長期滞在者
うちじゅう,よとれた おさらや ――よごれた うえ木ばちや ――よごれた はいざらや ――よごれた キャンデーざらや ――よごれた なべや ――よごれた せっけんいれで いっぱいです。 本は どこやら―― めざましどけいは どこやら―― ベッドでさえ,どこにあるのか,わかりません! いすまで おさらでいっぱいなので, すわって かんがえることも できません。 おまけに,ながしも どこにあるか わか…
当番ノート 第29期
////////////////////////////////////////////// 2010年8月25日からの手紙 ////////////////////////////////////////////// 昼下がりに雀の巣を見た。 お母さん雀と、もうすぐ巣立てそうなひな、そしてまだ小さなひな。 ずいぶん育ちに差があるなと訝っていたら 小さな方のひながわずかに飛んで、わたしの肩に留まっ…
日本のヤバい女の子
【11月のヤバい女の子/下ネタとヤバい女の子】 ●鬼が笑う ――――― 《鬼が笑う》 峠を嫁入りの籠が行く。裕福な家庭の娘だった。人々がおめでたい行列を作りぞろぞろと歩いていく。と、そこへさっと黒い雲が現れ、花嫁をさらっていってしまった。 目の前で子供を拐かされた母親は半狂乱になり、娘を探す旅に出る。歩き回っているうちにすっかり日が暮れたので、宿を借りようと山の中のお堂を訪ねた。 古いお堂には庵女…
当番ノート 第29期
図々しくも生きている。 あなたをあんなに傷つけたあとでも。 図々しくも生きている。 誰かを知らぬ間に踏みにじったあとでも。 道案内は、親切にできる。 どんなにゆがんだわたしでも。 食べ物を求める空腹になることができる。 どんなに罰当たりなわたしでも。 図々しくも生きている。 食べ、眠り、生きている。 生きることでしかつぐなえないものへ向けて。 生きることでしか生み出せない明日へ向けて。 ̵…
長期滞在者
セイヨウニンジンボクのトンネル、淡い緑が曇り空にもよく似合う。比良おろしが吹いて、木々が風に揺れる、暴れる。吹き付ける風の中に、微かな二度咲きの金木犀が香る。山の向こうから雨が流されて、しまける。小さな柚子の木には、数百をゆうに超えそうな数の柚子、柚子、柚子。懐かしさと言い様のない寂しさがこみ上げて来る。懐かしさはなんでいつも寂しさを伴うんだろう。 滋賀の秋はとても美しい。吹き始める山風が冷た…
当番ノート 第29期
隣の家に住むちびっ子は今日も朝から元気だ。 「お姉ちゃんたち、メキシコに行くの? しんちゃんに会うの?僕も行く!」 一瞬、なんのことか分からず答えに詰まると、後ろからお母さんが出てきた。 「もう、この子たちクレヨンしんちゃんの映画が大好きで…。 この夏、映画の中でしんちゃんの家族がメキシコに転勤になったんですよ」 「クレヨンしんちゃんがメキシコに転勤する時代なんですか」と驚くと、 「ねー、びっく…
当番ノート 第29期
コオロギの鳴き声、夜風、月明かり。 石垣島の空の下、夜の中に入り込んで、自然たちと一緒に私たちは毎夜宴をした。 普段話せないような、心の奥底のことを話し出せる時というのは、こんな夜なのだろう。 4年以上前のこと 自分が思っていることを、本音で話さないようにしていた。 周りの人達に合わせていることが多かった。 たまに本音で話すと、重い~と言われたり、そんなこと考えたことなかったよという返答がくる。 …
当番ノート 第29期
青空になる、ということ 青空を見あげる、ではない。 青空を翔ける、でもない。 青空になる。とは、いったいどういうことなのだろうか。 仮面ライダークウガ(2000)についての話をしたい。平成仮面ライダーシリーズの第一作目にして超人気作。シリーズ最高傑作にあげる人も多い作品である。ステロタイプな悪の組織が存在せず、男らしさを称揚する描写が少なく、必殺技も叫ばない、それまでのいわゆる「仮面ライダー」像を…
長期滞在者
何のために書くのでしょうか? 店じまいをするにあたって、私はこれまでの連載を読み返しています。自分が書いたようで他人が書いたような、挑発的であるようで後ろ向きな、まとまっているようで雑然とした、おさまりの悪い文章たちについて考えています。 「何のために書くのか?」という問いは、いくぶん不適切かもしれません。それではあたかも、私が自らの意思において世界に何かを示すために書いているようではないか。そん…
当番ノート 第29期
こんばんは。 あなたにこの手紙が届くのは夜だけど、私が手紙を書いてる今は、夜明け前。 今朝4時半ごろ、ベッドから南向きの窓を見上げたら、オリオン座がくっきりと。それを見たら、バチッと目がひらいて、すっかり起きだしてしまいました。 早起きは三文の得、かな。いいものを見ました。 オリオンのうしろ、つまり、東側に、2つ明るい星があって、それぞれに、おおいぬ座のシリウスと、こいぬ座のプロキオン。オリオンの…
当番ノート 第29期
////////////////////////////////////////////// 2010年4月4日からの手紙 ////////////////////////////////////////////// 自分自身の心の在り方を表すすべとして、「表現」というものがあって 同時にそれが社会とつながるすべとして成立するものであればと願う。 社会の中で社会人らしくあることで、 自分が「ある」…
当番ノート 第29期
アイドルを見て、心から微笑む。 アルバイト中、心から微笑む。 カウンターや、テレビ画面 何かを媒介した わかりやすい虚構にコーティングされたわたしは いつ、どこよりも、本当に 心の底から笑っている。 わたしでなくなった途端に わたしの底から感情をあらわにすることができる。 わたしは誰でもいい誰かになりたい。 誰かにとって、ではなく、 わたしにとって、誰でもいい誰かに。 わたし、わたし、 やかましい…