当番ノート 第34期
一点の傑作を作るには自分の特性を知ることだ、熟知する事だ、痛みを伴うほど。特に欠点を、少なくとも私には。 2001年春に富山を出郷して丸3年が経ち、ようやく私は全てを手に入れた。作品を作るためのアトリエ(旧西塩田小学校という廃校)、軽トラ、制作資金(月収16万円の深夜のレンタルビデオ屋さんスタッフ)、住居(離れで居候)。あとは作品を作るだけである。作るべき作品は既に模型まで用意してあった。久し振り…
当番ノート 第34期
「愛し合ってるかい?」 というのは日本人ロックンローラー忌野清志郎の有名な決め文句だが。 「愛し合っているかい?」というのはジョンレノンとオノヨーコが言う分には納得がいくが、 私達日本人にはどうも違和感があり、日常でそんなことを決め文句に使っている奴がいたら率直に言って野暮ったいし、 気味が悪いし、うざったいし、信用ならない。 なにかしらのセミナーに勧誘されるか、質問の意図がわからずに助平なことを…
当番ノート 第34期
たかだまなみです。 ようこそ私のアパートメントへ。 多少、悪趣味なアートを飾っていますが、どうぞどうぞ中へどうぞ。 ドリンクに氷を入れて平気ですか? この夏はというと、29年間の岐路を振り返っていますが、実はあんまり気持ちの良い作業でもないんです。 思い出したくないことは、汚れて手入れの必要な靴みたいに、いつまでも放置されがちだし、 例にも漏れず私も長いこと放ってきたんです。 否、放ってきたという…
当番ノート 第34期
地域との挨拶 まず、私が子どもの頃、30年位前の話を。 墨田区は地域と家庭の絡みが比較的、他より濃い土地柄だと思います(都会のわりに)。朝の通学路では出会う大人だいたいに挨拶を交わしながら、小学校へ通学していました。私だけでなく私の友人も同じように挨拶をしていたので、地域の空気全体が通学中の子ども達を見たら送り出す。こんな雰囲気が街に満ちていたんだと思います。子ども会も盛んで、プール旅行…
長期滞在者
どういうわけか、夏は毎年必ず、とてつもない緊張感を抱える仕事が入る。 2017年の夏は、バスケットボール女子U24 4カ国対抗2017での競技MCがそれだった。 8月12日、13日、15日に開催されたこの試合で、私は12日と15日の2日間を担当した。 国際試合でのMCを務めるのは初めてのことで、前日となった11日夜のリハーサルからわくわくしていたが、 同時に、経験したことのない国際試合の空気に飲み…
当番ノート 第34期
運転免許を取って以来、一度も運転していない。 東京に来るまでの人生の中で、熊本の市電以外の電車に乗った回数は片手で数えるほどで、遠出するとなれば足は父の車かバスだった。僕は車社会のただ中で育った。でも東京圏の鉄道生活が長くなると、レールに沿って進んでいる安心感に慣れ切ってしまった。たまに狭い東京の街をぶっ飛ばすタクシーのお世話になることもあるけれど、乗車中も彼らの仲間には絶対になりたくないと思って…
長期滞在者
「いーるかいらんか、じゃんけんほい」 という言葉が唐突に思い出されて、何だったっけかと古い記憶を掘り起こしてみる。 小学生の頃、空き地で野球をするのにチーム分けをする。いつもリーダー2人は決まっていて(2人は群を抜いて野球がうまい)、その2人が交互に集まった子供を自分のチームに引き抜いていく。2チームによるドラフトだ。 1人余ったら、リーダー2人が「いーるかいらんか(要るか要らんか)」じゃんけんを…
当番ノート 第34期
一点の傑作を作るには、失敗しても何度でも立ち向かう精神が絶対不可欠だ、少なくとも私には。 2002年8月、長野県上田市旧西塩田小学校で開催された「海の向こうより山の向こう」という展覧会は、20代前半の美術大学を卒業したり・してなかったりの人たちで構成された実行委員会(私が実行委員長をやらしてもらった)が主催であったにも関わらず、21日間の会期で5603名の来場者があり成功裏のうちに終わった。どんな…
長期滞在者
表現とは世の中の常識からちょっとはみ出たりして、多くの人の無関心なことにさざ波を送るようなもので、ある種の違和感を生じさせるようなもの。それなのに、展示構成や、セレクションの助言の現場では、会場全体のバランスを重視する傾向が強い印象を持ちます。はみだすことを是としていたはずが、なぜ土壇場の発表直前に急にバランス感覚を持ち出してくるのか不思議で仕方がないのです。もちろん、練り上げられた構成、配列も含…
当番ノート 第34期
ハロー エブリワン。 イェーイ! 元気ですか? 私は今どんなことを言葉にまとめようかなって、考えて選べずにいる。 いろんなことを書きたいと思うのに、気分が乗らなくて、上手にテキストにまとめられなくて、何か嘘をついて、どうにか締め切りを伸ばしてもらえないかなーと怠惰なことばかり考えている。テキストを書きたいと言い出したのは私の方なのに、本当に私はいい加減なやつ。 でもこうやって書き始めてみると、なん…
当番ノート 第34期
このアパートメントで、私は期間限定の住人です。 ここに来たわけは、「ながれ」です。いつものことですけど。 そのうち、すぐに出て行かなくてはならないので、表札はありません。 せっかく来たんだから部屋の中も、どうぞ見て行って。 壁や床はところどころ傷んでいるけれど、良く言うと味があります。 近々ぜんぶDIYして、素敵な木目の壁に変えてやるんです。 キッチンは群青と水色のタイル張りで、清潔でシンプル。 …
Mais ou Menos
ぴちゃん 今日はすごく涼しいね。ここ数日、雨の日が続いているけれど、すごしやすくてたすかる。 この一ヶ月間は、いろんなことが起きて、いろんな変化があった。体調不良の理由がわかって、検査のために一週間入院をしたり、毎日のルーティンがすこし変わったりしたね。なにより、自分が指定難病になるなんて、まったく予想してなかった。メンタルの問題でもなく脳の問題だったなんてね…。 個人的には、この数ヶ…