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2F/当番ノート

The Alternative Space 代わりの場所で

当番ノート 第18期

こんにちは。今日はとっても良い天気。そして明日は成人式!
20才の時、大人になるってことがどういう意味なのかいまいちわからなかったけれど、
ここから先はまた違った世界、という区切りの線は面白いなあと思います。

さて本日は、この「境界線」について、
イギリス生活での最後につくったプロジェクトを絡めてかかせていただこうかなあと思います。

渡英し3年間の大学生活を終えようとしていたころ一番考えていたのは、常に場所には「HOME」と「AWAY」の境界線が存在しているということでした。
海外に出ると必然的に、国籍を含めた自身のアイデンティティーというものについて考えるようになると思いますが、
私もそうやって初めて、自国/他国というものを捉えるようになりました。
幸いなことにこの3年間、日本人の女として衝撃的な差別のようなものを受けた経験はほとんどありませんでした。ロンドンで出会った多くの人々は友好的に接してくれたし、日本人ということに敬意を表してくれる人も驚くほどたくさんいました。すごくすごく幸せなことです。
ただ生活する中で、「外国人」としてここに住んでいるんだなあという感覚が消えたことはありませんでした。決してこれは悪い意味だけではなく、ひとつの事実として自分のホームは日本で、ここはイギリスで生まれ育った人たちの場所で、でも彼らが日本にきたら逆になるんだな、というある意味ではなんら当たり前のことをつくづく実感したというか。

大学で出会った一人の日本人の女の子がいました。
物心ついた時からずっとフランスで暮らし第一言語はフランス語、次に英語だという彼女は、100%日本人であるにも関わらず、日本に帰ってきても言葉が流暢でないために日本人だと受け入れてもらえないという苦悩を抱えていました。ただ容姿は当然日本人なのでフランスでもイギリスでもネイティブにはなれない何かがあり、「私はエイリアンなの」と言っていました。
外国人という言葉を英語では一般にforeignerと言いますが、法律的、若干差別的なニュアンスが交じった表現でalienとも呼ぶそうです。
エイリアン=宇宙人、これを知った当初はなかなかに衝撃で「あなたはエイリアンじゃないよ!」と彼女に言ったもの、
自分の中身は同じでも、地理的な変化で「ここは私のホーム」「あなたはアウェイ」と性質が変わるって不思議だなあと考えていくうちに、いやむしろそうしたら私も、誰しもがエイリアンだよなあ。と思うようになりました。

世界では、この自分の属する集団のテリトリーか否かの「境界」が色々な問題の根底の原因になっているように感じます。
そしてその集団に同じように入れる存在は「同質」と見なされ、そうでない存在は「異質」となる。これらの境界線の濃さは場所により変わるけれど、きっと誰しが持たざるを得ないものなんだなと思いました。
ただイギリスでの短い経験の中で私が今出せる結論は、
それらの存在を認識した上で、自分とは異なる性質を持つ他者との共存は可能なはずだということ。
それを信じたいし人と話したい。
そんな時、ハンバートハンバート×COOL WISE MANさんの「23時59分」という歌に出会います。

我々は宇宙から来て 我々は宇宙に還る
我々の住むこの世は 黄昏のせまる世界

我々は海から生まれ 我々は土に還る
我々のこの体は かりそめの旅の宿
(一部抜粋)

そうだー、みんなみんな宇宙から来て還っていくんだよな、と感動しました。
このことについてみんなで考えるきっかけをつくりたいなあ。
なるべく多くの人が関わりやすい、ハッピーな印象が生まれる方法で。
ということで生まれたのが、これです。

1

透明の壁には内側から「HOME」、外側から「AWAY」とかかれていて、
中に入った人は誰でもその瞬間にエイリアン(よそ者)として孤立した空間を経験します。
そこから見る外の世界は、どのように見えるかしら。
この「home」「away」の境界について、どう感じるかしら。
そういうことを、エイリアンになってくれた人々と話し、好きなように壁にかいてもらいたいと思いました。

3

5
突如現れたUFO、なんだなんだ、と人が人を呼ぶ状況になりました。

9.6

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9.5

10

13.1

13.4

13.2

13.5

20

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17

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15

13

UFOの中にかいてもらった言葉たちはこちらです。
22
23

考えたことを、表現するということ。
表現して、だれかと共有するということ。
共有して、話し合いができるということ。
すごく幸せなことだなと改めて思いました。

ある晴れた日、たくさんの宇宙人がひとつのUFOを行き来し去っていきました。

ツヅク!

(こちらから動画がご覧になれます。曲は個人の私的使用のみの目的で使用させていただいております。)

YORIKO

YORIKO

色々な場所で色々な人々と一緒にものづくりをしています。
つくる×人々×生活から生まれる喜びから抜け出せません。

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