今日は暖かかった。
久しぶりに鴨川にいってたっぷり陽にあたってきた。
辺りいっぱいにサンバが鳴り響いている。いつも数人の若者たちが太鼓やら鈴やらを持ち寄ってはこうやって鴨川で打ち鳴らしているのだ。
春の鴨川に地球の裏側の音が鳴っている。
鴨川は鴨川と言うだけあって、本当に鳥が多い。
シラサギ、アオサギ、トンビ、ハト、オシドリ、スズメ、ホオジロ、カラス……数えだすとキリがないが、とにかく始終そこらを飛び回っている。
どこからともなく自転車でやって来て、パンくずを空めがけてばら撒くおばさん。
空を旋回してきて見事にキャッチする鳥たち。
特に何も起きない春の午後にしてはなかなか上等のアトラクションだ。
伊藤若沖の絵に空を垂直に降りてくるタカの絵があったような気がする。
あれは絵画上のデフォルメかと思っていたが、こうやって鳥たちを眺めているとあれは本当だったんだなと思う。おばさんの撒くパンくずめがけて、トンビたちは川面に体当たりするように上空から90°に落ちてくる。見事にパンをキャッチすると川面にぶつかりそうになる寸前で体をヒラッと返し、また空に舞い上がっていく。
陽気にウトウトしながら、鳥はいいと思う。
私は自由だなどとつまらないことを言わないのがいい。
自分も空を飛べるかな、と考える。
パンを撒かれればパンめがけて空を垂直に落ちてくるような素直さがあれば、きっと必ず飛べるのだろうと思う。
春はいい。
単純で明るいことを信じられる。