空いている時間に絵を描く事を繰り返していくと、少しずつではあるが絵が上達して来ている事に気づく。
筆の使い方に慣れてきた事と、絵の具の使い方に慣れてきた事。そして筆に吸わす水の量などが体感で感じ取る事が出来たからだ。
身体で覚えてしまえば何年経っても忘れる事がない。誰にも真似をする事が出来ない所にまで行けば、それはお金に変えられる価値になる。
素人が絵を描く時との決定的な違いの1つは、五感で描いているという事。
素人の人が模写をするとき、その通りに描こうという気持ちだけで描くことが多い。
それではうまく描けない。周りが見えなくなるからだ。ただ見えるものを描くのではなく、そのモチーフの質感、香り、味、さらには見えていない向こう側まで想像し描く事で線が変わってくる。
ただこれが難しい。五感だけで描くと抽象的な表現に偏ることが多い。
五感で感じながら見えているモチーフにも意識をする事で、感動してもらえる絵になる。とても集中力と体力のいる事なのだ。
今はテレビやネットなど便利な世界になったため自ら感じ取ろうとしなくても情報のほうから与えてくれる時代だ。昔の絵が魅力的なのは、その人が感じ取った五感が綺麗に絵に表現されており人に目に止まるからだ。
私の好きな画家でモディリアーニが描いた絵にはそれがつよく表現されていると思う。あのピカソと一緒に時代を作った画家の1人だ。
そしてピカソが死ぬ前に残した言葉も、彼の名前を呟くように言い亡くなったと言われている。
デジタルではできない世界だ。感情を線に乗せることが出来ないからだ。技術で誤魔化している絵やイラストはいずれロボットが描く時代がくるだろう。だがけして芸術は負けない。感情があるから人を惹きつける事が出来るのだと私は思う。