長期滞在者
若い人へ こんな書きだしではじめると、いかにも自分が歳をとったように感じます。研究者としては未だに若手とされますし、立派な中年になる覚悟が定まっているわけでもないにしても。放っておいても心身が回復し成長していく時期が過ぎ、「おぅ、あとは死ぬだけだなぁ」と体感したのが数年前。とはいえ、生きていることがいずれ訪れる消滅の瞬間へのカウントダウンだという事実は、年端も行かぬ子供であったころの中心的なテーマ…
ギャラリー・カラバコ
アパートメント管理人が考えたタイトルで、古林希望が絵を描き、カマウチヒデキが200字小説を書きます。 二人のすり合わせはありません。お互いタイトルだけを頼りに、自由に考え、せーのでこのギャラリーにアップします。お互いの思惑が重なることもあれば、まったくかけはなれたものになることもあるでしょう。一つの言葉の持つ強度や振り幅の実験、みたいな感じになれば面白いと思っています。 「ギャラリー・カラバコ」と…
当番ノート 第24期
他愛もなく わたしはひどく脆い 真っ暗なわたしの部屋 黄緑色の灯りが ひかえめに点滅している 布団の中にもぐりこみ その声を待った いつのまにか 眠りに落ちて朝が来る 曇った窓 そこによく指で絵を描いた はじめて買ってもらった12色のクレヨン オレンジ色ばかりがみるみる小さくなった 不幸なとき 幸福だったときのことを思い出す 心地よくさせてくれるのは 雨の音と匂いだけ 他愛もなく あなたたち…
当番ノート 第24期
今回で連載も最後になりました。毎回〆切ギリギリまで入稿を遅らせ続け、担当の方へはご迷惑ばかりお掛けしてしまいましたが(涙)、、こまめに思考を言語化する習慣をいただきこのような機会に感謝しております。そしてなにより毎週書くということがいかに大変なことなのか身に染みております。(笑) さて、手前みそですが以前に少しこちらでご紹介したこともあるノルウェーのデュオ・ユニットPJUSKとオーストリアの音楽家…
当番ノート 第24期
「音楽があなたにとっての味方でありますように。」 これは私が番組で必ず最後に言っている言葉である。 しかし、いつこの言葉を考えたのかは全く覚えていない。 気づいたら言っていた。本当にそうなのである。 ラジオDJとしてこの言葉を発してきて、 多くの人から「この言葉が大好きです」と言って頂いた。 この言葉には様々な思い出がある。 あるミュージシャンはゲスト収録の時に、この言葉の後にスタジオの中で涙を流…
当番ノート 第24期
19歳で上京してから、8年経つが、いまだに一人暮らしをしたことがない。予備校時代の下宿から始まり、大学の寮を経て、今の墨田の長屋に至るまで、ずっと誰かと共同生活をしている。今まで家賃が3万を超えたことはない。経済的にも助かるし、周りに人がいる生活は単純に楽しかった。 そんな中でも、一番思い出に残っているのは、早稲田の学生時代に2年間暮らしたシェアハウスだ。大学から徒歩3分、都電荒川線早稲田駅の目の…
当番ノート 第24期
さすがに一日に二回も面接があると疲れる。家につくなりすぐさまベッドに横になった。 何もする気になれず、スマフォの画面をただいたずらに眺めては、天井の薄いなみなみの模様に目をやり、てきとうな一点を見つめていた。 ふと、スマフォが光り、一通のメールが届いた。今朝、受けてきた会社だ。 「・・・・残念ながら今回はご希望に沿えない結果となりました。今後のご活躍をお祈り申し上げます。」 30社以上受けていた駒…
当番ノート 第24期
今週はずっとバタバタしており、ご多分に漏れず今回も〆切直前に催促いただきながら書いておりますm(__)m 今回はちょうどICCにてクリスティーナ・クービッシュのオープン・トークが開催されるということで勝手に紹介してみたいと思います。 僕が初めてクリスティーナ・クービッシュの作品に出会ったのはもう10年以上もまえのこと、同ICCにて開催された『サウンディング・スペース─9つの音響空間』という展覧会で…
長期滞在者
もうりひとみさん アパートメント当番ノート第13期/絵描き・絵本作家
当番ノート 第24期
アパートメントの連載が決まった時。 当初は朗読ライブで読むような詩や言葉を書き下ろしていくことをイメージしていた。 そんな時、lynch.のライブを観た。 「この曲に対して私はどんな言葉を乗せるのだろうか。 改めてそのことに時間をかけて深く向き合ってみたいと思った。」 一回目に書いた私のこの気持ちに火をつけたのは、lynch.だ。 2010年4月から2014年3月まで担当した、FM-FUJI「RO…
長期滞在者
都心のあるホテルのラウンジの一角とか、大きなタワービルのエントランスに、写真集を含むアートブックがこれでもかと詰め込まれた棚が、空間装飾の一環として使われている場面を時々見かけます。あるホテルのそれは、本の選定から棚に収まる位置に至るまでデザイナーさんが、全部決めているのだそうです。ちょうど新人の従業員研修の場面に出くわして、先輩社員がそういう風に説明をしていました。主に、海外のファッションカメラ…
当番ノート 第24期
父ちゃんと母ちゃんの馴れ初めの話が好きで、友達にも今まで何度か話してきた。 沖縄本島の北部にある今帰仁村(方言では「やんばる」ともいう)で10人兄弟(5男5女)の七番目、三男として生まれた父ちゃんは、昔から勉強嫌いで、仲間とやんちゃばかりしていたそうだ。他の兄弟はマジメな人が多く、大学を出て、地元の銀行に勤めたり、学校の校長になった者もいるが、父ちゃんは、高校を出たらすぐに、家を飛び出して、土方仕…