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Do farmers in the dark(11)

Do farmers in the dark

cover

表題:日没

 

すいません。今回もまた多忙により、まともなものが書けませんでした。自分は食べる、寝る、以外の事があると途端に多忙になってしまう。だから年中多忙です。みんなは食べる、寝る以外に色々やっているように見えるのに、自分はさっぱりダメです。
今回も書いている内容はというと主に自分の最近の事です。
自分、自分、自分、誰かと会った時に話す内容は主に自分の事です。最初は我慢していてもいつも最終的には自分の事しか話しませんです。常に自己紹介をしている。みんな優しいので聞いてくれる。最低な野郎だ。大いに反省して豊かな心を育みたいです。
ではよろしくお願いします!

愛をこここ込め

第1話 お願いだから、大きい砂利と小さい砂を分けてそのどちらも容れ物いっぱいに貯めさせてよ

 

とにかく公園。いつも公園。今日は娘と公園に行くんだ。1分前に決まった。でも本当は昨日から、もっと昔から公園に行く事は決まっていた。公園しか行くところが無かったんだ。
天気は今にも雨が降りそうなほど曇っていて、風が強かった。しかも、もう17時だった。傘を持って行きたくなかったので雨が降りそうな事は忘れた。ついでに今が17時な事も忘れた。非常に良くない思考回路だ。割と悪い人の考え方だ。出来れば明日から思考回路を修正したい。
とにかく公園に向かわないと。

公園までは5分ほどで着く。娘はもう2歳後半で、走ったり歩いたり出来るけど抱っこして欲しいと言った。娘は大きいのですごく重いけど僕は抱っこするのがとにかく好きで、ほっぺたが凄く近くなるように顔を至近距離にして抱っこしていた。抱っこしてないときも可能な時ほとんど顔は至近距離だった。

 

ちなみに僕の髪型は丸坊主だった。ファッションを意識してだった。

 

僕の見た目がすげえ気持ち悪かった。
世の中には丸坊主の人がたくさんいるのに、何故こんなに僕は気持ち悪いのか、それは骨格と筋肉のフレームと、人格のせいだった。

 

 

抱っこして歩いていると、娘がお話してと言ってきた。僕は「うーん…いいよ!」と言ってお話を始めた。

「あるところに、人間がいました。朝起きたら、虫さん、つまりカマキリになっていました。今から朝ごはんを食べないといけないんだけど、カマキリは何を食べたらいいのかなあ~と思いました。でも昨日までは人間でごはんとウインナーを食べていたから、カマキリになったけどごはんとウインナーを食べました。おしまい」

とてつもなく脳が疲れた人間がするお話だった。でも娘はとても喜んでくれて、「大変だねえ」「ウインナー美味しそうだねえ」と言ってくれた。

僕は娘にもお話してと言った。娘もお話しをしてくれた。
「お山の上に、おじいちゃんとおにいちゃんとおねえちゃんがいました。かぼちゃパンがありました。おにいちゃんとおねえちゃんは食べれて、おじいちゃんは食べれなくて泣いてました。悲しかったです。おしまい!」

 

とても悲しい話だったけど、おじいちゃんという単語とおにいちゃんという単語があまりにも似過ぎていて判別がすごい難しかった。それと少しだけ似ているおねえちゃんという単語もあった。あと自分は人の話を聞くのが苦手なのでどうしても真剣に聞けなかった。そのせいで聴力は問題ないのに、誰の話にも1度か2度か聞き返さないと何を言っているのか分からなくなっていた。なので今回も最初泣いていたのはおじいちゃんかおにいちゃんか分からなくて、娘に泣いていたのはおにいちゃんか?と聞いたらおじいちゃんだよう!という事で泣いていたのは一体誰だったのか分かった。一人前にお話が出来るようになっていてとても嬉しい。最近よく、話聞いてる?と言われる。

 

公園に着いた。凄い曇っていて、雨が降りそうで風も強くて寒かった。忘れようとしたのに思い出してしまった。なのでがんばって雨が降りそうなのと、風が強くて寒い事を忘れた。今が17時過ぎなのも忘れた。つまり悪い人みたいな思考回路を使っていた。要するに自分は悪い人だった。

娘は真っ先に砂場に向かった。用意していた砂場セットを広げた。砂場道具はいつのまにか増えていた。ミニチュアの鉄製のような鍋とかもあった。娘はおままごとを始め、砂のたこ焼きやスープを作ってくれた。
自分は料理を待つだけなのはつまらないし、砂で料理を作るのも気が進まなかったので、何かやる事を見つけないとと思っていた。ぼーっとしてればいいけど、公園でぼーっとするのはこれまでにもとことんやったし、これからもぼーっとする事は何度もしなくてはならない事を考えると何か違う事をしたかった。公園には僕みたいな積極性のないおじやんが簡単に反応できる刺激が何もなかった。

細かな砂と、砂の中に混じった砂利を分けるざるみたいなのを見つけた。僕はそのざるみたいなのを使って砂利と砂を分ける事をする事に決めた。やり始めると凄く楽しかった。さらにちょうどいいプラスチック製の少し大きい容器を2つ見つけて、一方にはザルから落ちる砂を、一方にはザルに残った砂利を入れていった。両方の容器をいっぱいにしたかった。

両方の容器がもうすぐいっぱいになるところで、娘がその砂ちょっとちょうだいと言った。両方の容器は娘の手に渡り、集めた砂と砂利は砂の上にひっくり返された。

もう!あと少しでいっぱいに貯められるところだったのに!

僕はザルをふるスピードを上げて、あらためて砂と砂利分けて容器に貯め始めた。
娘が言った。

 

「それちょっとちょうだい」

 

またもいっぱいになる前に砂と砂利は砂場に戻された。

僕は一旦時間をおき、娘の注意がそれたのを見計らって、砂と砂利を猛スピードで降って分けて容器に入れ始めた。2つの容器は一方は砂、一方は砂利で満たされて、僕は凄く満足した。
満足したのでその砂と砂利でいっぱいになった容器をもういつでもひっくり返してくれて良かったけど、なぜか娘はひっくり返さなかった。僕はぼーっとする事にした。
僕はいつも何かについて考えている。でもずっと同じ事を考えてその考えは先に進められない。メモしないからだ。メモをすればそれを元にどんどん考えは先へ進めて、色んな事が出来たりなんでも出来るはずだけど、メモをしないとまた最初に戻ったりとか、途中に戻ったりとか考えをおさらいした時に全部忘れてしまったりとかで永遠に同じ事を考える事になる。多分5分おきにメモすればいいと思う。なのに面倒でメモを取っていないために、自分の生活は全部5分程度考えたくらいの初歩的な愚かな考えで構成されている。とってもひどいや。

今回の5分は主に公園に生えている木は割と高くてちょうどいい間隔で割とたくさん配置されていて血管に似ているようで、でかい血管みたいなのが空に向かって生えてるようだから割と面白いなと思って、でもそれを面白いなと思う考えは面白いのかつまらない考えなのか、どちらにしてもそういう事を考えるのは寒いと言われる人間に違いないとか、それとそれを考えている間に2、3個の全く別の何だかよく分からない事を考えて忘れる、という事をしていたと思う。でもメモしてないから、前も同じ事を考えていたはずだった。

 

娘は滑り台をやりたいと言った。滑り台をやるのを見守った。ただ立っていた。
先程まで雨が降りそうなのと寒いのを忘れたとかっこいい事を言っていたけど、僕はやっぱり忘れられていなくて、既に時間は18時を過ぎて雨はもう降りそうで凄く寒かった。公園にある時計をもの凄いチラチラ見始めた。お腹が凄く減っていた。娘にもう帰ろうと言った。意外にも娘は帰ろうと言ってくれた。最近言う事を聞いてくれ過ぎて、すごく都合はいいけど心配になる。たまに鼻を伸ばしたお猿さんみたいな顔をしている時があるけど、何かものすごい我慢をしているのではと思って気になっている。

 

帰りは娘が新しい道を教えてくれて、少し遠回りして帰った。
もうすぐ家に着くところで、鳩が道の真ん中で座っていた。カラスが飛び去って、よく見ると鳩は座った姿勢で硬直して、鮮やかな赤い血痕が鳩の頭の下に一つあった。鳩が座った姿勢で血を流しているのを初めて見たのでとてもびっくりした。娘がどうしたの?と言った。後ろから自分たちを追い越していく気さくな老人が、
「またカラスかあ。鳩は死んでいるねえ。もう3回も見てるよ」

と自分たちを追いこしながら言った。

 

家に着いた。娘は公園のトイレに新聞紙を三角の帽子にして被ったような人が居たと言ったけど、自分は見てなかった。前に半地下の暗がりで赤色の人間を見たと言った事があって、娘はそれにナゲキさんという名前を着けていたので、今回も色が付いてるか、名前があるか聞いたけど、なんか普通の色してたみたいで名前も考えてないみたいだった。新聞紙を被ってるからてっきりおじさんと思ったけど、お姉さんらしかった。

 

公園

公園の岩場で、四つん這いになって黒い親指をグッと立てながら、子供と遊ぶ

 

 

第2話 自分の現状

 

1.昨年からの見た目の変化

茶色いボロボロの、スリッパと同機能を備えた靴が、黒いボロボロのスリッパと同機能を備えた靴に変わった。その他の上着と下着、ズボンは去年と同じ。

2.昨年からの内面の変化

特別に無いけど、最近いつも寝る前は過去の事を考える。昨日の事を考えると少し寂しくて不思議な気持ちに、おとといの事はもっと不思議な気持ちに、おとといより先月、先月より去年、去年より10年前はもっともっと不思議で寂しい気持ちになる。そして金縛りになる。金縛りの後に体から抜け出しベランダから飛んで浮く事をする。上手くベランダに到達しない時があるので一晩に何度も金縛りになり何度もする。

3.金縛りについては

金縛りから体を抜けてベランダから飛んで浮く事はどんどん上手くできなくなっている。上手にやるために調べたり勉強したりして幻想、思い込みを排除したからだ。何かについて頭の中で理解した、システムが分かったと思うと(実際には物事の原理は絶対に分からないし、原理が分からないからさまざま言葉にされている事全部が間違いか全部が正解なんだけど)、途端に色あせて上手くできなくなる。そういう事はよくあるよね。

4.絵については

絵のスコアは一向に伸びない。どうでもいい事ばかりしているからだ。背の高い友達は、有名な画家のフランシスベーコンさん単位でスコアをつけてくれた。ベーコンさん1人=100ベーコンさんと言う単位だった。何年か前に、友達は優しくて、僕に20ベーコンさんというとんでもなくすごいスコアをつけてくれた。フランシスベーコンさん0.2人分の数字だった。同時に友達は、僕の計画性と、寿命について少しだけ危惧してくれた。ヒィ〜明日にはきっと絵を描かないと。

5.なんで絵を描く、もしくは描こうとしているのか。

主に絵を描いている人には、もれなく幸運と安心、安全、安定がもたらされるからだ。幸運で安心安全な事しかしない、ひどいやつだ。

しかしここ何年も安心安全が続きすぎて、自分の心臓の鼓動が正常かとても気になるようになってしまった。夜に道を歩くのが怖くなった。夜歩いて自分より体格のいい人(複数の場合もある)に襲撃されたらひとたまりもない。

でもそういう事を除いたら、幸運、安心、安全、安定は捨てられない。なので絵を描いている。でもちょっと寂しいよね。歳しかとってないんだから。

6.食生活について

テレビやインターネットでナッツがとても血管に良いと聞いた。ナッツは数ある食物の中でも、明らかに確実に良い食べ物だと。なのでナッツ全般毎日食べた。畜生!すげえ歯が痛い!すげい歯が痛いよ!僕は年中奥歯が虫歯なので細かくて硬いナッツの破片が穴に入り込む!痛ッテイ!

虫歯についてはその分早く栄養とかたばことかの成分を吸収してくれると思って気を紛らわしているけど、ナッツは凄く痛かった。

翌日からは米と肉、バナナ食べることにした。あとあんこが食べれない。あんこは凄く歯が痛くなる。すごい効くんだ。

 

草どうぞ

形の良い固い草ドウゾー

木澤 洋一

木澤 洋一

ふと思いついた事や気持ちいい事や、昼間に倒れてしまいたいような気持ちを絵にしています。

Reviewed by
kie_oku

子育てをする、ってどんな感覚なんだろうか。
木澤さんと娘さんとのやりとりを読むと、子育てって安部公房の小説みたいな、一抹の不穏さがひたひたとついてまわるような暮らしなんじゃないかとさえ思えてしまう(失礼だったらごめんなさい)。
いや、やってることは公園で散歩とかつくり話をしてあげるだとかいたって平和なんだけれど、よくよく見ると変だ。娘といるときの父親って、木を眺めながら血管みたいだ〜、なんて思ってるの? 娘ってそこまで支離滅裂な話するの? そんな通行人いる……?
木澤さんは日常を奇妙な形で照らすやり方がうまい。というか、日常をこんな視線で眺め過ごしていたら、そりゃ「食べる、寝る以外の事があると途端に多忙」にもなるよなーと思う。

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