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液体のような思考を 受け止めるお皿がない?

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1
ここに居るのは正しいですか?
   
   
     
1-2
煮込まれた気持ちをどうやって差し出す?
   
   
   
1-9
液体のような思考を 受け止めるお皿がない?
   
   
 
1-5
思いながら黙っている彼らがそこらじゅう横たわっている?
   
   
   
1-7
焦点を合わせないとき見えるもの?
   
   
   
1-3
切り捨てたものがまだ息をしている?
   
   
   
1-6
「見ているだけ」をずっとしている?
   

      
1-4
思い出の隣人?
   
   
  

   
   

そこに居るはてなを
構わないでいることは簡単で
そこに居たことを
忘れるのも簡単です
   
居るということだけ
見ているということだけ
せめてそれだけ

たいしたことがなくても
生きているだけで息切れする
情けないけれども

構ってやる気力がなくて でも
そこに居ることだけ
見ているということだけ

   
   
   

   
   
つづきのはてな

わかばやしまりあ

わかばやしまりあ

描いたり食べたり生きたりしている

Reviewed by
さかいかさ

「師匠、あれはいったいなんですか?あちこちに半透明のブヨブヨしたものがひっついてますよ」
「あれはハテナ君じゃよ。人々が置き去りにした疑問が、ハテナ君になって残ってしまってるんじゃ」
「危険ではないですよね?大きいのから小さいの色々いますよ」
「大丈夫じゃよ。でも乱暴して怒らせたら大変なことになるでな」
「ボク、そんなことしませんよ」
「ワシだってせん。何もしなければブヨブヨユラユラと漂ってるだけじゃ」
トマト師匠と弟子のタイポは、ハテナ君に触らないように慎重に歩いていく。空には無数の結晶が輝き、空の色は真夏のオシロイバナのようなピンク色。
「師匠、ここは不思議なところですね」
「まぁ、めったに人が近づかないところだでな〜」
と、その時、二人の周りの地面がザワザワと震動した。
「師匠、なんか揺れてません。ひぃぃぃ〜、なんです〜?」
ドドン、ドドン!!いきなり地面から大きなハテナ君が立ち上がり、巨大な壁となって二人の前に現れた。巨大なハテナ君の影に隠れた二人は、いっぺんに夜になってしまったような気がした。
「師匠〜!!このハテナ君は、、、、危、、、険です、、、よね〜?」
弟子のタイポは、ガタガタ震えて、もううまく喋れない。
「タイポよ。大丈夫じゃ。これはワシのハテナ君じゃ。ワシが昔、置き去りにしたハテナ君じゃ」
そこからは一瞬だった。でもタイポの目には、長い長い一瞬だった。
巨大なハテナ君は素早くトマト師匠を掴み上げた。
空高く持ち上げられたトマト師匠はそのままパクリと一口、ハテナ君に食べられてしまった。
ハテナ君の体の中をトマト師匠が落ちていくのが見えた。
落ちていき、落ちていき、お腹あたりで仰向けに倒れた。
弟子のタイポはハテナ君の大きな足を無我夢中で叩いた。
「師匠、師匠、師匠、師匠、師匠!!!!」
「師匠を返せ!返せ!返せ〜!!!」
タイポがいくら叩いても、ハテナ君の足はブヨブヨと揺れるだけで、なんの手応えもなかった。

どれくらい時間が経っただろう。
タイポは叫び疲れ、泣き疲れ、叩き疲れ、力なく倒れていた。ハテナ君はただブヨブヨと立っていた。トマト師匠もハテナ君のお腹の中で倒れたままだ。
空の色がピンク色から飴色になった頃、ハテナ君が急に震えた。タイポがビックリして顔を上げた時、トマト師匠がハテナ君の口から吐き出された。ぴょ〜んと弧を描き落ちていくトマト師匠を、タイポは走って受け止めた。トマト師匠の体はヌメヌメだ。
「師匠、師匠、起きて、起きてください!!」
「ん、ん……?なんだどこだ。あれ、クッチケタスはどこ行った?」
「師匠〜〜」
タイポはトマト師匠を抱えながら、全身から力が抜けた。安堵の大波がやってきて、大きく大きく泣いた。いつまでもいつまでも泣いた。
巨大なハテナ君はいつの間にか消えていた。
「師匠…」
「タイポよ、ワシは夢を見ていたぞ。太古の昔、クジラの祖先と言われておるクッチケタスに会ったんじゃ」
「師匠の疑問は何だったんですか?」
「ワシの疑問は、ほんと大それたもんじゃ。生命とは何か。でもワシは大馬鹿モンじゃから、クッチケタスの背中に乗って、はしゃいどった。楽しくてのぉ〜。太古の昔には、気の優しい生き物が沢山おったぞ。だけどどうやら、今度はワシがハテナ君に置き去りにされてしまったようじゃの」
トマト師匠は抱えるタイポから降りて、背中を伸ばした。
「しかし、全身がヌメヌメでかなわん。あつ〜い温泉にでも入りたいの。ところでタイポよ。ここでグズグズしておると、そのうちタイポのハテナ君もやってくると思うんじゃが、どうするかの?」
「師匠〜!何やってんですか。早く逃げましょう」
弟子のタイポは、すでに走り出していて、ずいぶん遠くにいた。
「タイポよ〜!師匠を置いてくなぁ〜。ハテナ君になっちゃうじゃろ」
「師匠、早く、早く。逃げるが勝ちですよ〜」
「逃げるが勝ちか……。くくく、それは真理じゃの」
トマト師匠は、はてな拳奥義その六千とんで二十五を使った。でもその奥義でいったい何が起こったのかわからない。
「逃げよう!逃げよう!大いに逃げようぞ!」
トマト師匠の大声は木霊となって、そこらのハテナ君たちをブルブルと震わせて、ブヨブヨと笑わせた。
二人が去った後、岩場に新しいハテナ君がひっついた。
それはたぶん、ワタシのハテナ君だ。

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