部屋の壁にさわって
左手の指で部屋の壁にさわって、ふれて,
そしたら壁が、揺れた
けどそれは揺れているんじゃなくて
私の心臓が、
とにかく活発に動いて
大きく膨らむその度に
小さくしぼむそのたびに
壁が揺れてるんだと思ってしまうほどです
このままベッドに倒れこみたかった
自分でもよく立っていられるなと思う
けどいま 倒れこんでしまったら、
心臓の強いリズムで
からだ全体が
わたし全体がバウンドしてしまうくらいに思う
海外のホラー映画みたいになってしまうのは嫌だ
だからわたしは部屋と一緒に立っています
ポンプに押し出された私の血が身体中を駆け回って
左手の指まで伝わって
部屋との接点からタッツ、タッツとリズムをとっているみたい
気品高い気持ちになって
なんとなくの記憶をたよりに、真似してみようか
左手は壁に触れたまま
足を八の字にして
つま先で立ってみたり
バレエダンサーごっこ
メトロノームみたいに私の心臓はまだ波打ってくれていて、
メトロノームにしては心細いリズムが,なんだか心強く思うんだ
それに合わせて膝を曲げたり
天井を見上げて手をピンとのばして
姿勢も もちろんしゃんとして
飽きもしない,バレエダンサーごっこ
このままこうして遊んでいたら
部屋と私の指が擦れて すりむいてしまうね
わたしはいいけどさ,
部屋を痛くすることのないように,
私は深呼吸してみることにした