ガシャ、ガタガタン、バサバサバサッ
いたた・・・
あっいつの間に!いやはやお恥ずかしいところを見られてしまいました・・・
えへへ
(なにをしてるの?)
あっ、私ね今月末でお引っ越しするんです。
そのための大掃除!
(えっ!)
うふふ、あっという間だったなあ、このアパートメントにお邪魔出来て本当に良かった。
素敵な住人さんに沢山出逢えたのよ。
もちろんお話を聞いて下さっているあなたたちに出逢えたこと
お話を聞いてくれた次の日におやつを買ってきてくれた子
お腹をすかせながらわざわざ1から作ってくれた子
お話を他のお友達に教えてくれた子
陰ながらこっそり聞いてくれている子
お菓子職人を目指して頑張っている子
甘いものが大好きな子たち
甘いものが苦手な子たち
私は、このアパートメントを通して沢山の方のお腹をくすぐってこれたこと、本当にありがたく思います。
(ここで終わるのはまだ早いよ!最後のおやつのお話は?!)
あっそうだったそうだった!そうだなあ、とってもとっても迷ったんだけれど、
私が初めて一人暮らしをして親元を離れた時一番最初に食べたほっとするおやつを紹介します
本日のお夜菓子 ★ 鯛焼き
私は福島県出身なのですが、高校を卒業と同時に右も左もわからぬ大都会大阪で一人暮らしを始めました。
東北から関西へ遥々参った私なのですが、方言も違えば文化も違う
引っ越し当初は正直不安とわくわくが入り混じっていて、なんだか、卵かけご飯に餡子を乗せちゃったような
複雑な気持ちが私の中を支配しておりました。
新しい私だけの部屋に入り、入居手続きを終え、母もわざわざ引っ越しの手伝いをしに来てくれて2~3日後に田舎に帰り
さあ!人生初の一人暮らし!と意気込んだはいいものの、少しばかりの寂寥感。
なにか食べよう、と思って家を出たすぐ、駅前の横にたこ焼きお好み焼きそしてちょこんと鯛焼きが売ってました。
関西に来たらまずたこ焼きを食べる!と躍らせていた心はどこへ行ったのか、迷わず選んだ「鯛焼き1つください!」
焼き立てを受け取って、帰り道を帰りながらひとくちほおばったら
なんだかとってもおいしくて、なんだかとっても涙が出てきて、ああ私寂しいのだなと脳が納得した。
そしてその日食べた鯛焼きはなんだかとってもほっとして温かくて私に元気をくれたのです。
正直、ずっとずっと離れてどこか遠くで一人暮らしたかった地元なのですが、
離れてみるととても寂しいもので、これが故郷なのかな、と思いながらひとくちずつ齧る鯛焼きと目を合わせてました
(私、最初のひとくちは尻尾派なのです)きっと家族と離れてとてもさびしかったのだと思う。
鯛焼きは家族のあったかみを思い出させてくれました。
小さい頃から、たまに寄るスーパーの屋外で売っている鯛焼き。私が選ぶのはほぼカスタード味だった気がします。
母が餡子、私がカスタード。二人半分こしながらおいしいねっていつも食べて笑っていました。
私の大好きな思い出の味です。
そうそう、久々に鯛焼き屋さんに寄ってみたらびっくりするものがいろいろありました。
クロワッサン生地で出来た鯛焼き。
最初なんで瓦が1枚ずつ売っているのだと思ってよく見たら鯛の模様が。食べものでした!
表面にざらめがかかっており、一口食べるとザク、バリバリ、と鯛焼きとは程遠い音、でもとても風味がよくて
中の餡との相性が抜群でした。
これは中に小豆アイスとバニラアイスが挟まった鯛焼き。
夏にはとってもありがたみの強い鯛焼き!
職人さんの工夫が見え隠れするこのシンプルな鯛のおやつ。
日本だけでなく、外国の方々にもとても人気のようです。
アメリカのロックバンド、エアロスミスのメンバー全員がこよなく愛する鯛焼き。
日本公演が終わって無事に帰国する前、大量に買い込んだ鯛焼き。
さあ帰り道でみんなでなかよく鯛焼きを頬張ろうじゃないか
ボーカルのスティーブンがるんるん気分でメンバーに笑顔を向ける。
凍りつくメンバーの表情。足を止めるスティーブン。
「おまえら・・・まさか・・・全部・・・食ったのか・・・?」
目を泳がせるスティーブン以外のメンバー
スティーブン発狂。殴り合いの大喧嘩。
スティーブン「もう、お前らなんか知らない、今日でエアロスミスは終わりだ」
動揺するメンバー
「ちょ、待ってくれよ・・・!また日本公演が終わったら沢山鯛焼きを買おうじゃないか!」
「そ、そうだよ!落ち着いてよスティーブン!
このバンドがなくなってしまったらまた日本に行くことも、鯛焼きを食べることも出来なくなってしまう!」
動きをとめるスティーブン
「わかった・・・じゃあ今後俺に無断でお前ら鯛焼きを食べたらこんどこそ解散だから」
「う、うす!!」
後にそのエピソードが記事になり、エアロスミスファンの大手鯛焼きメーカー社長の目にとまる。
社長「えっ!うそやん!エアロスミスめっちゃ鯛焼きすきやねんて!急いで彼らにおうちで作れる鯛焼き機を贈ろ★」
数日後、メンバーの事務所にて
スティーブン「・・・!?えっちょ、みんな!みんなみて!!」
メンバー「えっなに!なにこれ!やばい!やばい!ちょうイカしてる!さっそく作ろうよ!わーいわーい!」
「アイラブジャパン!!!!」
という心温まるエピソードがあるほど(若干脚色してますがこれは実話です)愛される日本の鯛焼き。
ひとくち食べてほっとするのは世界共通なのかな。
さ、このアパートメントを去る前にひとつ鯛焼きを買おうかな。
みんなはどの味を買う?全部違う種類を買って分けあいっこしようよ。
一口食べた鯛焼きをよく噛んで、目を閉じて、なにを想いますか。
おいしみとときめき、噛み締めていきましょう
最後のひとくちを食べ終えた後、また新しいひとくちめに手を伸ばそうか。
*
*
キラキラ輝けコンコン金平糖
ひんやりひやひや冷たいアイスに
サクサクサックリクッキーもぐもぐ
もっちりもちもち和菓子にキッスで
真っ白クリームにドーンといちご
くるくるまんまるドーナツくぐって
香ばしタルトに夢乗せて
鯛の枕で夢心地
さあさ踊り狂おうよ、甘いおやつに囲まれて
それではみなさんまたどこかでお会いしましょう。
引っ越し祝いにお砂糖くれたらあなたにお菓子が届くかも
真っ白な結晶に夢を託そうよ
私がここに居る限り、あなたを甘い誘惑へ御誘いするからね。