長期滞在者
いくつかの作品を引き取るために、先日 レジェンドと呼んでも差し支えない作家さんのご自宅へ行ってきました。今はご遺族がプリントと原版の管理をされているが、アトリエを処分してしまったので、自宅のマンションに棚をたくさん入れて、50年分の写真のことを全部収納してるということで、実際行ってみたら、自宅の一角どころか、自宅の大半がその作家さんが残した作品などで、むしろ塊の中で暮らしているようにも見えました。…
長期滞在者
わたしにとっては、その年はじめて茄子を食べた日から、夏が始まる。旬の茄子を手にとって眺めてみてほしい。太陽の強い光がぎゅっと濃縮して、それでかえって漆黒になってしまったかのような、つやつやとした紫色をしている。光にちらちら当ててみると、深い水の底をのぞきこんだときのように、紫色に深みを感じることができる。キュッと曲がった形をしていて、切りづらかったりもするのだけれど、その型にはまらない感じすら愛ら…
日本のヤバい女の子
【9月のヤバい女の子/期待とヤバい女の子】 ● アマテラスオオミカミ ――皆が自分を見ている。自分の働きを待っている。でも少し、ほんのちょっとだけ、10秒くらいでいいからそっとしておいてほしい日もあるのだ。 ――――― 《天岩戸(古事記)》 アマテラスオオミカミは警戒していた。ものすごい足音を立てて弟・スサノオノミコトが高天原へ向かってくるからだ。スサノオは父・イザナギノミコトに命じられて海原を治…
Mais ou Menos
まちゃん、往復書簡を読んでくださるみなさんへ こんにちは、PQです。 前回は往復書簡を始めて、初めてまちゃんに対して手紙を書くことができなかった。 実は、書いてたんやけど、いざわたそうと思ったときに、これは今の本当の自分じゃない、自分はこういうことが書きたいんじゃない、と思い、手紙を捨ててしまった。 自分がどうしたらいいかわからなくて、苦しくて、気力がなくなっていた。 でも、今、ゆっくり過ごす時間…
Do farmers in the dark
こんばんは!すみません。なんというか、今月はとにかく夏で忘れ物が多くてウロウロ歩いたりでエネルギーを消耗してしまい、日に焼けてよく眠れて体調は凄くいいんだけどなんだか疲れてしまい何も出来ませんでした。そのため今回はお休みのような回になっています。すでにSNSにも載せている最近描いた特にタイトルの長い絵と、あんまり意味のないとりとめのない文章を何とか脈絡なく日付をつけて日記風にしたら読めるんではない…
長期滞在者
世界が素晴らしいと思えないときがある。 人生にはいろいろなことがあるから、それは別に不自然なことではないと思う。 ただ自分を少し見つめ直すだけだ。 ぼんやりとした私は生活の営みを通してぐいぐいと現実に引き戻される。 だから私は家にいるとほっとするのだ。 8月1日(水) 洗濯物を取り込んでいたら羽虫が入ってきて天井に張り付いてしまった。私は椅子に乗っても天井に手が届かないので、部屋にいた昴君を無理や…
それをエンジェルと呼んだ、彼女たち。
インドの友人、ソナルの家族は彼女の婚約者、前夫との長女、ミャンマーから養子に迎えられた次女、叔母さんの4人家族。そこに住み込みの若いメイドさんふたりとシッターの中年女性、心優しいけれどやや天然なドライバーが加わると8人家族。今回はソナルの叔母さん、ディディのことをお話しよう。 ディディ(インドで年長の女性を慕って呼ぶときの「お姉さん」という意味合いの言葉)は、陽気で優しく、60代とは到底思えないよ…
お直しカフェ
私はカフェが好きだ。北千住のBUoY(ブイ)というアートセンターの中にあるカフェで月に数回店番をしている。ひょんな繋がりから人生3度目となるカフェ開業、構想や内装施工からに立ち会った思い入れのある店だ。元銭湯とボーリング場という廃墟同然だった場所を最低限の手直しで劇場やカフェにした、ヘンテコな場所。 私が店番をしていて好きなのは、一日中その場所のことを考え、整えながら、誰かがやって来たらその一角を…
長期滞在者
大学の後輩が某航空会社で CAをやっていて、 ブリュッセルに来るというので、 20数年ぶりに会って食事をした。 当時から人付き合いの苦手だったぼくは その後輩ともあまり話したことはなかったのだけど、 会ってみると意外と覚えていることもあるもので、 危惧していたほど会話に困ることはなかった。 西洋舞踊専攻のコースに在籍していたぼくたちは、 それぞれ踊ることはあまりなくなっているけど、 やはりその大学…
長期滞在者
体調の浮き沈みは、病気になってから日常的なものになっているけれど、8月中旬ごろから水棲ゾンビのような状態でいます。 まともな精神状態をキープするのって、どうしてこんなに難しいんだろう。仕事に行く、食事を作るなど、生活の基盤となる様々なことがままならない状態が続くと、人ってこんなに心が荒むんだって、この身をもって実感している。人と建設的なコミュニケーションをとる余裕もないし、ましてや、溢れ出す思考を…
長期滞在者
小説を読みながら、音楽を聞きながら、映画を見ながら、「まるで自分のための作品のようだ」と感じる瞬間がある。 特に孤独を感じているような時、そんな作品に出合うと、固く閉ざされていた扉が開いたような気持ちになる。見つけたのは自分なのに、世界のほうが見つけてくれたような気持ちになる。 スペインのブロガー、マイク・ライトウッドさんが書いた小説『ぼくを燃やす炎』は、多くのLGBTにとってそんな気持ちを与えて…
ギャラリー・カラバコ
この鍵が届くようになって3回目。 今日も満月の夜だ。 真上から照らされて、わたしには影がない。 影は、わたしをどこかに結びつける役割をしていたのかもしれない、と思う。 ギャラリーの扉を開く。 〈前回までの展示〉 『縫い目』 『つむじ』 — 「鏡」 絵: 古林希望 文: カマウチヒデキ ーーーー 共通のタイトルだけを手がかりに2人の作家が絵と小説を別々に制作し、掛け合わせていく企画「ギャラリー・カラ…