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《画家と7人の肖像》女優 サヘル・ローズ

画家と7人の肖像

地球と月ですら年に3cmずつ離れているのだから、きっとこの世には変わらない距離なんて無いのだろう。

0I9A8448Photo by Kazuki Hiro

今回の制作の「終着点」にはギリギリまで葛藤があった。

あれこれ考えるより始めてしまわなければわからないことの方が多い。ラフ画を元に完成の話をするのが苦手だ。ほぼ完成に近い状態、もしくは完成形を用意して初めて議論されたい。過程でああだこうだ言われ、時に「それってどうなんですかね」と意見されるのがもどかしい。リテイク覚悟でも、現段階で表現したいことを目に見える形として示すこと。それでよく「ああ、もうここまで描いてしまったのですね」と、打ち合わせの段階で相手を驚かせてしまうこともある。

DSCF1488Photo by Kazuki Hiro

女優、サヘル・ローズ。

彼女のことはこの企画以前から息をするように描いている。サヘルさんを描こうとして仕上げた作品以外にも、気付けば彼女の影は私の世界に入り込んでいて、仕上がってみたらどうにも彼女にしか見えない人物像が幾つかある。企画の大切な一人として位置付けることも、ごく自然に決まったことだった。

冥王星“Pluto” by Maika Kobayashi

何度目かの食事の席で「いつか体に描いてみて欲しい」とキラキラした目で話していたことを、いつかいつかと言っていたらいつまでも叶わない気がして、この機会にようやく実現することになった。アクリル絵の具を使い始めてから初めて人間の背中に絵を描いた。スケジュールの合間を縫い、どうにか見つけた一夜に数時間の制作。タイムリミットは夜22時からホテルチェックアウトの朝11時まで。心地よい焦燥感の中、何の躊躇いもおそれもなく描き進め、約5時間で彼女の背中に孔雀を降ろした。

背中に高貴な鳥を宿し、すやすやと眠る様子は穏やかな女神マハーマーユーリーのようだった。傍で、空が白むのを待った。

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彼女とは当初、たくさんの蝶を背中に這わせるように描こうと打ち合わせていたのだが、私が制作当日に孔雀へとテーマを変更した。彼女は儚げな飛翔体の集合ではない。一面で成り立つ絶対的な存在として描きたかったのだ。現存する神秘の象徴。孔雀は聖なる鳥として、神話や宗教的な意味合いでも世界中に大切にされるモチーフだ。

孔雀を背中にまとった彼女を、さらに絵画に起こすことが肖像画としてのゴールだった。しかし従来通り描き終えてみると、カズキヒロさんの撮影した段階のコンセプトを超えることが出来なかった。真っ白い背景の中で、まるで生まれたてのように撮って欲しいと提案したのはサヘルさんだった。

それがベスト。企画の肖像のスタイルはこう統一しなきゃ、と縛るのはやめよう。
今回の制作のゴールはそこに帰結した。

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0I9A8193Photo by Kazuki Hiro

初めて出会った夜のことを、私たちはよく振り返る。あの夜食事を済ませ、駅まで一緒に走って電車に乗り込んだ。現実感に満ち溢れた車内で、隣に座る彼女の幻想的な美しさと相反する親しみの笑顔が、深く私の心に残った。しかし、たとえ彼女が夢幻的で見せる横顔が儚げあっても、誰よりも現実的で強く、激しい炎を秘めた女性であることも明白だった。

共感覚の話が好きだ。彼女のイメージは深い赤だったり黒だったりする。地球の碧、海や空の青を愛しながら、決して染まることがない。それを時折曝け出したり守ったりしている。とても感覚的なイメージ。

絵の具付きThe incarnation of flame by Maika Kobayashi

私はいつも、ただ「絵を描く人」としていろんな選択をしてきた。結局「誰かの友人として」とか「誰かの恋人として」とか、ましてや「女として」とかいうよりも「絵を描く人」としてロンドンに行き、アムステルダムに行き、東京で暮らしたり京都に長期滞在したりする。「絵を描く人」として親密に話す関係を選び、時間を割く。その自我が誰かや何かを求めている。この人と生きていけば私が生かされると思える人と一緒にいたい。その理由は何よりも特別で、確かなものであるということ。

19429955_1492936187431501_314436588226844067_nPhoto by Kazuki Hiro

親しい関係とは、それぞれ心地良いと感じる距離で付き合えているからこそ成り立つ。離れたり近づいたりを繰り返しても、生きているあいだお互い見失わなければそれで十分なんじゃないだろうか。彼女とも、気付けば数ヶ月連絡を取っていなかったり、会うのが半年ぶりだったりする。それでも私の世界にはいつも彼女がいて、彼女もまた私の世界で旅をしている。

生きている限り私は彼女を描き続けるだろう。旅人が北極星を見失わないように、私もこの人生の旅路で迷わないよう、サヘル・ローズという星を見つめ続けるのだ。

そんな彼女に今回、自ら幻想のキャンバスとなった肖像を贈ろう。

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Painter: Maika Kobayashi
Material: Acrylic color

Model: Sahel Rosa
Photographer: Kazuki Hiro
Corporation: PAKUTASO
Flyer design:Tsubasa Motohashi

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Christmas gift gallery in Amsterdam
12月18日(月)~12月25日(月)にオランダのアムステルダムで個展開催です。

majide2017s
Time for a little Christmas shopping! Whether you’re shopping for a very special occasion or just want to treat your loved ones and yourself. Christmas gifts made with Love. We are gathering high quality artworks and goods from around the world.

MAJIDE
Arent Janszoon Ernststraat 260, 1082 LT Amsterdam
http://www.majidejapan.com
12:00 ~ 19:00
About this event
info@majidejapan.com

2018年カレンダー予約開始
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現在Twitter @maikyarianにて更新している惑星シリーズデザインで、2018年1月はじめのカレンダー製作が決定しました!作品更新中のため、これから発信される作品を見てから購入を検討される方も、既に購入を決めている方もいると思います!来年のスケジュール管理のお供に、ぜひご検討くださいませ。

発送開始:12/25(月)
販売数:150部 ※お一人様数部購入いただいても構いません。
サイズ:A3縦型
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スマートフォンケース
《iPhone8/8 Plus/x》の発表に伴い、対応のハードケース34種類と手帳型ケース5種類の予約を開始しました!
その他iPhoneシリーズ、Xperia・Galaxy・AQUOSシリーズも引き続き取り揃えております。

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ミラー付きケース
ミラーだけじゃない、ICカードやSIMカードも収納可能
SuicaやPASMOなどの交通ICカードや、電子マネーカードをピッタリ収納可能。 自動改札や買い物もスマートにできます。電磁波干渉防止シートも付いているので、自動改札でのエラーを防ぐ優れもの。 おまけにSIMカード入れも、ケース裏面についているので、SIMフリーのiPhoneをお持ちの方は、ちょっとした海外旅行にも便利です。ミラーは特殊ポリカーボネート製を使用しています。【対応機種】iPhone7・iPhone6/6s・iPhoneSE/5/5s

スマーフォトンケースは以下の機種に対応しています。
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IQOSケース
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iQOS(アイコス)は革新のたばこヒートテクノロジーにより大ヒットしている紙巻きたばこの代替え品です。 こちらはそんなアイコスをオシャレに演出するアイコスケース(カバー)となります。※IQOS2.4 Plusにも対応しています。転写プリントの技術により擦れや熱に強く、出し入れの多いハードな場面でも色落ちしにくくなっています。プリントについても正面しかプリントしていない製品も多い中、側面プリント技術によって、側面までプリントを施すことによりアイテムの一体感がより増しています。ヘビーにアイコスを使用する方にありがちな本体のプッシュボタンが故障してしまうのを、 保護してくれるプッシュアシスト機能を搭載しています。側面のインジケータはスリットがあるため電池残量も確認していただけます。充電もケースをしたまま可能です。※アシスト機能で完全に故障を防ぐわけではございません。
■対応機種
IQOS(アイコス)/ IQOS2.4Plus(アイコス2)

パスポートケース
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チケットホルダーなど機能性にも配慮
パスポートの収納だけではモノ足りないのでチケットホルダー、カードホルダー(2枚)、ペンホルダー、ストラップホール(上下)が付いています。またスナップにより閉じた状態がキープできるよう工夫しています。サイズ:縦150 × 横210mm 材質:PUレザー インクジェット印刷・UVインク加工

小林 舞香

小林 舞香

画家・イラストレーター。アクリル絵の具を使用し、手描きによる精密な写実画を特徴とした絵画を中心に作品を展開している。2009年よりフリーでの活動をスタートし、翌年に初のNY個展を開催。木製パネルに貼られたケント紙に絵の具で描く以外にも、壁画や舞台美術、ファッションデザイン、グラフィックデザインなど手法・表現は多岐に渡る。個展やイベントをベースにオリジナル作品を発表しながら、企業とのコラボレーションでイラストレーターとしての活動の幅も広げている。2017年11月ロンドン個展、12月にアムステルダム個展を控えているが、今回のコラムでは2018年4月に開催される銀座での個展に向けた制作を綴っていく。

Reviewed by
黒井 岬

『「絵を描く人」として親密に話す関係を選び、時間を割く。その自我が誰かや何かを求めている。』そう書いた舞香さんの言葉で、様々な人や出来事を思い出した。その仕事が大変であるにも関わらず、それまでで最も自分が生きていると感じられた時間。その時間が、その時間を一緒に過ごした人たちが、どれほど自分に力を与えてくれただろう。

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