「無限ホテル」をご存知だろうか。
「無限ホテル」はその名の通り、無限の部屋があるホテルだ。
ある日、「無限ホテル」に無限にある部屋は、すべて満室になっていた。
そこへ一人の男が部屋を求めてやってくる。
「無限ホテル」の支配人は、慌てずにこう言う。
『ご心配には及びません。1号室のお客様を2号室に、2号室のお客様を3号室に、とすべてのお客様を移動すれば、一つ空き部屋が出来ます。何せ、このホテルには無限の部屋があるのですから。』
しばらくして、「無限ホテル」にバスが到着した。
バスの中には、なんと無限の客が入っていた。
「無限ホテル」の支配人は、やはり慌てずに言う。
『ご心配には及びません。1号室のお客様を、倍の数の2号室へ、2号室のお客様を倍の数の4号室へ、3号室のお客様を倍の数の6号室へ、とすべてのお客様を移動させれば、奇数番号の部屋はすべて空室となります。奇数番号の部屋は無限にあります。何せ、このホテルには無限の部屋があるのですから。』
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この「無限ホテル」のたとえ話は、「無限」の性質について説明された例え話だ。これは自分たちの直感に反する、理解しがたい話に思える。
しかし、無限とは「そういうもの」なのだ。
数学の本を読んでいると、しばしば自分の直感と反することが正しいと証明され、混乱する。A=B、B=C、C=D、….Y=Zであるなら、A=Zです。
一つづつ梯子をつなげていくことで、思いもよらなかった場所に到着してしまうことがある。一見A=Zが不自然に見えても、それは真実です。
この「無限ホテル」は一つの例えですが、自分はこのように、自分の感覚と反する、しかし確実に正しい事象について知るのが好きです。己の存在や感覚など実に不確かで、透明に近づいていくような感覚があります。
しかしそれは良いことばかりではなくて、困ったこともあります。
自分の「感覚」を信じなければならないこともある。
例えば、絵を描くことなんかはそうで、双方のバランスをとるのはなかなか難しく、目下の悩みです。