夜のみんなは笑っている
今日はひとりだけど、私だって友達といっしょなら笑ってこの道を歩く
この時期、街はキラキラしていて
私も便乗して浮ついた気持ちになったりする
みんな節電のことなんか忘れて くるくる踊っている
ロマンチックな明かりに照らされて とっても幸せそう
そういうところが、
なんでもかんでも流行みたいにして、
それが去ったら すぐに忘れてしまうこの国の雰囲気が、私の性格とぴったり合っているような気がした
わたしも真似して くるくる回る
右にばっかり回ると目がまわるから、
ときに左まわりをするくらいには賢くなった
そんな悪知恵ばかりつけて、
踊ることをやめようとしない私は、とても汚いと思う。
となりの青年が、
右にばかり回っていたために嘔吐した
それでもへらへらと笑い続けている
自分が吐いたことはわかっているのに,
吐くということがどういうことなのかを,きちんと捉えることができない人みたに見える
地面にぶちまけられたそれは、
あろうことか私のかたちをしている
気にせず踊ろう
だってそれ得意だもんね
らんっ らんっ
らんらん らーん
イルミネーションは、夜中ずっと私たちを照らし続けた
その光は、もうまぶしいくらいに明るかった
わたしたちは笑顔で踊り続けている
ふと足下をみると,
わたしの
真っ黒い影がのびていた
その黒い影と,青年の吐いた私のかたちが手をつないで
愉快に踊っている
わたしは,なんだかしらけてしまった
私は顔を上げて,
昼より明るいみたいな あたりをみまわす
まぶしくて,
恥ずかしがってる子どもみたいに薄目で様子をうかがった
夜のみんなは笑っている