わたしは随分長い間、誰かからの手紙を待っていました。
どんな内容なのかはわからないけれども
確かにある、素晴らしい何か。
想像もできないゆめのような何か
そんなものを
月を見上げるたび、街を歩くたびに
祈って
願っていました。
そうして長い長いトンネルを抜けた時、
目の前に現れたのです。
それは例えばお茶の時間
毎朝目覚めること
働くことができること
足元のお花
話し合える友達
ほおばったパンの味
見知っているはずのささやかな事が、天にも登るほど嬉しい。
嬉しくて有難くて、ここにあることが不思議なのです。
そして、いまふたたび目の前の紙に線を引き
色を塗り、絵を描いているわたしがいる。
すべては奇跡のようです。
この翼で、
どこまでもどこまでも登ってみよう
そしてかつてのわたしのように、それを待つ誰かへ宛てて、手紙を届けよう。
手を振り、だいじょうぶだよと笑いながら。
*
このような機会を与えてくださったアパートメント管理人のみなさま
物語を掬い言葉に乗せて発信してくださったレビュアーのハヤシマドカさま
日々を伴走し好きにおやりと励ましてくれる同居人の小倉安見さま
デザインの力で共に作り続けてくれた矢島拓巳さま
そして毎週楽しみに、時には感想を贈って、支えてくださったファンの皆さまに
心より感謝いたします。
instagramでは今日も変わらず1日1枚のお手紙をお届けします。
個展ではみなさまのお顔を見れることを楽しみに。
「絵を描くことは魔法のよう。
この手にある幸福は絵に変えて、言葉にして、
花束にして贈ろう。」
日々日々
愛を込めて
児玉恵理子