当番ノート 第26期
「なにもないよ」 「田舎だよ」 そう、聞いていた。 だからこそ、(と言ったら失礼かもしれないけれど) 鳥取と島根が最初の旅の目的地となった。 ただ何となく、《まちづくり》や《地域》に興味があった。 ただ何となく、日本のことを知りたくなった。 ただ何となく、旅に出たかった。 はじめの大きな一歩は「たからさがし。」と名前をつけたこと。 自分たちが知りたいことを、やりたいことを、 カタチにするために…
長期滞在者
ぼくはビビりだ。“超”がつくほどのビビり。そんでもって、妙に探りを入れるというか、考え過ぎてしまうというか、被害妄想が激しいようで、なにをしていても、なにもしていなくても、相手に笑われているような感覚に陥ってしまうことがある。例えば、街を歩けば、田舎出身のぼくは「田舎者だ」「なんかへんなやつがいる」と嘲笑されているんじゃないか、なんて無駄なことに気を遣ってしまうことが日常茶飯事だ。 おそらくこれっ…
当番ノート 第26期
先日、劇作家協会主催の「せりふを読んでみよう」というイベントに参加した。 イベントは、とある戯曲の一部を若手俳優が演じ、講師の劇作家が俳優たちにせりふの読み方を指導していくものであった。 言葉の「発語」、そして発せられた「言葉への反応」という一連のやりとりについて深く考えさせられたのと同時に、 言葉をこれほど大事に思ったことはあったであろうかと振り返るきっかけともなった。 これまでの人生で交わした…
当番ノート 第26期
こんにちは、松尾健司と言います。 けん玉をやっています、シンガポールで。 どうしてけん玉なのか、どうしてシンガポールなのか。簡単に言うと、 せっかくシンガポールに交換留学に行くことになったし、自分の得意なけん玉を活かしてやろう! ということです。 けん玉を始めたのは小学1年生の時で、小学4年生で4段を取得しました。もうかれこれ15年やっています。 「けん玉愛がすごいね」と思う方もいらっしゃるかもし…
当番ノート 第26期
92年の同窓会で祖父は「SAY YES」を歌った。正確には歌ったかどうかわからなくて、カラオケの順番が回ってきたときに祖父が「おれはSAY YESを歌うぞ」と言い、大正6年生まれの同窓から「お前、そんな若い曲を歌うのか」とか「なんだその曲は知らないぞ」と反応された、という話を後日聞いただけだ。祖父の家に行った時に口ずさんでいるのを聴いたことは確かにあって、「愛には愛で~、っか」とややおどけた調子だ…
長期滞在者
4月です。まずは前回の記事の訂正から。 ダミアン・ジャレの経歴をさらっと紹介したときに、 彼がP.A.R.T.S.と言うコンテンポラリーダンスの学校出身、 と書きましたが、違いました。 ぼくがローザスというカンパニーで仕事していたちょうどその頃、 ダミアンはP.A.R.T.S.の学生と交流があったり、 その周辺での企画に関わったりしていた頃に顔を合わせていたので、 ぼくが勘違いしていたようです。 …
当番ノート 第26期
指先から光がはいってきて もう冷たくなかったとき 手のひらで背中をあたためるような太陽だったとき 冬が終わり春が近づくのを感じた 予感や期待を孕んで膨らむ 木の芽や花のつぼみたち まだ開かないでもう少し と思う間に 一斉にはじける おはようたくさんの歌 おはようたくさんの色 おはようたくさんの光 おはようたくさんの香り さわがしくあふれ出す 美しく柔らかで愛おしい 尊いもの 私はかがやきの前で立…
はてなを浮かべる
あこがればかり自覚しすぎてる? いつまで揺さぶられ続けるのか? ぴったりのかたちでなくとも 収まることを覚えていくの? 通す芯は一本じゃなきゃいけない? ともかく今は鉛筆を握るべきだろうか? こんなに大きい面積でも映らないときってあるの? 足の裏を確認してみる…
当番ノート 第26期
いつもの通勤電車に乗る。 異国の言葉が聞こえる。 観光中の外国人だった。 私にとっては日常の当たり前のこの景色を 彼らはどう捉えているのだろうか。 今何を感じているのだろうか。 たからさがし。の私たちが 異国の地に行ったときは その憧れの世界にワクワクが止まらなくて。 何を見てもキラキラ輝いてみえた。 心も満たされた気がした。 けどね、気づいたことがあった。 まあ良く言われることではあるのだけど、…
日本のヤバい女の子
■新生活とヤバい女の子 ――――― ■絵姿女房 一枚の絵があった。女の絵だ。少しはにかんで、目とくちびるの端に微笑をたたえた女。この絵は彼女の夫のために描かれた。うつくしい妻の姿に目を奪われたきり仕事が手につかない男のために、妻が描かせたのである。 結婚してからというもの24時間妻に見とれていた男は、絵を懐にしまい込みようやく畑仕事に出た。少し耕しては絵を眺め、少し耕しては眺めするものだからいっこ…
当番ノート 第26期
高校1年の夏、私はサッカー部を辞めた。 そしてそれを数週間、親に隠していた。 今から思えばちっぽけな問題だが、当時の私にとっては何よりも大きな問題だった。 部活に行ったフリをするというむなしい日々が続いた。 平日は学校帰りに本屋に寄って時間を潰し、休日は試合で遠出をしているフリをしなければならなかった。 試合がある日にはスパイク、ユニフォーム、レガースを部活用のエナメルバッグに詰め、朝早く家を出て…