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3F/長期滞在者&more

「感覚」について

長期滞在者


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「無限ホテル」をご存知だろうか。


「無限ホテル」はその名の通り、無限の部屋があるホテルだ。

ある日、「無限ホテル」に無限にある部屋は、すべて満室になっていた。
そこへ一人の男が部屋を求めてやってくる。

「無限ホテル」の支配人は、慌てずにこう言う。

『ご心配には及びません。1号室のお客様を2号室に、2号室のお客様を3号室に、とすべてのお客様を移動すれば、一つ空き部屋が出来ます。何せ、このホテルには無限の部屋があるのですから。』

しばらくして、「無限ホテル」にバスが到着した。
バスの中には、なんと無限の客が入っていた。

「無限ホテル」の支配人は、やはり慌てずに言う。

『ご心配には及びません。1号室のお客様を、倍の数の2号室へ、2号室のお客様を倍の数の4号室へ、3号室のお客様を倍の数の6号室へ、とすべてのお客様を移動させれば、奇数番号の部屋はすべて空室となります。奇数番号の部屋は無限にあります。何せ、このホテルには無限の部屋があるのですから。』



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この「無限ホテル」のたとえ話は、「無限」の性質について説明された例え話だ。これは自分たちの直感に反する、理解しがたい話に思える。
しかし、無限とは「そういうもの」なのだ。

数学の本を読んでいると、しばしば自分の直感と反することが正しいと証明され、混乱する。A=B、B=C、C=D、….Y=Zであるなら、A=Zです。
一つづつ梯子をつなげていくことで、思いもよらなかった場所に到着してしまうことがある。一見A=Zが不自然に見えても、それは真実です。

この「無限ホテル」は一つの例えですが、自分はこのように、自分の感覚と反する、しかし確実に正しい事象について知るのが好きです。己の存在や感覚など実に不確かで、透明に近づいていくような感覚があります。


しかしそれは良いことばかりではなくて、困ったこともあります。
自分の「感覚」を信じなければならないこともある。
例えば、絵を描くことなんかはそうで、双方のバランスをとるのはなかなか難しく、目下の悩みです。

coca

coca

1988年、長野県生まれ。
coca、または古河郁という作家名で、絵や文章を書いています。
物理、数学、天文学、鉱物、錬金術を主なテーマとして作成しています。


書籍「風景のある図鑑」 https://minne.com/items/1739054

Reviewed by
中村 梨々

この世で一番あてにならないのは自分の「感覚」。だけど、そのあてにならなさを信じることができるのも、やっぱり自分なんだろうな。悩み多きこの世界に幸あれ!

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