当番ノート 第61期
ーでは、今度はお話の途中で質問をさせて頂きますので、もう一度最初からお願いできますか? はい、ええと、僕が高校生の頃の話なのですが、その頃自分は出身地の××県から⬜︎⬜︎県の高校に通っていて、普段は高校の近くに借りたアパートで一人暮らしをしてるんですけど、ちょこちょこ◯◯線に乗って××の実家に帰っていて。 ーはい。 その日は、テスト前で学校が昼に終わったんで、実家の方に帰ろうかなって、◯◯線に乗っ…
当番ノート 第61期
前回、今の自分にとっての自分語りの位置付けについて話した結果、正直何を書けばいいのかわからなくなってしまった。しかし連載は続いている。もはや自分の言葉に何の価値も見出せないのに、人様に感想までいただいた上で掲載されるのが苦痛だ。表現したいという欲求が消えているのに白いページを埋めていくのは多方面に失礼な行為ではないのかと己に問いかけている。 一週間悩んだ結果、どう転んでも私には私の話しか書けないと…
長期滞在者
先月書いた写真修行僧の話。毎月1冊、その月に撮った写真だけで写真集を作り、年12冊を完遂するというミッション。1月号( A5サイズ96頁 )はすでに数日前に本が完成してビーツギャラリー* に納めた。もう設置され閲覧できるので、ぜひぜひご覧ください。後半になってきたら苦しいんだろうけど、まだ最初の月だから楽しい。 せっかく毎月1冊なんて特別なことをするのだから、いつもとは違うことを織りまぜてみようと…
当番ノート 第61期
こんばんは、オオタケです。 突然ですが、私は愛煙家です。 普段、音声のみで怪談と雑談の配信をしている際にもタバコを吸いながら話しているのですが 「オオタケさんがそんなに絶え間なくタバコを吸うのは、魔除けの意味合いがあるのですか?」 とご質問いただいたこともあります。 タバコによる魔除け。 有名なのは「タクシーの運転手さんが、非喫煙者でもダッシュボードにタバコを一箱入れてる」というやつでしょうか。 …
当番ノート 第61期
最初に書き添えておきたいが、私は「コンプレックスや障害について」書き綴っている人を否定したいわけではない。ただ今の私にはフィットしないものだと言いたいだけだ。 他人が読んで面白い、価値があると思うものを書く能力があるという自負が消えつつある。あれほどエッセイという分野にこだわり、自分のことしか書けないと言い張っていた過去を振り返ると、信じられない気持ちが大きい。しかし、今となってはみなぎっていた自…
当番ノート 第61期
こんばんは、オオタケです。 わたしは書類の職業欄に「主婦」と書く生活をしています。 こまごましたお仕事なんかはしたりするのですが、てんでバラバラな諸々に手を伸ばしているので、自分をなんの所属とすればいいのか分からないのです。 上記の通り何かやるにしろ、一番多いのは自宅での作業です。 そうです。基本ずっとアパートメントの中にいます。 そんなアパートメントで、夫婦二人暮らしの中でもうひとり、我が家で同…
当番ノート 第61期
「書く」とは飛び道具のようなもので、頭の中の雑念を取り出して一つの文章にすることで綺麗に決着をつけるというか、前に進ませてくれる源になる気がしている。その推進力にあやかりたくて、今まで自分語りを量産してきたのだが、どうも過去の事例と同じように片付かない現状を感じている。 先週、やっかみを丸出しにした社会的弱者の悲鳴が漏れ出る文章を書きながら、これはいったいどこに向かっているのだろうと思っていた。結…
当番ノート 第61期
皆さんは、お化け屋敷はお好きですか。 わたしは大の苦手です。 ホーンテッドマンションを指の間から薄目で見ながら縮こまって乗っているのが精一杯です。 皆さんは、ホラー映画はご覧になりますか。 わたしはとっても苦手です。 二人以上で、なおかつ顔を手で覆い隠しつつ、更に大絶叫で実況しながらでしたら、なんとか視聴可能です。 皆さんは、怪談はお好きですか。 わたしは大好きです。 目の前で何かが飛び出してきた…
当番ノート 第61期
生きているだけで尊いという絵空事をこの身で裏切りたいと強く思う。そこにいるだけでいいよという優しいメッセージは私にとって資本主義、ひいては社会からの解雇通告のようなものだ。リストラされたけれどお情けで生かされている現状に一矢報いたい。生きてるだけで尊いのはわかっている。でも存在しているだけで自分を認められるほど、私は強くなかった。 去年の連載のテーマは、日常エッセイを通じて「生活保護でも案外生きら…
当番ノート 第60期
ボツがボツであるために 「欲しいような、いらないような…」 ハズレ(いらないもの)をアップデートした作品を、ハズレの上位互換品と命名して制作している私ですが、その制作過程でいくつものボツ案が生まれています。 「ボツ案とはいえ、形にしたらそれなりに面白いのでは?」「私がボツにしているだけで、意外とボツじゃなかったりするのでは?」 という考えで始まったこの週刊ボツも、今回で最終回となります。 今回は「…
長期滞在者
年末年始に帰省した時に訪れた奈良県大宇陀エリアの写真を使って文章を書きたくなり、訪れたスポットを繋いだ創作を1つ。 【創作:何がなんでも奈良】 「奈良にでも行かへん」 年末年始に実家に帰ってきても友人と会うでもなく、遠出するわけでもない僕を見かねて、母が言った。 「なんで奈良なん」 「普段あんま行かへんし、こういう時にええんちゃうかと思って」 「こういう時ってなんやねん。まぁええわ、行ってみようか…
長期滞在者
調べてみたら去年(2021年)は年末のギャラリー・ライムライトの『モノクロベスト2021』にしか写真展というものに出展していなかった。では一番最近の大きな展示といえば何かと考えたら、なんと3年前(2019年2月)の藤田莉江さんとの二人展『Strangely beautiful』が最後なのだ。2020年に大阪ブルームギャラリーのイベントに出展しているが、これは壁面展示もあったけどポートフォリオ展示が…