当番ノート 第36期
恋人と知り合ったとき、自分はこういう人と出会うために生まれて生きてきたのかもしれない、と思った。 浮世離れした人だ、という印象を最初に持ったのを憶えている。 直接会って言葉を交わした人の中で、浮世離れしているなどと思った相手はあまりいない。 たくさんいたって困る。 知り合ったあと、私たちはときどき何人かの友人たちと共に食卓を囲んだり、映画を観たりした。 コンビニでお酒を買って飲みながら、あても無く…
当番ノート 第36期
タイトルの “fail, fail again, fail better” はサミュエル・ベケットさんという劇作家・小説家の言葉。 最近読んだ本の中で心に残った言葉です。 世の中には、こんな風にしたら成功するよとか、もっと早くできるよという元気いっぱいの本も沢山出回っていますが この本はその方向ではなくて。 生きていると悲しみや失望、挫折が次から次に形を変えてやってくることもある。 いろいろ思うよ…
当番ノート 第36期
家人がタートルネックのセーターを買ってきた。 タートルネック…日本語だと「とっくりのセーター」となる。 …とここまで書いて、疑問が湧いた。 昭和56年生まれの私でも「とっくりのセーター」と言うとき、少し気恥ずかしく、若干の躊躇いを伴う。 疑問とは、英語圏において、タートルネックはその気恥ずかしさを伴わないのか?つまり、タートルネックと言う呼び方は古びてないのか?その場合の「とっくりのセーター」に対…
the power sink
表題:僕の脳のまわりに、何者かの手によってレールが敷かれ、何者かの手によってミニカーがセットされ、何者かの手によって行われるミニカーの攻撃によって、これから0.2秒後に僕の脳は重大なダメージを負うことになるだろう。(普通のミニカーなら、たくましい脳なら大丈夫だろうけど、このミニカーはトゲみたいなのがついていますから)。この場合何者かというのは自分自身の事だ。普通にしているとこのミニカーレールは建造…
当番ノート 第36期
1995年の1月にフリーランスになりました。 それからも仕事は順調でした。 前回のコラムで書いたような長い旅回りの仕事の割合はだんだんと増えてきました。 家庭の事情などで長く家に帰れない仕事を嫌う同業者も多かったからです。 一方ぼくは、そうした地方を転々とするような暮らしが性にあっていたのでした。 また長い期間拘束されるので細々と仕事を取る必要がなくて楽だったというのもあります。 また年齢の近い演…
当番ノート 第36期
以前、ライターとして高校生向け情報誌の仕事をしていた時に、物理の定理や法則の名前を知る機会があった。 高校で物理なんて無縁の科目であったし、物理用語が意味するところは、まったく理解不能だったのだけれど、 なぜか時々、仕事の段取りや人との関わり方のことなどをぼんやりと考えているときに、 法則の名前なんかが不意に頭に浮かんだりすることがある。 そうして勝手な解釈で、その定義をつらつらと紡ぎ始める超文系…
当番ノート 第36期
来年の目標はなに?と友人に唐突に訊かれて、ほとんど頭を抱えたい気持ちになった。これを書いている今はまだ、2017年だ。 一年の抱負を決めてそれを実現することが、恐らく私はめっぽう苦手だ。 2017年の抱負は、英語を上達させることだった。どの程度なら上達したということになるのか曖昧だったせいもあり、これを達成できたかどうか、正直なんとも言えない。 留学して半年が経つけれど、授業は毎日難しくて毎日唸っ…
当番ノート 第36期
You can drop your names, identity, your job… etc., for now and just be. – 自分の名前も、社会的立場も、仕事や役職も手放して、今はただまっさらな自分として。 新しい一年、数字がめくれたからといって急に何かが大きく変化するか。 きっと、そういうことでも無いんでしょうけど まっさらなところから 自然に生まれてくる変化のひとつひとつ…
当番ノート 第36期
常に自分に課題を課す漢、それは私。 かれこれ3年間にわたり、毎日、1日1問の質問をし、答える。そんな課題を自分に課すと言う遊びをしている。 事の発端は「質問」と言う1冊の本との出会いだった。2014年の晩秋だった。 この本、開くと1ページに1つの質問だけが書いてあって、全部で365ページある。つまり365の質問が書いてある。答えはない、質問だけの本。とても潔い本である。 ちょうど年末に差し掛かって…
当番ノート 第36期
1995年の1月、立ち上げから3年間勤めた会社を辞めてフリーランスとしての第一歩を踏み出しました。 自分が舞台業界で暮らし続けていいのかを確かめたいというのが、フリーランスになった動機の根底にありました。 なので周囲の方や取引先の方に、フリーランスになったことを積極的には伝えていませんでした。 それで仕事がこなくなったら商売替えしてもいいやと覚悟を決めていました。 そしてどうなったかというと、会社…
日本のヤバい女の子
【1月のヤバい女の子/矛盾とヤバい女の子】 ●北山の狗の妻 ――――― 《北山の狗 、人を妻とする語(今昔物語 巻三十一/十五話)》 今となっては昔の話だが、京に一人の男がいた。ある時男は北山へ遊びに行った帰りに道に迷い、山の中で小さな庵にたどり着く。 声をかけると中から二十歳ばかりの美しい女が出てきた。突然の来訪者にたいそう驚いている。道が分からなくなって帰れない、今夜泊めてほしいと頼んだが、彼…
長期滞在者
門松は 冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし ということで、イェーイ!2018年もご用心、ご用心! by 一休 メメントモリでも一応あけおめ〜。 やっぱり定番は座りが良い。 だから海老一染之助、染五郎師匠の 太神楽芸がもう見られないのは残念至極。 (それにしても2018年ってすげーな、なんか。 数字面がSFっぽい。) とか書いている今は実はクリスマス。 西洋のこの日は日本の大晦日のよう…