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第1期(2012年2月-3月)

マザーグースの歌にこういう歌がある。

おとこのこって なんでできてる?
おとこのこって なんでできてる?
かえるに かたつむりに こいぬのしっぽ
そんなもんでできてるよ

おんなのこって なんでできてる?
おんなのこって なんでできてる?
おさとうと スパイスと すてきななにもかも
そんなもんでできてるよ
(訳:谷川俊太郎)

考えすぎて思いがドウドウ巡りになってしまい、出口が分からなくなってしまった夜には、よくこの歌を思い出す。この歌は「世界はもっとシンプルなものだ」ということを思い出させてくれる。出口がわからなくなった思いをいったん入口に引き戻してくれる呪文ともいえる。
精密機器を組み立てるように思考を積み重ねていくことがいつもベストなのではなくて、ときには箸の束をワサッと掴むように大ざっぱに考えないと出ない答えもあることを教えてくれる歌だ。

ちゃんと食べて、出るモノがちゃんと出たら今日は良い日だ。
と言ったおばぁちゃんがいた。
本当にそれだけで毎日がハッピーになるとは全く思わないが、こういう素朴な感覚が殺されてしまうような思考はどこかで道に迷うだろうな、と思う。
シンプルに考えることは複雑に考えることよりずっと難しい。

自分を形作っているものは、きっとそんな複雑なものではないんだよ。
そんなことを明確なイメージで示してくれるこの詩は僕にとって大切な詩の一つだ。
マザーグースには多くの訳があるけれど、谷川俊太郎訳が僕はいちばん好き。

おさとうとスパイスとすてきななにもかもでできている。
こんな魅力的な女性描写もそうはなんじゃないかと思う。