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3F/長期滞在者&more

「伝えきれない思いを全てこの曲に託します。」【SUPER BEAVER「ありがとう」(2014年2月12日リリース)】

長期滞在者

このアパートメントでは、自分が声の仕事をしているときの写真を多く使ってきているが、この写真を見たときに2020年のことを思い出すのだろう。口の前にシールドをして司会をするようなことになるとは、1年前には全く考えもしなかった。

2020年12月2日。
「日本を代表する、外国籍人材活躍の現場」にスポットライトを当てる、Global one team Award 2020。記念すべき第1回で司会を務めた。「世界から国境をなくす」という世界観が反映されたこのアワードには、国籍や人数に関係なく、個人としての能力、魅力に惹かれたメンバーが集まり「one team」、一丸となって挑戦し続ける組織を表彰したいという意味が込められている。

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、オンラインで行われたこのイベントは多くの人たちが視聴していた。外国人が日本で働くということを考えたときに、ポジティブなニュースが表に出てくることは多くはない。しかし、このイベントでプレゼンテーションをしたファイナリストからは、行動力に富んだエネルギッシュで積極的なアイディアが次々と飛び出した。

配信を終えたあとの会場には笑顔しかなかった。
これからを良くしていこうという人と人との可能性の交わし合いは、
こんなにも人間を活きいきとさせ、弾ける表情へと導いていくものなのだということを実感せずにはいられなかった。

出会いが未来を変えていく。
帰り際に誰もが口にしていた言葉。「今日はありがとうございました!」。
笑顔で交わされる「ありがとう」は、明日を生きる力へと繋がっていく。

あまりにもいろいろなことがあった2020年。
今年の最後にあたる12月のアパートメントの記事でどの曲を選曲しようかと、ずっと考えていた。

この連載のテーマは「この曲をラジオから紹介するとしたら、私はどんな言葉と共に届けるだろうか」ということである。そこで今回は、今年の最後にあなたに届けたい曲として、SUPER BEAVER「ありがとう」を選曲した。

この曲にしようと決めたのは、2020年12月25日、日本武道館でのUVERworldのライブがきっかけだ。

今年開催される予定だった、東京でのオリンピック、パラリンピックに合わせて改修工事がされた日本武道館に行くのは初めてだった。UVERworldは、2008年12月25日にバンド初の日本武道館公演を行ってから、11年連続で12月25日に日本武道館でライブを行ってきた。昨年は改修工事で行えなかったため、日本武道館でのライブは2年ぶりとなった。

日本武道館。
中学生のとき、私は人生で最初にライブに行った。その会場が日本武道館だった。

10代の頃から、常に私の生活の中心にあった音楽のライブ。
新型コロナウイルスの影響でライブの中止や延期が相次ぎ、ライブから遠ざかってしまった今年。やっと大好きなバンドのライブが観られる。そのために、日本武道館に行ける。会場に行く道を歩きながら、こんなにも胸が弾むのは、あの中学生のとき以来だと思った。

会場に入って、八角形の天井と大きな日の丸を見たときに、やっとここに帰ってこれたという気持ちになった。ライブが始まって、ここまで本当に長かったと思った。1曲目の「CHANCE!」は、コロナ禍でもう全てを投げ出してしまいたくなりそうなときによく聴いていた曲だ。それが1曲目だった時点で、音楽の神様からご褒美をいただいたような気分になった。

「愛する人の為に輝いていたくて」

今の自分を見たら、あの人はどう思うだろう。
「武村は変わらずにがんばっている。」
私はいつだってそうでありたい。

私が前へ進もうと思えるのは、あなたがいるからだ。

この夜のUVERworldのライブはクリスマスプレゼントのようなサプライズがいくつもあった。その中の一つとして、UVERworldのライブでは欠かせない楽曲「在るべき形」が演奏されているときに、SUPER BEAVERのヴォーカル、渋谷龍太がステージに登場して、TAKUYA∞と共に歌い上げるという嬉しいサプライズがあった。そして、そのあと続けて、TAKUYA∞の好きな曲として、UVERworldがSUPER BEAVERの「ありがとう」を演奏して、渋谷龍太とTAKUYA∞が歌うというシーンがあった。

UVERworldのライブは演奏している楽曲の歌詞が、曲の世界観を表現した映像と共に様々なフォントでスクリーンに映し出される。SUPER BEAVERの「ありがとう」も歌詞が映し出されながら歌われていたのだが、この歌詞はまさに今の私が今年の最後に届けたい曲だと思った。

新型コロナウイルスの世界的な流行により、最もつらかったことが、人と会えなくなったことだ。
そんな中でも会うことができた人、言葉を交わすことができた人、思いを共にすることができた人の存在に、どれだけ救われてきただろう。

もうダメだと思ったときに「大丈夫」と言ってくれてありがとう。
父が亡くなったときに一緒に泣いてくれてありがとう。
「これでいいのかな?」と思ったときに「それいいじゃないですか!」と言ってくれてありがとう。
常に私の体調を気にかけてくれて、ご飯を食べに行こうと言ってくれてありがとう。
「潤い大作戦!」と言って、最高に楽しい時間を一緒に過ごしてくれてありがとう。
チーズと黒胡椒の美味しいパスタを自分が食べるより先に私に取り分けてくれてありがとう。
大好きな鯛焼きを買ってきてくれてありがとう。
夜遅くまで一対一で一緒にお酒を飲んでくれてありがとう。
くだらない話に付き合ってくれてありがとう。
初めての仕事に緊張していた私を、温かく受け入れてくれてありがとう。
体調を崩したときにお札やお守りを送ってくれてありがとう。
面倒くさいことにもきちんと向き合って、優しさで応えてくれてありがとう。
年老いて記憶が曖昧になっても、音楽が好きだという思いは消えないということを教えてくれてありがとう。
好きなバンドの話を何時間も聞いてくれてありがとう。
「こんなときだから、一緒にがんばっていきましょう!」と言ってくれてありがとう。
「武村さんに報告しなくちゃと思って!」と言って人生の大切な選択を伝えてくれてありがとう。
「きーちゃん、大好き!」と言ってくれてありがとう。

今年初めて、私に出会ってくれてありがとう。

私を理解してくれてありがとう。
私を信じてくれてありがとう。
私の願いを叶えてくれてありがとう。
私に会いに来てくれてありがとう。
私を支えてくれてありがとう。

ありがとうを伝えてくれてありがとう。
あなたのありがとうに、どれだけ私は救われていることか。

素晴らしい音楽をありがとう。

音楽がなかったら一体どうなっていたことだろうか。
音楽は何よりも私にとっての味方だ。
そして、その音楽は人間から生み出されるものだという真実。
日本武道館で目の前で歌い上げられた「ありがとう」を聴きながら、
生きている人間が届ける音楽を受け止めて、心の中に光が満ち溢れていった。

人間が歌い、奏でる、音楽。

どんなに困難な世であっても、私は音楽から離れない。
どんなに微力であっても、大好きな音楽を伝えることを、その音楽を生み出す人の思いを、音楽を愛する人に届けることを、続けていく。

今、私が自分が好きな自分を生きていけているのは、あなたがいるからです。

ありがとう。
心から愛を込めて、ありがとう。

【ラジオDJ武村貴世子の曲紹介】(“♪イントロ×22秒〜37秒に乗せて)
今年最後の放送となりました。ラストにあなたに届けたい曲はこの曲です。
本当につらくて、苦しくて、悲しいことがたくさんあった今年、
あなたがいたから私は今、笑顔で、ここから声を伝えることができています。
伝えきれない思いを全てこの曲に託します。

SUPER BEAVER「ありがとう」


武村貴世子

武村貴世子

ラジオDJ、MC、ライター。
これまで、FM802、Fm yokohama、FM-FUJIなどで番組を担当。

ラジオ番組、イベント司会、トーク&アナウンス講師はもちろん、
朗読と音楽のコラボレーションライブも展開中。

国連UNHCR協会広報委員として、
難民支援を始め、世界や社会への関心が深く、社会貢献活動にも積極的に取り組む。

また、タロット・リーディングの学びも深め、
フリーランスでその活動の幅を広げ続けている。

Reviewed by
宮本 英実

アップテンポなロックチューンに何度も何度も「ありがとう」の言葉が舞う。それはまるで、激動の今年のようだった。その言葉を聞きながら今年を振りかえると、支えてくれた人たちの顔が浮かんだ。自分一人では、ほんとにやりきれない年でした。ありがとうございました。

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