長期滞在者
冬に向かう日々。 流行り病の情報をインプットされた状態で生活すると、誰かに指示されたわけでもないのに窮屈な箱の中で生きているような気持ちになる。そのせいか、誰かと食事をして語り合う時間は心の底からほっとする。 それでも、大掃除の話や年末年始の過ごし方を話し合っているうちに、本当に一年は終わっちゃうの?という気持ちになる。私たちの一年、誰がこんなふうになると想像できただろうか。 明るい未来を描いてや…
長期滞在者
小さい頃からの癖で、ことばに書き出すのが習慣にあまりない。主に、五感で体験できる事物をつくったり、表現したり。言語と非言語の狭間をことばとして日常で用いていたのかもしれない。3歳からタップダンスに出会ったり、子役として演技をしていて身についた部分なのかなと今は思う。 この文字に出力してみて、気持ちを伝えたり思考と想像を綴るのは、発病したPTSDにおいてもリハビリとしての側面があるので積極的に実践し…
鍵を開けて 詩人が「しょぼい喫茶店」に立った日々のこと
しょぼい喫茶店は二階にある。入り口にたどり着くためには、道路に面した小さなビルの入り口をくぐり、階段を一度折り返さないといけない。そうしてようやくドアの前にたどりつくと、ドアにこう書いてある。 いらっしゃいませ。ここは「鍵のかかったカフェ」です。ドアには鍵がかかっていますが、お店は開店しています。どなたでも鍵を開けることができます。ドアをノックして、なにか言われたら 「■■■■■■■」 と答えてく…
長期滞在者
コロナ禍で遠出することが無く外出する頻度は確実に減ったが、ここ1-2ヶ月は遠出することが増えた。 <出張> 職場で様々な地域に入り込む案件が増える中、国内を出張する機会が増えた。 免許を持っているものの、学生時代に取得してから一度も運転していないためレンタカーを使うこともできず、コロナ禍ではあるが電車で移動せざるを得ない。 (満員電車や地下鉄を除き)基本的に電車に乗ることが好きだが、それは小さい頃…
長期滞在者
小学生のころ1~2年だけヤマハの音楽教室に通っていたことがあり、短い期間なので残念ながらこれと誇れる楽器の熟達には至らなかったのだが、楽典の基本は子供なりに学んだ。なので楽譜は読めるのである。読めるといっても、まぁあれだ。サリエリがモーツァルトの総譜を見ただけで涙を流す、みたいな「読める」ではなく、時間をかければ解読できる、というレベルなのだけれど。 中学高校のころYMOの一大ブームがあり、市立の…
長期滞在者
先日鳥取県は赤崎という小さな港町へ出かけてきました。 目的は日本のピクトリアリズム期を代表する塩谷定好さんの記念館に一度行ってみたかったのです。東京ではあまり話題にのぼることが少ないですが、大正モダンの時代から綿々と続く「芸術写真」の聖地なのです。はたして、鳥取駅から汽車を乗り継いで2時間弱、赤崎の駅に降り立ったのですが、黒く焼かれた西日本杉板壁と黒っぽい瓦葺きの低い屋根の建物が、肩を寄せあうよう…
長期滞在者
待ち望んでいたその日は、こんな輝かしい天気の日に良いことが起きないなんてあり得ないと思うくらいの青空が広がる朝だった。 これから大事な仕事に行くという日の朝には、U2「Beautiful Day」を聴く。2000年10月30日に発表された、U2にとって10枚目となるスタジオ・アルバム『All That You Can’t Leave Behind』からのリードシングルとなったこの楽曲は…
Mais ou Menos
まちゃんへ 展示会お疲れ様でした。 無事たくさんの方々に見に来ていただいて、終えることができて感謝です。自分たちの作品を、自分たち以外の人に見てもらえる喜びを知りました。終わったところで早速やけどまたやりたい。 今回の展示会で一番印象に残ったのは、まちゃんのカーディガンが着る人によって、すごく印象が変わること。これは自分たちで着るだけじゃ知ることができなかった新たな発見やった。 あと、展示会を予約…
スケッチブック
10月7日 今日は休みと決めて夫とランチを食べに行った。選んだお店はとても賑わっていてたくさんの話し声が木霊していて周りの音が気になって 何を話したのかあまり覚えていない。 でもなぜかもう少しだけと思って デザートを頼んで 話題を転がしていたら あっというまに30代が終わりそうなこととその割には自分のやっていることが小さいなと思っていること周りに本気で社会と接続して 邁進して形になってきている人た…
鍵を開けて 詩人が「しょぼい喫茶店」に立った日々のこと
前回に書いたように、場を持つにあたって、そこに固定されたコミュニティができてしまうのがもっとも怖かった。お互いに親密な決まった顔ぶれが場を占めるようになると、はじめて来た人を仲間外れにしてしまう。 「しょぼい喫茶店」、特にわたしの営業に来てくれる人は、だいたいがインターネットで情報を得てやってくる。馴染みのない土地のはじめて入る店までひとりでやってくるのは怖いし、そのうえしょぼい喫茶店の入り口はド…
Do farmers in the dark
今月も娘と出かけた事をやっとの事で書いています。いつも来月こそはちゃんとやると言って今月も何もやらずみすみません。ではよろしくお願いします! 〈1〉散々な日々 散々な日々、散々な日々だよ。相変わらずラッキーな事ばかりだけども、ただ何となく悲しい。寒くなってきたからだ。寒いと悲しい。最近でいちばん楽しかった事は夢の中で赤黒いひまわりみたいな顔をした悪魔が途方もなく面白い事を言った事だ。 日本語ではな…
長期滞在者
未来が明るいものだと信じて生きたわけでは決してないけれど、だからといってやさぐれた気持ちで生きてきたわけでもない。 ただ今月は、どんどん視野が狭くなっていくような気持ちがして怖くなるときが何度かあった。 どうにもならない、逃げ場のない感覚。 友人と会って、能を鑑賞して、食事をしながらなんとなしに喋る時間があると、その薄暗い感覚が和らいでいくようだった。 やっぱり、人と会わない、外の世界に触れない、…