当番ノート 第34期
前回に引き続き[家族]について書かせて頂きます。 とれえず兄弟 四人兄弟なので私以外にあと三人います。兄は特養老人ホームの施設所長、弟は一般企業、妹は作業療法士、皆それぞれ面白そうな仕事に就き、めちゃくちゃ素敵な伴侶を得てます。兄弟仲もとてもよく、お正月に「隅田川七福神めぐり」の一箇所として忙しい百花園を、兄弟と各々の伴侶は子育てしつつ、仕事の休みを捻出して手伝ってくれるのです。そして正…
当番ノート 第34期
日曜日、土砂降りのフジロックが明けて晴天だった。 越後湯沢駅から最終日の苗場へ向かう、軽装の人々を横目に帰路につく。上野で友達と別れ、まだ耳の奥でグルグル回っている昨夜の残響が消えないうちに、昨日一昨日観てきた人達の作品を探しにレコード屋に向かう。 レコード屋に入ると、誰かの対談イベントをやっていた。声の主が誰かはわからない。ヒップホップの話をしていることはわかるけれど、なにぶん疎いもので、陳列棚…
当番ノート 第34期
1点の傑作を作るには他者との摩擦が必要だ、たとえ交流の仕方すらわからなくてもまた、その他者が交流を望んでなくとも。すなくとも私には。 新しい千年紀が幕を明け2001年、私は横浜にいた。1990年代後半、私は富山県の片隅で工場勤務のかたわら美術を志していたが東京からやってきた美術大学の学生たちと出会ったショックにより5年も勤務した工場を辞めBゼミという横浜にある現代美術の私塾に通い始めていた。 この…
当番ノート 第34期
最近ガンジス川のことをよく考える。というか、思い出したり思いを膨れ上がらせたりしている。 カレーがテーマのグループ展に参加すると決ってから、ずっと繰り返しインドのことを考えている。 今までずっと思い出すことなどなかったのに。 例えば、毎日通っていたラッシー屋さんから見えた8〜11人くらいの男達が花や衣装で彩られた死体を担いで、かけ声を掛け合いながら運動会さながらガンガーの火葬場に向かって爆走してい…
当番ノート 第34期
築29年のたかだまなみです。そろそろ水回りをリフォームしたいお年頃。 アパートメントで過ごすひと夏は、人生の「岐路」を思い出して過ごしています。 あなたも一緒にどうですか? 私という部屋は仕切りがなくって全部見えるし、声だって筒抜けです。 すみっこには、やりかけて夢に終わった趣味の道具や、何が楽しいか全く不明であろうガラクタが積んであります。 でも、あなたが来て、一緒のじかんを過ごせるのを楽し…
the power sink
表題:げぇ〜!!またまた、再びあのケージの中だ!くっそう! 今回も絵を載せます。見て頂けると嬉しいです。 ではよろしくお願いします! 雲はひび割れていたっけ 僕は輝く星の下で、全身全霊で、力いっぱい嘘をついた 僕達は根っからのワルではないけど、何となく、とても盗みがしたくて軍手をはめてみた。顔にマスクもはめたかもしれない。でも、…
当番ノート 第34期
今日は「家族」もしかしたら2回に分かれる気もいたしますが・・・ まずは祖母から。*百花園を主に書くので母方は今回お休みします。 百花園の七代目。江戸弁(私は違いが良く判らないのですが、どうやら言い回しが江戸弁らしいのです。)をあやつり、戦後焼け野原になり、野球場改修案が出た百花園跡地を署名を集めて再園にこぎ付けてくれた人です。大正最後の生まれ今日8月8日で91歳になる予定でした。しかし今年…
長期滞在者
7月いっぱい、長い休暇を取った。 せっかくなので、南へ向かった。 まずはカナリア諸島に飛んでビーチで日がな一日のんびりと波と戯れ、 そこから地中海に戻って、 以前から行ってみたかったマルタ島で銀細工の職人技を見学し、 そこからやきもので有名なジェンバというアルジェリアの島で リサーチがてら海の青さに身も心もデトックスな数日を過ごし、 そこからマダガスカル島へ飛んで バオバブの大木を見上げながらワオ…
当番ノート 第34期
「蒐集」と書いて読みは「しゅうしゅう」だが、僕は最近まで読み方を知らなかった。 「蒐」の字面から、コレクションの完成のために生活を省みず私財を擲ち、修羅道を往く鬼の如きコレクターの姿を想像して、「収集」とは別個の単語だと認識していた。実際は、殆んど同じ意味で使われている。(似たような勘違いをしたことのある人もいるのでは?)僕の場合、初めて見た「蒐集家」という肩書の人物の写真の形相がそうしたイメージ…
当番ノート 第34期
一点の傑作を作るには膨大な無為な時間とどうしょうにもない駄作が不可欠だ。少なくとも私には。 1990年後半、私は富山県の片隅にある化学工場に勤めていた。三日働いて一日休みで勤務時間は昼番・夕番・夜番と三交代で作業させ24時間、工場は操業していた。狐色した作業着を着て指示された作業をこなす仕事で、タッチパネルで配管を流れる化学的な液体を調整したり出来上がった製品をフォークリフトで運搬したりしていた。…
当番ノート 第34期
それでも地球は回っているのだな。っと思う事がしばしある。 みなさんは松崎しげるが唄う「愛のメモリー」という曲をご存知だろうか? きっとたいていの人は知ってるだろうと思う。もし、知らない人がいたら一度は聞いてみるべきだ。 その「愛のメモリー」であるが、私の生まれる何年も前に発売された曲であるにもかかわらず、物心ついた頃には耳に馴染んでいたし、思春期に聞いてた小室ファミリーやジャニーズ音楽のように私の…
当番ノート 第34期
私は砂漠の女である。 てりたまバーガーの卵そっくりな半熟の太陽に、パキパキと音を立てて水がとび、乾き、飢える。 砂の道には時々ごろりと頭蓋骨が転がっており、「一歩間違えばこうなるな」とあぶら汗をかく。 過酷な場所では、覚悟する人間が勝つ。 もし不意に死んでも、未練に背を向けてクールに成仏しようと心に決めた。 頑張って道を進んで行くと、オアシスを発見し、溺れるほど水を飲んで木陰で休むことができる。 …