ヒーローと多面体ー挨拶にかえて

第43期

初めましてこんにちは。

そにっくなーす a.k.a. ひのはらみめいと申します。
どちらで呼んでくださってもかまいません。

まりこさんの紹介にて連載はじめさせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
慣れるまでちょっとどう書いたらいいか的なキョドりかたをすると思いますが通勤時の意識飛ばしや暇つぶしくらいには有用なことが書いてあるのでぜひついてきてください。

『フィルス』という映画をご存知でしょうか

2013年のイギリス犯罪コメディです(ジョン・S・ベアード監督)
90年代のサブカルたちを唸らせた伝説のヤク中映画『トレインスポッティング(ダニー・ボイル監督/1996.英)』の作者、アーヴィン・ウェルシュが原作を手がけております。

この『フィルス』にはホントにありえないほどクズでクソな刑事さんが主人公として君臨してまして、買春、エンコー、ヤク中、残業の不正申請など刑事としてというか人間としてありえないことやりたい放題(興味が湧いた方はそのクソ具合を実際に映画でご覧ください)。そのクソさどうにもならなさ弱さがたまらなく好きなのです。

クソ刑事とかクソ警察とかってよくフィクションの世界で見るけれど、クソ看護師っていないよな、じゃあわたしがそのクソ看護師になりたい、と日々思っている次第です。
医療の世界で看護師がクソだと最悪人が死にますが、ポリスメンだってクソだったら人が社会的に死ぬじゃん。
ダメ看護師とかならすでに色んな作品の中にいるよね、うっかり者とか仕事できないやつが主人公とかね。でもそういうのじゃないんですよね。
わたしはせめて人の死なない範囲で、痛い注射をむかつく医者にぶっ刺し、経管栄養を自分で飲み、眠剤を自分のカラダで試し、患者と遊び、ゲラゲラ笑い飛ばし、点滴ポールでぶん殴る、自由な看護師でありたいのです。

極端ですね。
1か10か、白か黒かしか見えない人間は、
至上の優れた人間を目指すより、いちばんのクソを目指す方がラクだということに気づいてしまうと転落の一途です。

フィクションの世界で、特殊あるいはとても高い能力を持っていながらも人としてどっかダメなとこが目立つ主人公、みたいな人物像は見飽きるほどいますけれど、そういうヒーロー像は極端で生真面目な人にこそ愛されるのかなって最近思います。

特殊で高い能力は欲しい、優れた人になりたい、一番になりたい、そうして何かしら極めてきた、しかし何か一つを極めるにあたって大切なことをひとつやふたつ失ったり忘れてきたり避けてきたりしてきた、、、
そうして出来上がる、自己の中の多面体とアンバランスな実像に重ね合わせやすいのでしょう。

もしくは優れた能力を持つ人が何もかも完璧というわけではないことは多くの人にとって救いとなる真理なので、認知療法的に生真面目さんに優しいつくりになっているとも考えられます。

世の中が多面体であることに気づきヒーローの弱みを見抜きクソ刑事の弱さを愛する。
何者にもなれない(最強のクソにも、最高のプロフェッショナルにも)我々が覚醒するのは、ここからなのかもしれません。

fin