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2F/当番ノート

星を吸って星をばら撒いて

当番ノート 第11期

 
 
 
星がきれいだった
 
だからわた
 
 
 
 
この道はタバコを吸ってはダメです って、
 
そういうふうに言われたら
 
嫌いなタバコをもくもく吸って歩きたい
 
持っているゴミをばら撒きながら歩きたい し
  
そういう気分
 
 
 
わたし酔っぱらって 寝過ごしてしまって、
 
降りたこともない駅で、
 
普段ならタクシーに乗ってしまうんだけど
 
2時間も歩けば家に着くだろうと思ったし、
 
この2時間が今の私の途切れた気持ちを、それなりのていさいに並べ替えてくれるだろうと期待して
 
歩いて帰ることにした
 
 
そうだ私はごまかしながらなんとかやってきた
 
見栄えを気にして、中身はからっぽです
 
からっっぽです。みたいにほら、かっこつけて
 
 
息は白かった
 
私のイメージでは、
 
わたしの息は真っ黒なのに
 
いま私の口元にまとわりついているのは、
 
可愛いくらいに白い息だった
 
 
うまくいかない時に思う。 いつも思う
 
  
私を産んだおかあさんとか
 
きょうだいなら
 
わかってくれるんじゃないかとか
 
 
そういうふうに
 
逃げ道みたいにしか家族をありがたく思えなかったらさ
 
余計に意味ないんだよ
 
 
なんでかわからなかったけど、
 
しばらく下をむいて歩いた
 
いま涙を流したら
 
わたしの目を離れたとたんに
 
いまのいままで私の涙だったそれは、
 
わたしのことあざ笑うんだろきっと
 
 
泣けば気持ちよくなるだろうってこと、
 
知っていたけど、だから我慢して歩いた
 
 
 
気持ちの整理なんてつかないまま、
 
もう半分くらい歩いただろうか
 
国立府中のインターが近づく
 
深夜の大型トラックが、
 
かっこつけてるみたいに私を追い抜いていく
 
 
私の息の真似してるみたいに、
 
トラックがお尻から白い息を吹き出してすすむ
 
 
トラックが1台
 
トラックが2台
 
こういうふうに数えて、いつの間に歩きながら眠ってしまえばいいのに
 
 
 
 
 
 
星がきれいだった
 
だから私は下をむいて歩いた
 
 
 
 
 
 
PB085790

 
 
 

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