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お直しカフェ (10)

お直しカフェ

今も覚えている、幼い頃の一番最初の記憶は何だろうか。3つ下の弟がまだいない頃だから2歳とちょっとか、マンションの4階に住んでいて、夜になるといつも寝室とリビングの境の壁に母と一緒にもたれて本を読んでもらっていた。ある夜その壁の近くで、何だったか、私はとても叱られていて、でも一連のやりとりの最後に、「だけど、物を大事にするのはいいことだから、そこは偉かったよ」というようなことを言われた。何だったか、幼い私は泣いて興奮していて、「物を大事にするのはいいこと」ということを大事にしようと強く思って、何度も何度もそれを思い出した。暗記法の鉄則通り、何度も何度も思い出しているうちに、そのシーンは、幼い頃の最初の記憶の一部として私の脳内に定着した、ように思う。

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徳島県の山あいの小さな町、上勝町を訪れた。日本で一番ゴミの分別を細分化しているという町を一度この目で見ておきたかった。

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ゴミが分別で素材に。金属や紙の原料として。
ここでのゴミの分別は13種類、45分別。例えば、瓶だけでも「透明びん」「茶色びん」「その他の色びん」と3分別ある。プラスチック製のキャップは処分に1kgあたり0.49円かかるけど、金属製のキャップならアルミ原料として買い取られ120円の収入になる。

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ゴミの集積場だということを忘れそうになるぐらい、綺麗に保たれたコンテナが並び、手書き、イラスト入りのPOPでやさしく導かれる。町の人が、センターの人が、手をかけて時間をかけて、ここを活用してきただろう痕跡があちこちに見てとれて、ほれぼれしてしまう空間だった。ゴミの集積場だということを忘れそうになるのは、腐ったようなにおいがないからというのもあった。生ゴミの収集はない。コンポストなどを活用して、すべて家庭内で処理してねの仕組み。すごい。

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うちではいらなくなったけどまだ使えるもの
昔シェアハウスに住んでいたとき、日本を代表する某アパレルブランドに勤めていた同居人が、いらなくなったらしい服を生ゴミも捨ててあるキッチンのゴミ箱にどさっと捨てていて、本当にショックだったことがある。いらなくなったけどまだまだ使える服に対して、そういう感覚で接する人の作るモノ、勧めるモノを誰が買うものか。若いとか、疲れていたとかで済まされない。心底がっかりした。(つづく)

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はしもと さゆり

はしもと さゆり

お直しデザイナー。企画と広報、ときどきカフェ店員。落ちているものとお直し、マッサージとマイケルジャクソンが好き。

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