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2F/当番ノート

絵の中の友より

当番ノート 第27期

わたしは随分長い間、誰かからの手紙を待っていました。
どんな内容なのかはわからないけれども
確かにある、素晴らしい何か。
想像もできないゆめのような何か
そんなものを
月を見上げるたび、街を歩くたびに
祈って
願っていました。

そうして長い長いトンネルを抜けた時、
目の前に現れたのです。

それは例えばお茶の時間
毎朝目覚めること
働くことができること
足元のお花
話し合える友達
ほおばったパンの味

見知っているはずのささやかな事が、天にも登るほど嬉しい。
嬉しくて有難くて、ここにあることが不思議なのです。
そして、いまふたたび目の前の紙に線を引き
色を塗り、絵を描いているわたしがいる。

すべては奇跡のようです。

この翼で、
どこまでもどこまでも登ってみよう
そしてかつてのわたしのように、それを待つ誰かへ宛てて、手紙を届けよう。
手を振り、だいじょうぶだよと笑いながら。

このような機会を与えてくださったアパートメント管理人のみなさま
物語を掬い言葉に乗せて発信してくださったレビュアーのハヤシマドカさま
日々を伴走し好きにおやりと励ましてくれる同居人の小倉安見さま
デザインの力で共に作り続けてくれた矢島拓巳さま
そして毎週楽しみに、時には感想を贈って、支えてくださったファンの皆さまに
心より感謝いたします。

instagramでは今日も変わらず1日1枚のお手紙をお届けします。
個展ではみなさまのお顔を見れることを楽しみに。

「絵を描くことは魔法のよう。
この手にある幸福は絵に変えて、言葉にして、
花束にして贈ろう。」

日々日々
愛を込めて

児玉恵理子

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児玉 恵理子

児玉 恵理子

絵描き魔女|Artist
絵を描くことは魔法のよう。この手にある幸福は絵に変えて、言葉にして、花束にして贈ろう。
instagramにて一日一枚のお手紙をお届けしています。

全8回で四季を巡る「お手紙漫画」です。

Reviewed by
ハヤシマドカ

赤毛のアンは、グリーンゲイブルスへやって来る前、ひとりぼっちで鏡の中の友人にずっと囁きかけていた。想像力こそが彼女の支えになっていたにちがいない。想像力を糧に、グリーンゲイブルスで居場所を得たアンは、大いなる間違いや失敗をしでかしつつも、マリラにわたしは同じ失敗はしないのよとうそぶく。転んで泣いて前を向く。絵の中の友も、ただ一人でいるときではなく、もっと深い時間に訪れる。こころを落ち着け、イライラしないで、背筋を伸ばして。あなたは何を選択するの?ダイアナは、孤独なアンが初めて得た実在の友である。作者の恵理子さんの、「永遠にあなたのそばに」のフレーズは、わたしにあのアンのみずみずしい喜びを甦えらせてくれた。友は、懐かしい母とはちがう、酷暑の中に吹く一陣の風のように気持ちを送ってくれる。予感が確信に変わるように。

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