長期滞在者
1月12日。今年はじめてのギャラリーの営業日は、色々やることが重なって仕事場を出たのが夜の9時半でした。お腹もすいたし、高速に乗る前に軽く腹ごしらえと思って、車庫から出たその時まで、飲食店が午後8時までの時短営業になっているのをすっかり忘れていた。 これほどまでに、綺麗さっぱりお店が休んでしまうとは。午後9時過ぎに何か食べたい、と普通に思う自分がいて、それが無理だとわかる。ただそれだけのことだが、…
当番ノート 第54期
オーロラ(大ロラ)があるから小ロラもあると思っていた。自由研究に自由はなく、全て父の指導のもとだった。 記憶したことも忘れたような記憶が次々に閃いては消えていく。疲れ果てて休眠中のペッパー君より深く深く首をたれ、バスの窓に寄りかかって目をつむっているのに、眠れるどころか脳内は空回りし続けている。 今日も今日とてユニクロに身を包み、ユニクロでないところは、GUか無印良品。無味無臭。モブの、脇役の代表…
Mais ou Menos
まちゃんへ 2021年明けましたね。 相変わらず、2人の心身のことや仕事のこと、不安なことはありつつも、今の2人の生活を継続していきたいと思っています。 今年、というかこれからは、“今のそのままの自分で良い”というまちゃんがずっと言ってきてくれた言葉を胸に生活したい。 あとは、自分が元気になれること、(ゲームしたり、映画見たり)たくさんやって気持ちの落ち込みを減らしたい。 あとは、Mais ou …
当番ノート 第54期
「歩くことが好きです」とか「趣味は散歩です」とか、言ってしまう。でも言ってから、ちょっと違うなと思ってしまう。ほんとうに私は歩くことが好きで、趣味は散歩なのだろうか。そういう理由で歩いているのだろうか。なにか違うような気がする。 どうも私は、歩くことが「正しい」と思っているふしがある。 個人的な正しい・正しくないの感覚と、好き嫌いや趣味嗜好は、似ることもあるし私自身ごちゃごちゃにしてしまうことも多…
長期滞在者
昨年はPTSDの治療、仕事・生活・家庭における絡み合った問題、世界規模での事象、そこまでわくわくとはなれなかったけども波瀾万丈で、するべき葛藤に挑んだのではないかと思います。 文字を打つのが遅くなったり、人に会うのが危うくなったりとPTSDの症状ってこんなにも迷惑、苦痛が起きるのかと2年目にしてまだまだびっくりしてますが、少しずつ慣らしてみます。言うならば、弱音と言われる囁き呟きを吐きながらちょっ…
Do farmers in the dark
もう本当にすみません。まただらだらしてしまい、今回も汚い表現が多い、いつもと同じひどい日記になってしまいました。ではよろしくお願いします! ※汚い表現が含まれており、苦手な人や食事中は読まない方がよさそうです。あと、よっぽど暇じゃないかぎり、もし暇だったとしても読まない方が良さそうです。 第1話 また公園 公園に向かっている。娘が乗っている新品の自転車の補助輪がコンクリートの上をゆっくりとカラカラ…
当番ノート 第54期
弱さを抱えて生きることは罪ではない。 「こっちは雪がつもってるよ」 めーちゃんが電話でそう言っていたので、通話を終了してからしばらくの間福島の雪景色を想像した。 山の深緑と雪の白、澄んだ冷たい空気。吐く息は白く立ち上り、降り続く雪は音や気配を吸収する。永遠に思える静寂。厳しくも美しい冬。 生きるための自己防衛本能なのかは知らないが、私たちの記憶のほとんどは自動的に美化される。だが彼女との思い出はい…
当番ノート 第54期
年が明けて一週間以上が過ぎた。 正月ぼけと重厚な憂鬱は最初のうちだけで、瑣末な事柄を一つずつ対応していくうちに、休暇なんてながい夢だったのではないかと感じるくらい、するりと体が日常に戻っていった。 しかし、冷蔵庫を開けると、休暇が現実であった証拠がじっと佇んでいる。正月の名残の様々な食材。人間は時の流れに添えたが、冷蔵庫がついてきていない。これを片付けることが私の年始の課題であった。 中途半端に余…
当番ノート 第54期
こんにちは。イラストレーターの高松です。 引っ越して2ヶ月。生活を整えるために休日もバタバタとしていたのですが、ようやく散歩などする余裕が出来てきました。 – 夜の9時、お気に入りのラジオを聴きながら、トマトと玉子の炒めものをつまむ。年末の連休、実家に帰る前の一人の休日。最高だ。あともう一本だけ飲みたい。だけど冷蔵庫は空っぽ。うーんと唸りながら薄手のダウンジャケットに袖をとおす。スーパ…
長期滞在者
理想的な年の終え方。早めに仕事を切り上げること。友人と語り明かすこと。旅に出ること。旅先で心に風を通すこと。旅から帰って家族に会うこと。 どれも叶わなかった。失望しているかというと、そうでもない。この家で笑って過ごすことができた。 ため息を吐くと福が逃げるという。けれど、私はべつに逃げても構わない。福はまたやってくるに違いないし、何なら捕まえてみせる。 強かに生き延びようではないか。 12月1日(…
当番ノート 第54期
眠りに落ちかけた矢先「あ、薬」と思った。寝る前のを飲み忘れていた。面倒なことを思い出してしまった。いい塩梅のまどろみ。これから抜け出すのは、億劫すぎる。いいやろ今日くらい。布団の中で丸まり、さらに丸まり、えいやと起きた。飲まなくても命には関わらないけれど、不調にはなる。 常夜灯にぼんやり照らされた3粒の白い丸を眺めながら、薬がもっとカラフルだったらいいのにと思う。黄色とかオレンジとか緑とか。以前、…
当番ノート 第54期
「こんな場所で死ねたらしあわせだろう」 中学時代、地理の資料集で厳島神社の写真を見て、そう考えた。 こんなに静かで、美しくて、神秘的な場所にひとりでいたら、誰も悲しませることもなく、誰にも悲しませられることもなく、石や草みたいに平和な気持ちで死ねるんじゃないか。そんなことを考えていた。 中学生の頃は、学校にうまく馴染めなかった。「自分」というものにも馴染めなかった。けがらわしい獣の肉体に自分が閉じ…