お直しカフェ (8) よく使うポケットは擦り切れちゃうよね

お直しカフェ

今日もまた喫茶店にきた。東京の下町すみだに引っ越した頃から、銀座や浅草が通勤経路の最寄り繁華街になった頃から、会社を辞めて関西にも頻繁に帰るようになった頃から、気づいたらだんだんと喫茶店派になっていた。世の中のレトロ喫茶ブームとリンクするかもしれない。足を踏み入れた瞬間の安心感、つくりがよく手入れされた椅子やテーブル、店と共に生きてきたマスターの無理のない接客、というか応対、おじさんやおじいさんおばあさんメインの落ち着いた客層、当たり外れあるBGM、アメリカン、コーヒーフロート、ナポリタン。総じて、安心感。すべての人に開かれた、つまりプライベートであってパブリックな、椅子と机がそこにはある。(写真は大阪、吹田の名店オリエント。JRの町らしく、食堂車をモチーフにしたような店内)
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今日もまた喫茶店にきた。生後2ヶ月の坊やを置いて、家を抜け出す。産後、はじめてうつ伏せになったとき、自転車に乗ったとき、それに並ぶ開放感が、はじめて一人で喫茶店を訪れたときに確かにあった。次の授乳まで(自然と胸が張ってくるので体にアラームが設置されているみたい)限られた時間で原稿に向かう。ここしばらくのお直しを振り返りたいと思う。

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赤子の肌着がどうにも開けるので、腰のあたりにも紐を足した。ベビー服、はじめて見る形状のものばかり。これはコンビ肌着というやつ。コンビとは。手縫いでちまちまと。水色の糸ちょんちょん。
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赤ちゃん、出てくるまでイメージが湧かなすぎて、それから、「出産準備リスト」という必要なモノらしきがリストアップされたのを揃えていくのがどうにも苦行で、一番最初は助産院や友人から譲ってもらった洋服ばかり着させていた。
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化粧品のノベルティだったミニタオル。肌触りがよかったのでいけるだろうと、よくわからないままそれでスタイと母乳パットを作った。結果、母乳パットは毎日のように使っている。右の乳をあげていると、刺激でか左の乳がだだ漏れする。左右、その繰り返し。正直、油断するとすぐにこぼした牛乳を拭いた雑巾みたいな匂いになる。閑話休題。リメイクというか、アップサイクルというか、このあたりももう、ガンガンお直しと呼ぼうと思う。
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祖母の遺した服。ニット布みたいな裾の部分、古いシルエットだなと思ったので、外した。母が着てくれるようになった。眠らせたまま可哀想だったのでよかった。

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父のパンツ。おしりあたりに穴があいていたので。どうして。

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父のスーツのポケット。右側とか、よく使うポケットは擦り切れちゃうよね。

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なるべく似たような薄さの綿の生地を…と思って探して付けたらこれになった。お直しは、本当に、布の力関係をなるべく崩さないのが、長持ちさせるポイントだと、今はわかるようになった。チェック柄派手だけど、ポケットの中なので脱ぎ着する時とか、持ち主にだけこそっと見えるの、ちょっと一瞬娘を思い出したり、いいんじゃないかな、とか思ったり。

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それから、外だしさせてもらった、プロのお直し。祖母の遺品を片付けているときに見つけたLVのお財布。べろんべろんになった内側の合皮の部分の張り替えをお願いした。
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道具がずらっと並ぶ、立派なリペア工房でのお直し。こういうのを表立って見せるブランドの感じ、バブルの頃からかもっと昔か、日本人の心を捉えて離さない、ルイ・ヴィトン。親子孫、3世代で。30,000円超のお直しは値が張るけども、外側から全部縫い直し、貼り直しの手間と技術と、それから使い継ぎたいの気持ちとで抵抗なく。買った方が安い早いに抵抗する。

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忘れるところだった、ミッキーお直し。実家に眠っていた、父母が1984年開業直後のディズニーランドで買ったというミッキー。とぼけ顔。首のところ、縫い目から裂けていたので縫い直した。立体が縫いやすいというカーブ針をはじめて使う。なるほど縫いやすい。

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里帰り出産という名目で、十数年ぶりに父母と暮らした。洗濯狂いの母と、洗濯物畳みの腕前プロ級の父(共働きなので家事シェア)、改めて二人の、つまり我が家の特性に気づく。私がいまだに中学生の頃に買ったTシャツを着てたり、父母の若い頃の服のおさがり(リアル’80s、’90s)を着ていられるの、全部この二人のお手入れの賜物じゃんと今さら気づく。
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じゃぶじゃぶ洗って、太陽の下で干す。親子孫、騒がしく楽しい夏だった。
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