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(浮かぶことができないはてなについて)

はてなを浮かべる

はてなが浮かばないことが最近のはてなである。

29日
   
   
今日は、このはてながはてなでないことをまずはお詫びさせてください。
ここ数ヶ月、実際にはうっすらと一年かけて、私ははてなの消化不良を起こしているようなのです。
   
   
   
   
一年間で何があったと言えば、単純に、大きく環境が変化しました。
社会に出たのです。
そこは大人のみなさんが言うように、甘くないと言えば甘くないし、でも緊張感がないとも感じたのでした。
私がまだ学生だった頃には、責任感とも自立とも違う、形容しがたい緊張感がありました。
   
   
その頃私に与えられていたのは、たっぷりと自分に没入できる時間。
自分を取りまく周辺のものたちと存分にやりとりし、味わい、
はたまた敵とみなした相手を自信満々に非難することができてしまう、底知れぬ自信でした。
それがきっと、今の私にはないのです。
   
その、「今の私にないもの」がイコール、はてなの消化不良を起こしている原因、と考えるのが自然ですが、
果たして「それがない限りはてなは生まれないのか」とも考えていたりします。
   
きっと過去の自分に与えられていたものは、皆平等に奪われさる時が来るんだと思います。
それがいつのタイミングなのかは人によって違い、もしかしたら大人になってからでも、その時間を奪われない生き方をしている人たちがいるかもしれません。
でもそれは本当に奇跡的なことなんだと思います。
彼らはそれが当然の生き方のように笑いかけてくれるのですが、今、この地で、あなたが享受している幸せを、
当然のように私も受け取れるだろうか?いや、そんな自信がない。と、とても不安に思うのです。
のびやかに生きている人は、のびやかに生きられるだけの加護を得ていると、すこしひがむような気持ちで私は思い浮かべます。
   
   
   
あの頃与えられていた時間のことを思うと、戻りたいと願う気持ちもあるし、
戻ったところで同じような被害者面はもうしたくないとも感じます。
   
当時私が非難し、害を受けていると声高に叫んでいられたのは、私が社会から外れた場所で生活できているからでした。
社会は、あまりにもけったいで、自分にひどい仕打ちをし、つまらないものを強要する。
そんなものは敵、と区別することができました。
   
でも今は、その区別したはずの線の上に、自分が立っているのです。
仕事をして、知らない人と話して、自分以外の世界のためにたくさんたくさん時間を使うんです。
それが今の私の生活です。

自分が何者なのか幾度も追い詰め、悩み、大げさに傷ついて見せられたあの頃の緊張感は、
今の自分は、正直思い出すことができません。
思い出さなくていいよ、と、きっと今の身近な人々は言うでしょう。
それが邪魔で、ある人々にとってむしろそれが敵なのであることも、なんとなく分かってきてはいます。
でも、
あの緊張感を浴び続けながら生きていくことのほうが、どうしてもこの人生の幸福に感じてしまう。
それがない人生は、きっと寂しい。
   
   
だから今、私は、この境界線の上で、はてなが浮かばなくたって、踏ん張って、とりあえず立っています。
浮かばないならやめたほうがいいのか、とも考えました。
やめてしまったらいよいよ本当に?とも恐怖しました。
   
でもしばらく、もう少しやめずに、この胃の不快さを触診するようなかたちで、
ここでお話しさせてもらえればと思いました。
   
   
   
   
はてなを見にきてくださっていた皆様、申し訳ありません。
もう少し経った頃に、緊張感を持つことができた自分か、もしくはそうでない別の自分が、またはてなを浮かべることと思います。
そのときは、よろしくお願いします。
   
   
     
   

わかばやしまりあ

わかばやしまりあ

描いたり食べたり生きたりしている

Reviewed by
さかいかさ

「いやぁ〜師匠、でっかい建物がいっぱいですね」
「迫力と圧迫感がすごいじゃろ。煙モクモクのムクムクじゃ」
トマト師匠と弟子のタイポがやってきたのは、世界屈指の工業地帯『ワーク!ウォーク!ワーク!タウン』。24時間休まず働く街。
「師匠、しかしどうしてこんなとこに来たんです?師匠って働かない人じゃないですか」
「何を言うタイポ!ワシには師匠っていう役職だってついておる」
「え、師匠って役職なんですか。って、師匠って浮浪者じゃないですか」
「失敬!失敬!し、失敬!それを言うなら放浪者、ヴァガボンドじゃ」
「それって、浮浪者と何が違うんですか?」
「うむむむ、、、ほとんど一緒じゃけど、一緒じゃけど、一緒じゃないんじゃ!」
「え〜〜!」
「それじゃったらさ、じゃったらさ、タイポだって浮浪者じゃからさ!そうじゃからさ!」
「ボクは違いますよ。ボクは旅人ですもん。お金だっていっぱい持ってるし」
「じゃあ、ワシもそう〜。ワシも旅人〜」
「師匠はぜんぜんお金もってないじゃないですか。いっつも月謝だっていってボクからもらってるじゃないですか」
「あ〜それ言うの。それ言っちゃうんだ。だってそれ月謝じゃし。師匠が弟子から月謝もらってなにが悪いんじゃ。師匠の正当な権利じゃろ〜がよ。そうじゃろ〜がよ」
「月謝、月謝って、月1回払うのが月謝なのに、師匠は1日に何度も言うじゃないですか。タイポあれワシ食べたいから月謝くれ、これキャワイイのタイポ、ほれ月謝。って、って、って。ボクは月謝製造機じゃないですよ!」
「もうワシ、怒ったぞ!これからは年謝じゃ、いや日謝じゃ、いや秒謝で請求してやるでな」
「なんですかそれ。いいですよ、こっちは弁護士雇っちゃいますから」
「弁護士雇うぐらいじゃったら、ワシを雇え〜!ワシがワシから踏んだくって、タイポからも弁護士料踏んだくって、二重で儲けるんじゃ!」
「はいはいはい」
「ツッコメ〜!ツッコメ〜お!はば、お〜お!びび、お〜お!」
「はいはい、そんなんあるか〜い」
「もっと、ちゃんとツッコメ〜!いいタイミングでツッコメ〜お!」
「へい、なんでやねん…て、はいはい」
「タイポ〜よ〜。ワシ泣くでな。ワシ泣くでね。ワシ三日六晩泣くでな」
「はいはい、泣け。泣け。泣け。泣け」
「ぐわ〜ん。ぐわ〜ん」
「あ〜めんどうですね〜。師匠、なんでこんなトコに来たんですか?」
「ぐぐわ〜ん。ぐっぐわ〜ん。ぐっぐっぐ、わ〜ん」
「師匠!」
「今日はね、ぐすっ、今日はね、ぐすっ、タイポをね、社会的なね、見学にね、連れてってやろうとね、一昨日の夜にね、思いついてね、ぐすっ、どこがいいかな〜って、ここがいいかな〜って、やっぱこっちかな〜って、考えてね、それでね、それでね、ぐすっ」
「師匠、もう泣いたフリとかいいですから」
「へっ、わかるのか?」
「わかりますよ!」
「てへっ」
「ゔ〜〜!!ああああああ!!!」
「まぁ、怒るな。怒るな。もうやらんから。てへっ」
バキっ、バキっ、とタイポはトマト師匠を殴った。
「な、殴ったね…二度もぶった…」
「そういうのいいですから」
「親父にも…」
タイポは瞬間的にキレて、トマト師匠をまた殴った。
「そう!それ!そのツッコミ!今の感覚、忘れるんじゃないぞ」
「はいっ!わかりました師匠!」
「わかったか。ほれ、ほれ」
「はい!月謝ですね。どうぞ」
「うむ、うむ。さぁ、行こうかの」
「はい!師匠!」
なんだこれ。

トマト師匠と弟子のタイポは、ひと際大きな工場に入っていった。

「意外とすんなり入れましたね」
「ここは見学自由の工場だでな」
「受付でジュースとチョコレートもくれましたね」
「儲かっているんじゃろうな。ラッキーじゃ」
「ところで師匠、この工場は何を作っている工場なんですか?ジュースとチョコレートですか?」
「ちと違うな。入口で気づかなかったか?ここはな、社会人を作る工場じゃよ」
「社会人って工場で作るんですか!」
「そうじゃよ、知らんかったか?この世界にあるもんのだいたいは工場で作れるでな」
「全然、知りませんでしたよ」
「ほら、あそこ見てみろ」
「たくさんの人が集まってますね」
「いろんな色して、いろんなカタチした人たちが、ベルトコンベアーで流れてるじゃろ」
「はい、流れてますね。あ、あそこでなんかシャワーみたいの浴びてますよ」
「そうそう、あそこでみんな灰色のシャワーを浴びて、一度に同じ色にしてしまうんじゃ。社会の洗礼を浴びるってやつじゃよ」
「赤色の人も青色の人も緑色の人も、みんな同じ薄墨みたいな色になりましたね。あれ、あそこの人たち、ところどころ剥がれちゃってますよ」
「あぁ〜、ああなるとツラいんじゃ。あのシャワー浴びると全身がかゆくなるんじゃ。それでかいちゃうと、ああやって剥がれてしまうんじゃ」
「あぁ〜すっごい掻いちゃってますよ。大丈夫なんですか?」
「まぁ、そういう時は社会の洗礼をもう一回浴びるから、大丈夫じゃよ」
「また、かゆいシャワーを浴びるんですか。いやだ〜!」
「仕方がないんじゃよ。そこを我慢しないとなかなか美味しい社会人になれないでな」
「我慢できないと、どうなるんです?」
「う〜ん、まぁ、人それぞれじゃけど、多くの人は自分を探しに何処かに行ってしまうようじゃ」
「自分、ここにいるのに?」
「ここにいるのにじゃ」
「たいへんですね〜」
「大変じゃろ。でもそれで上手くいく人も中にはいるでな」
「師匠、ところで社会人ってなんですか?」
「タイポよ、それワシに聞くかね?ヴァガボンドのワシに」
「師匠しか聞く人いないで…まぁ、しかたなく…」
「ぐっ、地味に失礼じゃな。まぁ、いい。え〜と聞いた話によると…」
「えっ、聞いた話なんですか?師匠って役職のくせに」
「だってワシ、ヴァガボンドじゃし」
「まぁ、いいですよ。どうぞ」
「ぐ〜、ちょいちょい刺してくるの〜。では、おほん、聞いた話によると、この世界で人の手が届く範囲のことをどうも社会というらしいのじゃ。で、その社会には燃料として膨大なお金が投入されているのじゃ。じゃが社会はお金だけあっても動かない。車だってガソリンだけ入ってても動かないじゃろ。運転する人が必要じゃ。それが…」
「社会人ですね」
「そうじゃ、正解!!正解の正解!正解からの反省。反省してからの南西。南西に行きなんせい!Say!Say!Say!Say HELLO!」
「師匠〜〜〜脱線してる〜」
「だって、固い話はつまらんし、頭が痛くなるんじゃ」
「ふ〜ん。馬鹿なんですね。で、社会人は社会の運転手で、で、で」
「で、で、で、社会人というのは、基本的には何かのために動く人のことじゃ。うん?今、馬鹿って言った?師匠のこと馬鹿って言った?」
「言ってますんよ」
「言ったよね。絶対言った」
「まぁ、それは置いといて、次、次」
「ぐ〜ぐ〜、我慢じゃ。ワシ我慢じゃ。で、なんじゃ、そうじゃ、で、ポイントなのがお金を燃料にしてるのは社会であると同時に社会人でもあるということじゃ。まぁ、車を運転しながらガソリンを飲んでいるようなもんじゃ」
「なんか胃もたれしそうですね。でも、なんか、そんなんサイボーグみたいじゃないですか!」
「いやいや、例えの話じゃから!」
「そうですか〜、あぁ〜ビックリした」
「で、社会人もお金を燃料にして、人のためや世界のために行動を起こしているんじゃ」
「なんか、そういうとカッコイイですね」
「まぁ、悪い社会人も嫌な社会人もた〜くっさんいるんじゃけどな。とりあえずのベースとしては自分以外のために働くのが社会人じゃ」
「わかったような気がします」
「気がするか。そうか。そうか。じゃが社会人にも欠点がある」
「なんですそれ」
「お金がもらえないと動けなくなって死んでしまうんじゃ」
「それ欠点ですね〜」
「じゃろ。じゃ、この社会人工場の次の工程に進もうかの」
「え〜、まだ行くんですか?なんか、今の師匠の話だけでお腹いっぱいで面倒臭くなってきましたよ〜」
「じゃ、ダッシュで回ろうかの。実はワシも疲れた。よし、走るぞ」
「はい!工場内を走り散らしてやりましょう!」
「ヨ〜イ!ドン!」
「師匠、あれ、なんです。社会の洗礼を浴びたのに色が着いた人たちがいますよ」
「あれは出荷前の社会人じゃよ。社会の洗礼が完全に身に染み込んで、中から本来の色が浮き出てきた人たちじゃ。彼らは自分の色のままイイ仕事をするらしいぞ。それ、走れ!走れ!」
「師匠、あそこに真っ黒な人たちもいますよ」
「あれは灰色の社会の洗礼を浴び過ぎて、真っ黒になってしまった人たちじゃ。社畜というらいしい。もう何色を入れても黒から逃れられないんじゃ。自分の意思と良心と家庭を放棄して働くらしいぞ。それ、出口はそこじゃ!」
「ゴール!!!」
「Say!Yeah!」
「師匠、ハイタッチ!」
「タイポ、どうじゃった?タメになったか?」
「正直に言っていいです?」
「いいぞ」
「たぶん、明日には忘れそうです。というか、今まさに忘れてきています」
「残念!」
「無念!」
「でもな、タイポ、実はこっからが今日の本丸じゃ」
「えっ、まだあるんですか。疲れましたよ。絶対、いやです」
「まあ、タイポよ、ここから行くのはな、なんとアイドル工場じゃ!」
「アイドルも工場で作ってるんですか!?アイドルに会えるんですか?アイドルの卵にも素人アイドルにも会えるんですか?」
「会えるぞ〜。会えるし、なれるっ!!」
「なれる???」
「いいか、タイポ、これは重要じゃぞ。見学するフリして、こっそりアイドルの生産ラインに乗っかるんじゃ」
「師匠とボクが…?」
「ふふふ、ししし、ひっひっひっ〜!」
「師匠、不気味です」
「これは失敬、想像すると、ひっひっ〜!!タイポよ、なりたくないかアイドルに。きっと世界が変わるぞ。アイドル的視点でこの世界を見たくないか」
「う〜ん。ボクがなれますかねアイドルに」
「なれる!素質はある!たぶんある!と、たぶん思うと、たぶん思う」
「たぶん多いなぁ〜。でも、その前に師匠は無理なんじゃないですかね〜。おっさんのトマトですよ。ないないないない!!」
「いや、いや、あるあるだから!あるある話だから!」
「いやいやいや〜」
「いくぞ!タイポ!」
「このボクが、、、ア・イ・ド・ル ♥︎」

それから数ヶ月後。
群雄割拠のアイドル業界にトマト顔のおっさんと顔が文字になっている青年が彗星のごとく現れたとか、、、現れなかったとか、、、。
世界中で爆発的人気を誇ったとか、、、誇らなかったとか、、、、。

「顔が文字だから〜♪」
(本音が見えちゃうYO!ぎょっ!ぎょっ!ぎょっ!)
「裏表〜ありませ〜ん♥︎ だから〜……」
(スキスキスキスキスキスキ タイちゃん!!!)
「24時間、あなただけの弟子になれるのね♥︎」
(でしでしでしでし、それい〜ね!!)
「気持ち変われば、顔も変わるん!整形できないアイドル タイちゃんよ♥︎ プキュン♥︎」

「そして〜〜、トマトの赤は、元気の印♪」
(イエイエイエイエイエイエ! トマちゃん!)
「熟した今が食べごろなのね!」
(あかあかあかあかあかあかあかマムシ〜!!)
「はてな拳で派手なアクション、バッチリきめちゃうの!」
(プロジェクトAのテーマを〜〜! 合唱!合唱!なお合唱!)
「みんなのセンターサプリNo.1! トマちゃんで〜す♥︎ トマトマ♥︎」



はいはい、そんなんあるか〜い。

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