空から0から3cm

第11期(2013年10月-11月)

 

まだ暑いのか
 
 
きのうの夜は寒いくらいだったから、
 
少し着こんできちゃったよ
 
 
長くなった髪がうっとうしい
 
切りたかったけどさ、
 
切りたかったタイミングで夏が終わってしまいそうだったから
 
空気が涼しくなって  私の頭も涼しくなっちゃったら
 
さすがに風邪をひいてしまうかなと思ったんだ
 
 
顔を空にむけて髪を重力に垂らしてみる
 
喉がのびて気持ちがよくて
 
もしも あー って声を出したら
 
きっと耳にひびくような低い声が出るんだろうな
 
 
曇り空
 
白黒映画みたいにこじゃれた空ですね
 
 
太陽が出ていないから、
 
ふざけて右手を目の前にあげた
 
 
てーのひらをーたいようにー
 
すかしてみーれーばー
 
まーっかーにーながーれるー
 
ぼくのちーしーおー
 
 
血潮なんてない、
 
ただの肌色の右手があるだけだよ
 
けど、薬指のつけねを中心に肌が荒れている
 
 
痛くて手をひらくことができないくらいに荒れてしまっている
 
そんなのずいぶん前から分かっていたのに
 
看てもらうことも億劫でほったらかしにしていた
 
油分があればひとまず痛みはおさまるからと、
 
ハンドクリームでごまかしていたのも良くなかったんだろうな
 
 
そんなことばかり考えていられないから、
 
私はまた歩いて会社にむかう
 
 
雨がふってきた
 
いまにも降りそうだったもんな
 
わかっていたのに傘を買わなかった
 
なぜだろう?
 
私はいつもそうだ。
 
わかっていたのに地下道を通りたくなかった
 
なぜだろう?
 
私はいつもそうだ。
 
 
雨水が私の指に流れて
 
荒れた肌に
 
というかこれはもう傷口といってもいいくらいな場所に、
 
雨水が到達しそう。
 
少しは しみるかもしれないな
 
でも水なんか弾いてしまうんだろうか
 
ハンドクリームは私の敏感な場所を守ってくれるだろうか
 
 
傘をさしたサラリーマンに追い抜かれていく

OLさんにも次々に追い抜かれていく
 
空飛んでみんないっきに追い抜いてやりたくなった
 
なんの恨みもないんだけど、そういうふうに思った
 
雨が強くなってきた
 
雨粒は地面にぶつかると、
 
ほんの3cmくらいだけ跳ねた
 
 
そのことがなんだか嬉しかった

すごく、嬉しかった
 
 
 
いつか
  
 
 
はねっ返りでもなんでも、飛んでやるよ
 
 
 
 
 
 
空から