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2F/当番ノート

721号室

当番ノート 第29期

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図々しくも生きている。

あなたをあんなに傷つけたあとでも。

図々しくも生きている。

誰かを知らぬ間に踏みにじったあとでも。

道案内は、親切にできる。

どんなにゆがんだわたしでも。

食べ物を求める空腹になることができる。

どんなに罰当たりなわたしでも。

図々しくも生きている。

食べ、眠り、生きている。

生きることでしかつぐなえないものへ向けて。

生きることでしか生み出せない明日へ向けて。

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今週は、いつかの7月21日にことばを継ぎました。

「生きる」ということについてかんがえることはよくあって

でもそのレベル、のようなものは、そのときどきでちがいます。

生命をつなぐ一滴の水がのめるかどうか。

エネルギーを燃やす米が食べられるかどうか。

全身の細胞を生かすさまざまなおかずか食べられるかどうか。

次の瞬間がすこしたのしみになる甘味が食べられるかどうか。

「生きるために生きる」

それができたらどんなに美しいか、と常々思うけれど

満腹に甘味を継ぎ足すような日も

ゆるせる今日へ、やってきました。

福永マリカ

福永マリカ

役者、脚本、音楽。24歳。
「いつかのわたし」が書いたメモを、
今のわたしが受け取って
「今」として、ぴちぴちのことばにしてみます。

Reviewed by
はらだ 有彩

福永マリカさん「721号室」に寄せて

「図々しくも生きている。
あなたをあんなに傷つけたあとでも。
図々しくも生きている。
誰かを知らぬ間に踏みにじったあとでも。
道案内は、親切にできる。
どんなにゆがんだわたしでも。
食べ物を求める空腹になることができる
どんなに罰当たりなわたしでも。」

真上からうつくしい構図で撮られた写真に、まんまるのパンケーキ。その上に、ふわふわの白いクリーム。ファンタジーによってのみ構成されているような果物たち。
それらが階段のように、バベルのようにレイヤーを作っている。

この一層では、私はどこまでも親切に振舞うことができる。
別の一層では、明日の暮らしのことに必至で文化のことなど忘れている。
また別の階層では傷つけたあなたのことを思っている。

パンケーキ一枚一枚がてんで関係のないことを話し始めて、そのどれもがマリカさんが生きていることの一部なのだと思う。
ナイフとフォークで一口大に切り分け、マリカさんはどんどん口に運んでいく。

「満腹に甘味を継ぎ足すような日も
ゆるせる今日へ、やってきました。」

甘いものを別腹に収めて、とにかく今日も生きている。/終

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