当番ノート 第6期
はじめておつきあいした人の名前は富永くんという。 私の生まれ育った場所は福島県郡山市というところだ。 誰が言い出したかわからないけれど、東北のシカゴとも東北のウィーンとも呼ばれていたその街は活気のある街だった。 私はそこに「そぐわなかった」。 可愛げのない子供だったと思う。 幼稚園でも小学校でも教室の片隅で本ばかり読んでいた。 友達は少なかった。頭でっかちな子供で世を斜めに見ていた。 自分なりの正…
当番ノート 第6期
こんにちは。 このたび、日本のゴミ分別の煩わしさと憂鬱を逃れるために北アフリカの都市マルセイユに住むことにしました。 この「アパートメント」には、マルセイユ国立バレエ団のダンサー木下氏からご紹介いただきました。 この街に来ると、まず目につくのは、ミストラル(季節を問わず吹く南仏特有の冷たい強風で赤城おろしや六甲おろしのようなもの)に巻き上げられて空中を浮遊したりふわふわと道を転がっていったりするス…
当番ノート 第6期
はじめまして、こんにちは。 イワオ君の紹介により、こちらのアパートメントに2ヶ月程滞在することになりました、マキヲという者です。 「君、やりたまえよ」とイワオ君に言われ「へ、へい!」と割と軽い気持ちで入居してしまいましたが、ふと見渡せば、周りは素晴らしい人ばかり。 なんの肩書きもないハイパー一般人である私は恐縮しっぱなしでございます。 この文章を打っている今現在も、極度の緊張で心臓バクバク手足はブ…
当番ノート 第6期
みなさん初めまして! 僕は東京で活躍中のインディーズバンドテングインベーダーズの中村むつおというものです。 今回、僕がコツコツ描き溜めた漫画をWEB上で公開するという形で参加させてもらいます! 今回は、第一回目ということで、中でも比較的よくできたものを掲載します。 コンセプトとしては、架空の芸術家のインタビューというものです。 芸術ってなかなか興味ない人には、理解し難い部分があるじゃないですか? …
当番ノート 第5期
鍋の中の湯が沸騰を始めるのには、それほど時間はかからなかった。 午前に買い物に寄ったスーパーで、 おにぎりや、サラダの巻き寿司などを買いたいのをぐっとこらえて帰宅した。 お昼ご飯は、ありもので。 料理すれば洗い物なども増えるし自動的に家事に費やす時間は増える。 それでも、給料日前だし、家族の分を作るわけでもないし、何でもいいのだ。 そう思えるから、ひとり休日というのは、気が楽なんだな。 それで結局…
当番ノート 第5期
よく言われる事ではあるけど、陰陽道というのは東洋流の科学だったのだなあ、と京極夏彦の『姑獲鳥の夏』を読んで改めて思った。京極堂の論理展開は堂々と矛盾をはらんでい(るように見え)て、ぼく的には痛快だ。魑魅魍魎が古代的唯物論だったような気もしてくる。 そんな風に思ってから、そういえば、と思ったのと、たまたま観た日本のテレビ番組の中で、デンマーク人デザイナーが日本の文学者のある著書を座右にしているのを見…
長期滞在者
今日、ぼくの中の止まってしまっていた時計の針が静かに、だけど確実に動き出した。 五年前のあの日、針が動きを止めたあの場所で。 ひさしぶりに行ったあの場所は、これから起こることへの期待とあたたかで楽しげな笑顔に溢れていた。 その瞬間はセンセーショナルに、ある意味予定調和的に始まった。 五年前と何も変わらない、でも五年間確かにいろいろな道を踏みしめてきた彼らがそこに立っていた。 懐かしいあの音、あの笑…
当番ノート 第5期
四ヶ月……長かったな。 夏からずっとここで日記を書いてきたけど、今日でようやくこのアパートを退去します。 見上げると、もうすっかり冬の空だから、季節が二回変わったのか。 シカシ、プロフィールに「誰か僕に、お酒をおごってくれる人はいませんか?」と書き続けていたらさすがに一人くらいは酒をおごってくれるだろう、と淡い希望を持っていたけど、この四ヶ月間、誰も名乗りを上げるやつがいない!お前ら全員ケチかよ!…
当番ノート 第5期
僕はこの写真に「our finder」という名をつけた。 「私たち」とか「our」って言葉は二人以上の物事を指す。 もしかしたら二人だけかもしれないし、 もしかしたら三人、四人、五人、 もしかしたらもっと大勢のことを指しているのかもしれない。 言葉のみをみた者は想像するだろう。 「our」に見え隠れする人々の存在を。 多分この写真を撮ったときは、 僕は「二人」の意味をこめていたと思う。 二人だけの…
当番ノート 第5期
まるで普段どおり なんの違和感もなく電車に乗って 来た道を帰るような錯覚 それはあの日の夕方 まるで昔から決まっていたような なんの前触れもないどしゃ降りの雨 傘の無かった帰り道 それはあの日の夕方 まるで普段どおりに 毎日が過ぎると思っていた あの日の夕方 まるで世界が変わってしまった あの日の夕方 生きているか この夕陽を見ているか 生きているか 笑って飯は食っているか 生きているか 嫌なこと…
当番ノート 第5期
2001 2001 学生時代の写真です。この時期の写真を語る言葉は特にありませんが、とにかく単純に来たものを捉えるという反復作業に徹底していた様に思います。写真を撮りフィルム現像してそれをプリントする。そしてまた外に出て撮影してとその繰り返しの毎日でした。今の生活も当時とそんなに変わりませんが、とくかく外へ出ていって撮影する毎日を過ごしていました。その後2003年に学校を卒業し、ギャラリーニエプス…
当番ノート 第5期
あした、もし、晴れたら。 その位の、畳んで掌に収まるほどの、ちいさな祈りのようなもの。 こんばんは。浅田泉です。 ・・・というのも、少し寂しいのですが、これで最後です。 改めまして、藤田莉江です。 この度、ご縁があって第5期アパートメントの土曜日を担当させて頂いていました。 いつもは、主に写真という分野でアマチュア活動をしています。 先週、種明かしのような事をしました。 けれど、きっとお読みいただ…