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Mais ou Menos #36 —裏でも表でもないわたしたちの往復書簡ー

Mais ou Menos

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まちゃんへ
ここ数日、食べる物にすごく気を使って生活していることが嬉しいです。
今まであまり関心がなかったけど、食べ物が体や脳に与える影響を身を持って感じています。ヴィーガン(食に関しての)チャレンジをして、砂糖も控えめにする生活は今のところいいことばかりです。何がいいかっていうと、寒くなってきたけど、うつっぽい気持ちになっていないこと、体が軽いことなどです。

1月に適応障害の診断をされて以来、毎日薬を飲んできたけど、それもやめる方向で頑張っています。明らかに今までにはない強い気持ちが心の中にあるから大丈夫だと思います。思えば、今年は2人にとってすごく変化のある年になったね。大きく生活習慣やライフスタイルが変わった。良い方向へ変わっていっていると思う。

自分で何事も選んで、納得して物事を進めることが最近できている。
与えられたもの、無意識に浴びてきた情報など、そういった物に、一度目を向け、自分の必要なものを選ぶ。それをすることで、頭の中がずいぶんすっきりしました。自分が楽に生きるためにはどうすればいいかを考えて、いろいろ改革していっている。
瞑想や、ミニマルな生活にすごく興味を持っている。

まちゃんといっしょにそういった、やりたい生活を実践していけることが嬉しいです。
もっと、ヴィーガンレシピを覚えて、おいしいものをいっぱい作りたいです。

2017.10.09

P

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DEAR:ぴちゃん

10月の三連休、すごくゆっくり過ごせているね。一日一日が豊かで、幸せです。
ダイエタリーヴィーガンの4週間チャレンジ、今週が4週目になる。これまで以上に自分たちが食べるものに注意をはらって、一食、一食を堪能していると感じます。
食べものの味が今までより濃く感じられるのは気のせいじゃないと思う。

2017年は、確かに2人にとって挑戦の年だった。ぴは適応障害の診断を受けて、私は中枢性尿崩症になった。どちらも一筋縄ではいかない病気です。
病気とは、きちんと向き合って、、受け入れて、付き合い方を模索する必要があって、ぴは自分の病気とうまく付き合っていく方法を見つけたんだね。日々、ぴの表情が良くなっていくのを近くで見ていると、変化は自分でつくるものなのだと感じます。

高校生のころ、ブラジルの生活は、ミニマリスト的なものだと思っていて、今自分の生活が、少しずつその頃に近づいている気がしています。自分の身のまわりのものは選ぶ。物だけでなく人も、環境も。自分自身の姿勢や信念も選んで、その時の自分に合ったものをとり入れていく。トライ&エラーやね。

ここしばらくで、感心したのは、ぴが食事をつくることに興味をしめしている点。
台所が私だけでなく、ぴちゃんの場所になってきた。そのことがとても嬉しい。
あと、たまの外食で食べる“チートミール”。自炊するものは基本ヴィーガンだけれど、外食の際は、お魚とか、食べたいものを食べるというのすごく楽しいね。といいつつ、お肉はあまり食べたくならないから不思議だ。また近所の中華料理屋のカキの炒めもの食べにいこうね。そろそろ昼食の準備を始めよう。
今日はローストポテトと、生春巻きだよ。

Maysa

Maysa Tomikawa

Maysa Tomikawa

1986年ブラジル サンパウロ出身、東京在住。ブラジルと日本を行き来しながら生きる根無し草です。定住をこころから望む反面、実際には点々と拠点をかえています。一カ所に留まっていられないのかもしれません。

水を大量に飲んでしまう病気を患ってから、日々のwell-beingについて、考え続けています。

PQ

PQ

ゲームと映画が好きです。
国籍も性別もない。

Reviewed by
西尾 佳織

当たり前だけど、彼女たちの往復書簡を目にするときに、
Pちゃんとまちゃんはそこに記された出来事の渦中のときをもう通り越している。
名前が付いて、文字にして、記されて初めて届く近況。
言葉に出来るところまで来た状況だけを、私は知る。
もちろん私だけでない。色々な場所で様々なタイミングでこの手紙を読む読者たちが、二人が到達できた地点を見届けている。

私たち読者と二人の間には常にタイムラグがあって、苦しい時間を一緒に過ごすことは出来ないし、
どんなリプライを二人に返すわけじゃなくても、
それでもこの往復書簡という場所は、どこかにいる読者と二人の引力なのか斥力なのか、
何がしかの尊重しあう緊張感でここにあるんだなぁと、思いました。

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