どうしてみんな、あんなに思ってること言ったり態度に出したりするんだろう
と、帰り道
チラチラひかるコンクリートを見ながら考える
ため息と舌打ちの真ん中が
私の口の中で憂鬱そうにしている
雨は、人並みに嫌いだ
でもきょうはずぶ濡れで帰ってもいいかなと思う夜だった
でもさっき、やんだ
そういうことばかりだ、わたしの人生は
わたしはわたしのすべてがつまらないと思うことがある
そういうことを考えることすら、みんなと同じなんだろうと思うと余計につまらなくなる
わたしは自分のA型という血液型が嫌いだ
わたしの好きな、彼女のいる彼は
わたしの好きなB型だ
うちに遊びにきたあの夜に
ねえ何型? って聞くから
B型って答えた
えー。ぜんぜんそんな感じしないって笑ってた
A型っぽいよと言われて悲しかった
ああなんにもうまくいかない
ことばしか出てこない
よくするアイデアも
みんなみたいに不満を言ったり、「わっ」と怒ることもできない。
これもぜんぶ血液のせいだ
そうしているうちに部屋について
(足はそれでも前へすすんでたんだな)
すこしも濡れていないわたしは
コートをハンガーにかけて、
でもなんだかくやしいから
ハンガーからコートを脱がして
ばさっと放り投げた
へんなかたちで床にへばりついたコートが
なんかあの、殺人事件の現場の
死んだ人のいた場所を囲む白いロープみたいに見えて
この死体は何型だったんだろうと考えた
もしA型だったら
犯人をわたしが捕まえてみせると
そういうことを思った。
明日から、あたたかいらしい
それだけですこし嬉しい気がするのも
とてもつまらなくて
私らしいと思う