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2F/当番ノート

春はすこし怖い

当番ノート 第26期

指先から光がはいってきて もう冷たくなかったとき
手のひらで背中をあたためるような太陽だったとき
冬が終わり春が近づくのを感じた

予感や期待を孕んで膨らむ 木の芽や花のつぼみたち
まだ開かないでもう少し と思う間に 一斉にはじける

おはようたくさんの歌 おはようたくさんの色 
おはようたくさんの光 おはようたくさんの香り

さわがしくあふれ出す 美しく柔らかで愛おしい 尊いもの

私はかがやきの前で立ち眩み
逃げたくなって そっと隠れて遠くから眺めている




mito

mito

写真を撮るおばけ
from France

Reviewed by
ふき

「さあ おきなさい こどもたち もうすぐ 春が やってくる」

水がゆるみ、日差しの柔らかさを感じるころ、地面の下では根っこのこどもたちが春の準備をしているのだそうです。土のおかあさんが根っこのこどもたちをおこすと、女の子たちは色とりどりの洋服を縫い始めます。男の子たちは眠っている虫たちの目を覚まし、体を洗い、上から春の色を塗るのです。
そして、いよいよ春!時期が来ると、虫たちは地上へ出ていき、根っこの子どもたちは美しい洋服をきて花の子どもとなり手にじぶんの花を持ち、野山へ森へ散らばっていきます。

これは、ドイツの作家、ジビュレ・フォン・オルファースの書いた物語です。mitoさんには根っこの子どもたちが見えているのだろうな。1つ芽ぶき、1つ花開くと、堰を切ったように押し寄せてくる春。しなやかな風、柔らかな花弁。あふれ出る生命力に飲み込まれてしまうのではないか。でも「おはよう」と言わずにはいられない、だって手に花を持った子どもたちがmitoさんに話しかけているのだから。

(参考:『根っこのこどもたち 目をさます』/『ねっこぼっこ』)

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