長期滞在者
今日は夕方から天気が荒れるという予報。こんなにすっからかんに晴れているのにな。 夜大荒れだからといって、今使いもしない傘を持って電車で通勤するのは、どうにも楽しくない。 ああ、自転車に乗りたい。 こんなことをつぶやく自分にびっくりする。 お前そんなに自転車好きだったか(笑)。 実際、例年になく寒かったこの冬、ほとんど通勤に自転車を使わなかった。使えなかった。加齢は確実に根性を蝕む。なんだか寒さに年…
当番ノート 第38期
絵描きとして学びたいと思い、翌月には仕事を辞めた。住んでいるマンションも解約する手続きもした。無職になった。でも気持ちに不安等少しもなかった。 これからのワクワクする事を想像して軽トラを借りて必要な荷物だけ積み、その人のところへ向かった。それからは、その人の事を(先生)と呼んだ。先生は私の荷物を置けるスペースを3階に作ってくれていた。それから私の厳しい修行時代が始まる。 簡単にまとめると師と弟子関…
長期滞在者
うちで開催する写真展に合わせて、立派な本を出版される方は少なくありません。作品集が、全国の書店に並べられて、多くの人の目に触れ、人の手に渡っていくというのは、いまや幻想もいいところで、だからこそアートブックフェアへ参加したり、展覧会の会場で販売することで、ある程度の数の目処を立てたいのだろうと思います。 出版と展示を連動させて進めていくのは大変なことです。 どういう事情かわからないけれど、出版記念…
当番ノート 第38期
劇場はそのものに命があるようで、それぞれ性格があるように感じる。 今まで踊った中で印象的だった劇場 Le Palais de Beaulieu ローザンヌボーリュ劇場。 例えるなら60代の美しいマダム 若手ダンサーの登竜門と呼ばれるローザンヌコンクール行われる劇場。 みんなが10代の頃に通った場所に30代になってから私はやってきました。 安心して踊れる場所だった。とても暖かい雰囲気の劇場。包み込ん…
長期滞在者
桜が咲いた。 3月の週末。大阪に向かう新幹線の中で、東京の桜もこの土日が見頃というニュースを目にした。 今年は例年よりも随分と早く開花した桜。 大阪に着くと、京都の桜も咲いているみたいだよという話を耳にした。 父親が大阪出身ということで、小さい頃から大阪や京都にはよく足を運んでいたが、 私は、日本でも特に美しいと言われている京都での桜を見たことがなかった。 「ねえ、お父さん。京都で桜が咲いているみ…
当番ノート 第38期
結構まじめに生きてきたほうだ。規則はあったら守るし、一般的によしとされていることを良いと思って生きてきた。なるべくなら周りの人に嫌な思いをさせないように、でもしっかりと、芯はブラさずにしていきたい。 そんなふうに過ごしてきた私は、社会人2年目の夏休みにカンボジアのトレンサップ村というところに滞在した。今まで海外の人にたくさんお世話になったんだもの、何か恩返しがしたいなぁと思って、小学校の英語と日本…
Mais ou Menos
————— DEAR ぴちゃん 今日も仕事でバタバタしているのに、英語の勉強お疲れ。さっき、いつものスタバの近くを救急車が走っていくのを見た。たぶん、私が通ってる病院に向かってたんだろうな。サイレンの音を聞いて、胸がバクバクしたよ。 ここしばらく体調がとても悪くて、日々心配かけてばかりだね。ポジティブでいられないことも多くて、Pには本当に…
当番ノート 第38期
小麦畑に囲まる偉大な広野。それこそが、スペイン巡礼。またの名をカミーノ・デ・コンポステーラ。熱射の昼下がり。かくも陽気な日差しを浴びて、風は体を透き抜けて、あぁ、どこまでも、吹いてゆく。ピュアな青空に、丸い雲が浮かんで。おや、涼しくなったな、と思えば、見上げてみる。そこに日除け代わりの雲が。雲に感謝するなんて、生まれて初めてじゃあないだろうか。 世界はこんなにも自由だったのか、思わずにはい…
長期滞在者
新しい街に引っ越してきた最初の夜というのは、けっこう心細いものである。 駅に降り立ち、ここがこれから住む街か……とまわりを見渡す。これまでに何度か訪れたことがあっても、いざ住むとなると、街を眺める視線もいつもとは違ってくる。いざ住みはじめてしまえば、空気はだんだん身になじみ、なんとなく心安い気持ちになるのだけれど、引っ越しの初日、まだここは「知らない街」である。 バスに乗ったり歩いたりしながら家に…
それをエンジェルと呼んだ、彼女たち。
自分の年代の子が遊んでいる場所よりも年上の人たちが遊んでいる場所が好きだ。なぜだろう。自分が普段いる場所から逃避したい気持ちと、大人になる楽しみを見つけることに単純に魅了されるからかもしれない。 今では大人になったのでそういう場所はどんどん少なくなっているけど、高校生だった私にとってのそれは、新潟・東堀通にあるライブレストランだった。当時のオーナーが長い髪をポニーテールにした背の高い美しい女性だっ…
当番ノート 第38期
2016年の6月に、ペルーへ行って先住民の儀式に参加しました。その経緯を書いてみます。 ・アヤワスカ あのライブの夜が明け、私はペルーの儀式について調べてみることにした。 アヤワスカというのは、やはりアマゾンの原住民たちの間で行われる儀式の時に用いられる薬草と、それを使って作られた飲み物を指す言葉だった。 (上:生えている状態の若木のアヤワスカ 下:成長したアヤワスカの木が切られたもの) アヤワス…
当番ノート 第38期
第2回は春の星座の代表格、北斗七星と北極星でも有名な母子熊の星座から。 ** 狩りの女神アルテミスには、森のニンフ(精霊)でカリストという侍女がいました。アルテミスは処女神でもあるため、侍女のカリストも男性には見向きもせずにいました。しかし、そのカリストはとても美しかったため、神々の王であるゼウスが恋をしました。ゼウスはなんとかしてカリストを手に入れようと、アルテミスに姿を変えて彼女に近づきました…