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2010年2月25日からの手紙
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夕暮れのなめらかな海の水面のようだと思えば、
いたずらを覚えたばかりのあばれんぼうの
波打つ胸のようだったりする。
心は、晴れたり曇ったり。
ときどき雨も降ります。
世界に対して覚えるどろどろとしたさみしさは
泉のようにあとからあとから沸いてきて、
夜な夜なわたしの身体をがんじがらめにする。
生きていることそのものが、さみしいと
谷川俊太郎は言っていた。
いつか自分の命に終わりが来ることを
知っていることは、さみしい。
胸が粟立つようなさみしさに
いつまでも慣れないまま、死ぬのか。
今夜ももうすぐ沸いてくる。
Letter from 25 Feb.2010 to 5 Oct.2016
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はじめまして、イラストレーターの柊有花と申します。
このたびアパートメントさんに寄稿させていただく機会をいただき、
とてもうれしく思っています。
冒頭の日付にあるように、上の文章は2010年にわたしが書いたものです。
今回の企画をいただいたとき、以前書いていたブログのことをまず思い出しました。
そこにつづられていたのは、いまのわたしの記憶を掘り起こしてみても輪郭がおぼろげな出来事、感情、思考で、
そこにいるのは自分であってもう自分ではないような
だけどとても近しい「誰か」からの言葉のように感じられました。
なつかしい、とも違う、いとしい、とも違う、ただそこに新しく親しい友人を見つけたような心持ちで、
6年前のわたしの言葉に、いまのわたしが返事をするなら。
時間を超えた長い文通のようなことをしてみたいと思っています。
どうぞおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。
柊 有花