当番ノート 第20期
* 個性は、作品を作る人が誰もが考えることだと思います。 これが自分の絵だ、と信じ続けることには物凄いエネルギーが宿っています。 反復され、洗練されて行く表現にはどんどん力が宿っていく。 絵を見たことがある人も増えて、広がりも生まれる。 しかし、物凄いエネルギーが宿っているということは、物凄いエネルギーがかかっていることでもあります。 ほんとうにこれで正しいのだろうか、自分の絵の表現はもっと違うと…
幻覚にカーテンコール
iii 柔らかい水 小指の爪ほどに小さく見える、はるか遠くの山から太陽が昇る頃。 インベーダーゲームの電子音のような声で話すおじさんに連れられて、私は「なんきょくじん」と呼ばれる人々の住む街へ到着した。 等間隔で行儀良く並んだ建物はどれも角砂糖そっくりの真っ白な立方体をしていて、角砂糖工場の中へ迷い込んだかのようだった。私はすぐに近くの建物の中へ案内された。 そこは小さな病院らしかった。待…
当番ノート 第20期
数年前のこと。新宿ゴールデン街で親しくなったある男友達が、偶然にも私の幼馴染と出会った話を聞かせてくれた。彼は私の小学生時代がどんなふうだったか尋ね、こう返されたそうだ。「幼い頃から憧れていた職業に就いて、夢を叶えたのはすごいと思う」……ちなみに私が小学生のときなりたかったものは考古学者と宇宙飛行士と灯台守である。遠足の班が一度同じになったかならないか程度のクラスメイトの話なんて本当にアテにならな…
長期滞在者
路上でぺたんこになった小動物を見つけた。ぺたんこすぎて何なのかもわからない。 子猫にしては尾骨が太すぎ長すぎだし、頭が小さすぎる気がする。そもそも轢かれて伸びてしまっているので生前のバランスがすでによくわからないのだが、猫でないならイタチの類ではないかと思う。死後かなり経つらしく、骨煎餅のようにカラカラに乾燥している。 少し前にも平らになった亀を見つけたばかりである。材質からして亀以外にないはずだ…
当番ノート 第20期
今日は 4/20より京橋で始まる個展のおはなしです。 溝尻 奏子 個展 ’Beginning of my journey’ 旅のスケッチと陶板画 2015/4/20→4/25 11:00ー19:00 (最終日17:00まで) 最終日 4/25(土) 15:00よりクロージングパーティ GALLERY b.TOKYO 〒104-0031 東京都中央区京橋 3-5-4 第一吉井ビルB1 TEL&…
当番ノート 第20期
2-1 緑子と、半年くらいだけ一緒に住んだことがある。ある日、僕んちに緑子が来た。ほとんど身ひとつで来た。 緑子は、虫飼ってるっていうので有名で、ファーマーって呼ばれてた。友達にも誰にも、何となく言わなかった。今も言ってない。緑子との関係はなんか、密室みたいだった。 2-2 「何それ?」 「ん、これはね、ミシン」 と言って緑子が、古びた筐体をコンセントに繋いでペダルを踏むと、ふおんと鈍…
当番ノート 第20期
食にうるさい人なら、「氷見」が魚の街だ、ってのは、きっとご存知だろう。 でも、なんで、氷見の魚が有名なの?ってのをちゃんと語れる人なそういないかもしれない。 寒ぶりが有名だから?(←じゃ、なんで、寒ぶりが有名になったの?) 魚種が多いから?(←なんで、魚種が多いの?) 魚が新鮮だから?(←なんで、新鮮なの?) そんな質問にサラサラ答えられる「通な人」になれる施設がここ! …
長期滞在者
この二週間で立て続けに3度渋谷に行きました。 今のぼくは殆ど渋谷の街に用事も関心もなく、滅多に訪れることのない場所になってしまいましたが、かつてはよく渋谷の街を歩いていました。銀座線のホームから東急百貨店のエスカレーターで地上に降り、そのままセンター街を雑踏を避けるようにアミダクジ状に移動しながら、スペイン坂を登り、パルコギャラリーで展覧会を観る、あるいは東急ハンズでちょっとした展示のための細かな…
当番ノート 第20期
こんにちは。木曜日担当のusaginingen(ウサギニンゲン)です。一週間があっという間です。 ここ数日、ベルリンは小春日和です☆ 早くも半袖になったりサンダルを履いたりして、外の陽気を楽しんでいる人もいます。日本人の私は体感温度が違う?のか、まだそんなに軽装はできませんが、、 毎日ポカポカと気持ちが良いです。 さてさて今回は、どのようにして自作の映像機TA-COと楽器SHIBAKIを使っての音…
Mais ou Menos
_______________ 2015.4.6(月) まちゃんへ 今、ここ数年なかったものすごく晴れやかな気持ちでいます。まるで憑き物が落ちたかのような感じです。私の肌が綺麗になり、垂れ下がった頬の皮膚は張りを取り戻し、笑顔になり、生きる血が通っています。今まで自分がしがみついていたものから手を離し、自分が楽になれるような生き方がしたいです。今、この歳になってみて、子どもの頃からの苦しみや呪縛か…
当番ノート 第20期
* 最近は描こうと思っていなかったものを描くのがとても楽しい。 例えばシャッターを切るとき、猫とか綺麗な空とか桜とか 自分の目に飛び込んでくるものたちではなくって、 いつからか、ただじっとそこに居て見つけてもらうのを待っているものに出会うまで ひたすら薮をかき分けてみます。 絵を描く時、手癖で描けてしまうものもいくつかあるし 蓄積された技術が上手く行くことは気持ちがよいので つい描いてしまいがちな…
当番ノート 第20期
さて、「私はなぜ、タダでこの執筆依頼を受けたのか?」という問いについては、すでに結構はっきりした答えが出ている。それは「断れない相手に頼まれたから」。 「アパートメント」を代表して最初にコンタクトを取ってきたのは鈴木悠平くんだった。最初に知り合ったのは津田大介さんの紹介で、昨年ニューヨークを旅行した際は、まだコロンビア大学に通う学生だった彼にあちこち案内してもらった。教わったハンバーガー屋がと…