いてくれた。救世主。

イカ焼きとサバカレーを合わせるとサービスエリアのB級グルメみたいで美味しかったり、煮物にジェノベーゼを合わせると意外に進む味だったり。たくさんの発見があって大盛り上がりだった。こういう時間がすごくありがたい。

3月11日(水)
連日の気温差、気圧差のせいか、昼過ぎにぐっすり眠り込んでしまう。震災から9年経つ。あのとき、たくさんの人とあって、そのなかで知り合った今井くんと家を作り、今に至る。あの頃のことを思い出すと、今でもなんとも言えない気持ちになる。

それでも、家を作ってよかった、と振り返ってみて思う。誰かが安心して生活を営む場所であること。

3月12日(木)
深夜まで居間で仕事する純君。そしてこたつで寝落ちする今井くん。今井くんが寝落ちって、かなりめずらしいな。

3月13日(金)
居間に明かりがついてるなと思って覗いてみると、れいちゃんが金曜ロードショーの「トイ・ストーリー2」を見ていた。懐かしい。

3月14日(土)
まさかの雪!昨日は20℃もあったのに。思わずびっくりして、部屋にいた今井くんを呼んでしまう。こんなに天気がころころ変わるなんて、コロナにならなくても体調を崩しそうだ。

3月15日(日)
今日の純君のお昼ご飯はラーメン。私もラーメン。辛ラーメンに挑戦してみたのだけれど、純君もつい数週間前に初挑戦したらしい。私達の見解としては、「確かに辛いけど、美味しい!」。癖になる味だった。

3月16日(月)
純君の部屋からずっと声が聞こえる。今日はリモートワークだったらしい。とうとうこの家で実際に会社に出向くのはれいちゃんだけに。確かに、私が今日は街には人があまりいなかった。

3月17日(火)
昴君のバンドのライブレポをまた書くことになったので、練習に潜入させてもらう。バンドもコロナの影響を受けており、今までどおりのやり方では大変そう。今後の活動はどうなるんだろう。

3月18日(水)
深夜にチャーハンの匂いが家を漂う。作ったのは昴君らしい。匂いにつられて猛烈にお腹を空かせてしまった私の顔を見て、今井くんとれいちゃんに笑われる。

3月19日(木)
れいちゃんが恋人を呼んで夜ご飯を作っている。ミートソースの良い匂い。私は最近、無償にキムチが食べたくなってしまうので夜ご飯にキムチを添える。辛いものを食べるとピリッとして元気が出る気がするのだ。

3月20日(金)
近日閉店するという近所のラーメン屋さんに友人と行って最後の一杯を食べた。そのあと、家で牛乳のみかんゼリーを食べて、ゲームを一緒にする。この家のこたつでこういうことをしていると、春休みに実家に帰ってのんびりしているような気持ちになる。

3月21日(土)
友人のあやこさんと夫&赤ちゃんが遊びにきてくれた!赤ちゃんが家に来るのは二度目。純君も混じってみんなでビリヤニを食べた。元気に泣いたり、にこにこする赤ちゃんを見て「かわいいねえ」とデレデレ。うちの居間は畳なので、赤ちゃんがごろごろするのにぴったりなのだ。子連れ来訪いつでも大歓迎です。

3月22日(日)
せっかくの日曜だけれど、なんだか体がだるい。熱はない。これはきっといきなり暖かくなったからかも。純君も「そうか、いきなり暖かくなったから…?」とどうやら本調子でない様子。それにしても、桜がこんなに咲くなんて。例年よりも開花が早い気がする。

3月23日(月)
こたつに入る今井くんとれいちゃんを見て、つられて入る私。昨日はあんなに暖かったのに…。寒暖差にそろそろやられそうである。

3月24日(火)
今日は今井くんの知り合いが遊びに来て夜は大変賑やか。世の中が大変なときってこういう音にほっとしたりするんだよな。

3月25日(水)
東京都で感染者が…というニュースを見たときに、嫌な予感がしてみんなに「2、3日分の食料を備蓄しておいたほうがいいかも」と夕方にメッセージを送る。案の定、夜には週末の外出を自粛するようニュースで流れて、スーパーは食料を買い込む人で溢れてしまった。こういうのって、どうにかならないのかなぁ。物流は止まりません、って強くアピールするべきだったのでは…。

3月26日(木)
スーパーはやはり空っぽ。一時的なものであってほしいけれど、どうなることやら…。とりあえず売れずに残っていたごぼうと人参、冷凍のさといもを手に入れたので豚汁を作ることに成功。よかった。

3月27日(金)
れいちゃんの友人が来訪。私の出身大学を受験しようとしているらしく、数年ぶりに進学のアドバイス(?)をする。

3月28日(土)
現在流行中のZoom飲み会を我が家とパリの絹江ちゃん宅、近所に住む元住人たちと実施!みんなそれぞれ、どんなふうに過ごしているか、パリがどんな様子かを共有する。

そういえば、震災の頃も友人と会う機会がぐっと増えていた。みんなやっぱり不安を抱えてて誰かと話すことで気持ちを落ち着けてた気がする。今は直接会うことができないけれど、こうやってオンラインで会えるのがありがたい。

3月29日(日)
びっくりするほど寒い。寒暖差のあまりに頭がぼーっとする。熱はないけど、外出を控えなければならない時期でもあるし、存分に寝て過ごしてしまう。

3月30日(月)
夜、住人たちでお茶を飲んでいるとやっぱりコロナの話に。お気に入りの担々麺屋さんに行けなくなったときのために食べてきたという今井くん。私は外に出るのがもともと好きな性質なので、長期間引きこもるために部屋を居心地よく改造しなくちゃなと思う。昴君は引きこもるのに慣れているので全く平気そう。すごい。

3月31日(火)
一番遅く帰ってくるのは純君。私は自分の意思で自分のいる場所を決められるけれど、会社勤めの人は嫌でも通勤電車に乗らなくちゃいけないわけで・・・胸が痛い。私が昔勤めていた会社の同僚たちも、もやもやしているみたいだ。

浅井 真理子

浅井 真理子

もの書き。
エッセイを書いています。

Reviewed by
黒井 岬

9年前の震災を思い出すほどに、異様な時間の中に今私たちはいる。終息する頃、それがいつになるか分からないけれど、どんな景色が見えているだろう。トンネルの出口はまだ見えないけれど、だからこそ、困りごとも孤独も分かち合える相手がいることを忘れずにいよう。

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