当番ノート 第25期
今日は、3月10日。 あたりまえながら、明日は3月11日だ。 この5年間、何度この日付を記し、この日のことを語っただろう。いつから“震災前”と“震災後は”に区切って話しをするようになったのだろう。地元、福島県いわき市から遠く10,000km以上離れたニューヨークにいても、この日ばかりは、故郷を近くに感じたい。色々思い出すのは、ちょっと気が重いのだけれど、この連載の話をもらった時から、これだけは書か…
当番ノート 第25期
彼が魔女の家を訪れたのは、私が魔女の家で過ごし始めて一週間ほど経った、よく晴れた午后のことだった。 「今日は新月の晩だから、食卓を飾らないとね。庭で花を摘んできてくれる?毒草には気を付けて」 魔女は珍しく黒いワンピースに黒いエプロン、黒い靴と全身黒づくめだった。 「新月の晩は黒い服を身に付けるのが魔女の決まりなの。もっとも、喪服みたいに全身隙間なく真っ黒である必要はないのだけれど」 …
the power sink
こんばんは!今回も絵を載せます。見て頂けると嬉しいです。 では、よろしくお願いします! サッカーボールを持っているしスパイクも履いている。でもなんでか僕はサッカーをしない。いつも椅子に座ってしまうんだよ。サッカーをするのは、すごく大変な事なんだ。 ヘルメットを被った男 尖った台座にセットされた仮面 焚き火にあたろう 僕の心臓の様…
当番ノート 第25期
(NAGI60号より) えっちらおっちら街道取材をする中で、あちこちの集落にある飛び出し坊やの看板が気になった。地元静岡では馴染みが薄くなってしまった飛び出し看板。三重はやたらに多いのはなんでだろうと素朴に思っていた。調べてみるとお隣の滋賀県が発祥の地とのこと。昭和30年代交通事故が急激に増え、警告を促すようにと地域の看板職人が作り出したのがはじまり。それが鈴鹿山脈を越え三重に伝来。北は桑名から南…
長期滞在者
先週のある日、友人のダンサーで振付家のダミアン・ジャレに 数日前に編集が終わったという新作ダンス映像が見せたいと 彼の自宅に招待されたので、お邪魔してきた。 彼とは音信不通な時期が長かったのだが、 妙な縁で、アクセル・ヴェルヴォールト氏を介して 最近また会って話すようになった。 大の日本好きになっていた。 ダミアンはP.A.R.T.S.というダンス学校の出身で、 彼が学生だった当時、その学校の母体…
当番ノート 第25期
ティーンズをターゲットにした 女性ボーカリストの曲を聴いている 聴いているというか、見ている なんでもない平日の、 なんでもない夜に テレビと私 別に話したくないけど、間がもたなくて たらたら話す友人と 聞きたくもない話を、それでも一応うなずいたりしながらやり過ごしている私、みたいな そんな感じだ つらい恋の体験談みたいな歌詞で…
当番ノート 第25期
その鏡は世界で唯一のものだ。 私たちの夜の会話と、彼女の爽やかな決意を映した鏡。 “女には愛と情熱の両方が必要ってことかな?” “そう、その通り!” そのやり取りから、私たちの夜はぐんと加速した。 “なんというか、お互いに対する情熱を失ってしまった。 ねえ、自由に恋愛して、好きになった人それぞれとこどもを作ったら駄目なの?” 彼女にはこどもがいた。ちょうど離婚したところだった。 “自分がいて、愛す…
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はてなを浮かべる
断ち落とすことに不安を覚える? あまりにも 日々 ふり注いでいる? 気持ちってほつれやすいのかな? 高尚であることがエライんだろうか? 下へ下へともぐることを許してくれない? 受けとめきれなくてもいいよね? あらゆる場所に違和感を持ち続ける? (浸透するこ…
当番ノート 第25期
今日のニューヨークは土砂降りだ。こんなにも降り続く雨を、久しぶりに見た。普段は雨が降っても傘をささない人たちも、さすがに今日ばかりは傘なしではいられない。思いゆくまま降り続けてもらい、明日からカラっと晴れてくれたらいいなと思う。春はまだか。 福島からの来客があった。とは言っても私が呼んだわけではなく、ニューヨークで開催される講演に参加するためにやってきた。知り合いと久しぶりに会える、しかもニューヨ…